最弱ユニークスキルと呼ばれたスキルで俺だけステータスがチートみたいになってる件~誰も周回しないような低ランクダンジョン周回で俺だけ無限に強くなれます
第15話 【二階堂視点】周囲から見た瀬奈という人間
第15話 【二階堂視点】周囲から見た瀬奈という人間
side二階堂
遠征イベントが始まりダンジョンに潜っていた。
「二階堂さんどうして真白さんは霧島なんかを選んだのでしょうか。体育館で見せたあいつの防御魔法はたしかに凄かった。でもあれより防御力のある魔法が出来る生徒は他にいるはずなのに」
森山がなぜ霧島瀬奈が真白に選ばれたのかを聞いてきた。
「知らんよ俺は」
「あいつはエクストラ。遠征に選ばれるような人間ではない」
ギリギリと歯を噛み締める森山。
話は聞いている。
予備生に負けたことが未だに認められないのだろう。
「思えば僕が負けたのもあいつの得意魔法が防御魔法だと気付かなかったから」
ブツブツとそう小言で文句を言っている森山に答えておく。
「君が何を思っているかはしらないがあの模擬戦を見る限り霧島君は予備生だ。明らかに新島さんの攻撃に反応が追いついていなかった」
俺の中でのあの模擬戦を見る限りの瀬奈君の評価は簡単だった。
『瀬奈くんの実力は予備生として一般的なもの』
1組どころか4組も厳しい、それだけだ。
「二階堂さんそれは仕方ないよ。私はこれでも1組の生徒。予備生に反応できるはずもないよ」
でも、と続ける新島。
「でも、どうしてそんな予備生が選ばれたんだろう。彼より実力のある人はいくらでもいるのに」
「さぁな。でも俺から見て言えることはある」
一旦区切り二階堂は口を開いた。
「体育館の騒動の時俺は見てたんだよ彼のことを」
「そうなんですか?」
「あぁ。彼は1人だけ」
重要なことを話すように1泊置いて
「────顔色1つ変えていなかった。君達は全員少なからず暴徒が発生したことによる驚きを浮かべていたけどね」
場が凍った。
誰も何も話さずに顔に驚愕を浮かべる。
「当たり前のように誰よりも先に魔法の準備をして魔法を行使した。全て当然のように、ね」
そんなこと一朝一夕でできることではない。
その時
「グエェェェェェェ!!!!!!」
ゴブリンが飛び出してきた。
「くそ!このゴブリンが!」
それを森山が切り払う。
綺麗な太刀筋。
それから
「ははっ!ざまぁみやがれ!この森山に勝てると思ってるのかよ!」
自分の斬り殺したそれを見て満足気な顔をする森山を見て二階堂はまた口を開いた。
「君たち学園の生徒は皆そうだ。とにかく経験が足りない。モンスターを倒す経験があまりないから、今の森山君みたいにモンスターを倒すと顔色が変わる」
そこでハッとした顔をする森山。
「魔法を使う時もそうだ。本番だとみんな顔色が変わる。成功するかどうか分からないから不安が浮かんだり、得意な魔法であれば少しばかり余裕の表情が混じったりする」
でも、と続ける二階堂。
「彼は違った。何も混じっていない。どちらかと言えば霧島君は俺達冒険者に近い」
例えば、と
「グエェェェェェェ!!!!!」
またゴブリン。
「この!またかよ!」
切りかかろうとした森山を制して俺は
ザン!
ゴブリンを倒す。
「す、すげぇ、1発でゴブリンを」
「別に凄くなんてないさ。当然のこと」
そうまで言って森山はまさか、と呟き
「あいつにとって体育館での事はこの程度の出来事だった、と?」
「そうだ」
また沈黙が降りた。
破ったのは焦った様子の新島。
「お、おかしいですよ!そんなの!」
そうまで言って新島はあっ、と何かに気付いた。
「そう言えば、私と模擬戦をした時も少しの本気も感じなかったな」
「今になって思えば初めから真面目に相手をする気がなかったのかもね」
俺はそう締めくくった。
「初めからあっさり負けるつもりだった……ってこと?」
「きっとそうだろう。今にして思えば1組対5組の模擬戦でもあれだけあっさりと負けたのは霧島君だけだった。他の人達はもう少し持ちこたえていたよ」
ドサッと新島はその場に座り込んだ。
それを見て森山は陽菜に目を向けた。
「この事知ってたのか?霧島さんは」
「私からは何も話せません。何か聞きたいことがあるのでしたらお兄様にお願いします」
と、沈黙を貫く陽菜。
この子からは何も聞けないようだな。
「真白だけが気付いたんだろうな。霧島君の実力に」
そう答えて二階堂は歩き始めた。
「この事については俺も真白に後で探りを入れることにする。とりあえずこのダンジョンを攻略してしまおう」
二階堂が7階層。
ボスフロアへの扉に手をかけ
そして開けた瞬間だった
「ブモォォ!!!ブモォォォォォォォ!!!!!」
ダンジョンボスのキングボアがいた。
体長2メートルくらいの。ボス。
「よし、倒すか」
森山が剣を抜いた瞬間だった。
突如地面に黒い大穴が空いた。
そこから伸びてきた黒い手はガッとそのミノタウロスを掴み、そのまま穴に引きずり込んだ。
「な、なんだよこれ……」
その瞬間大きな地響き。
「まずい、ダンジョン食いだ……」
聞いたことがある。
ダンジョン内で起きる地震はダンジョン食いの前兆だと。
初めてダンジョン食いというものを間近で見た。
それもそうか。ダンジョン食いに会えばその冒険者は死ぬ、と言われているのだから。
─────────────────────
名前:ダンジョン食い
レベル:999
─────────────────────
目の前にステータスが浮かび上がった。
「も、モンスター扱いなのか?」
そう思って呟いたが、それよりも
「撤退だ!急いで来た道を戻るんだ!」
俺はそう言ってパーティメンバーの撤退をさせるが。
「無理ですよ二階堂さん」
撤退をしようとした方角からやってきたのは、帝光学園の三年生の生徒会長。
「通路が崩れて通れません。ですので私たちは奥へと逃げて来ました」
告げられたのは絶望的な言葉。
それからゾロゾロとやってきた他の参加者たち。
「ここからは出られません」
そう言われて俺はその場に崩れた。
逆に大穴の方からはさっきミノタウロスを引きずり込んだ黒い手がまた出てきていた。
「ははっ……すまないな。みんな。もう終わりだ」
Sランクだのどうだのと普段言われている俺だがこればかりはどうしようもない。
それほどの状況にあるしこの世界で冒険者を目指す物ならばこの状況がどれほど絶望的なものなのか分かる。
だというのに
「皆さん。構えてください」
霧島 陽菜。
この子の目だけはまだ死んでいなかった。
そしてそのとき、陽菜の携帯端末が鳴った。
『今向かっている。どうなっているか分からないが俺が行くまで耐えられるか?』
「はい。お兄様」
『一分でいい。もたせろ』
「はい。命に変えてでも」
そこで通話を終えた陽菜は俺たちを見てきた。
「剣を構えてください」
この子はあれを相手にまだ諦めていないのだった。
というよりお兄様……?
どういうことだ?
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