第8話 アメージンググレース
その時、突然モニターから音が流れた。
「今の何?」
アイシャは驚いて短く叫んだ。
「公営放送の電波を拾ったな」
ダンは慌てる様子もなくキーボードを叩いて偵察機の位置を合わせる。
スピーカーから女性ボーカルの声が流れてきた。
「なんて曲?」
「アメージンググレースだ」
「きれいね」
「ああ、名曲だ」
「ねぇ、偵察機にメモリーは積んでる?」
「画像は無理だが音声データくらいなら保存できる。気に入ったのか?」
「うん。録音してくる」
アイシャはモニターに手を添えて、意識を偵察機に飛ばす。
アイシャのシックスセンスは意識をデジタル化し電波に乗って移動するだけでなく、侵入先のアクセス権限を盗むことができる。
戻ってきた偵察機からは「アメージンググレース」が、エンドレスで流れていた。
「ねぇ、この偵察機ちょうだい」
「そんなんじゃもう、偵察機じゃなくてただの音楽プレイヤーじゃねぇか」
「いいじゃん。有効活用じゃん」
喜ぶアイシャに「仕方ねぇなぁ」とダンは折れた。
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