第6話 : むしくい
内陸部まで足を進め、
その都市の奪還を成し遂げた。
その主となった、No,2率いる、
ユーラシア方面軍ペンドゥロ隊は
中古4機と追加量産された何機かの
後期型[Ost-Rich]を他の隊へ置き土産とし、
一度、日本に戻る事となった。
ガンマ機は総合制御装置に深々と
甲殻が突き刺さり、機能停止。
戦場でそのまま腐り果てたが、
パイロットのガンマは
打撲程度の怪我で済んでおり、
命に別状は無かった。
今回も全員を無事に
帰還させる事に成功したのだった。
「もうっ!あんなのズルいじゃないの!」
ガンマは自身の機体を失ったのと、
認めたくない気持ちで喚いていた。
「まぁまぁ落ち着いてぇ...。」
No,2が宥めようとする。
「そうだ、僕も少し当たり所が悪かったらコクピットを貫通していた。」
ベータがフォローを入れる。
「むぅ...!」
「ま、いいじゃん! いいじゃん! 生きてるだけで十分!」
イプシルも参加。
「そ、そうよだよ」
「アルパ”は”関係ないっ!」
「え、えぇ....。」
なんやかんや賑やかな帰りの飛空挺だった。
「おっ...」
賑やかな仲間に微笑みながら
窓を眺めていたデルタが見たのは。
「見えて来たよ!!」
日本の大地だった。
「はいっ! じゃあみんなは寮に行っちゃっていいわよ〜」
「隊長は?」
アルパが聞く。
「私は、お友達に会いにね...!」
No,2が進む先に有ったのは
-第七ケージ{
またまた初めましての格納庫だ。
そこにいるのは勿論。
「カラ! お久しぶりね!」
「来ましたか。No,2」
取り敢えず、
最近ハマっているもの等の
他愛もない会話に始まり、
話は本題に入る。
「呼び出しの理由はコレね?」
「左様です。」
「いつもよりサイズ感違くない?」
「最近増加している四足歩行型怪獣のデータを元にした。」
「ほんとに元にしたの?」
「何か?」
「どう見ても....」
寮にて...。
男子寮、アルパ、ベータ、デルタが居る。
「明日になったらまた、帰るぞ〜諸君! なんだろうなー...。」
アルパは言う。
「何か問題が?」
ベータが話相手になる。
「だってさ飛行機怖くない?」
「怖くないよ?」
デルタが割って入る。続けて、
「だってあれ飛"空挺"だもんな」
そうきたか〜とアルパは御退けてみせる。
「そもそも次行くのは別の大陸だぞ?」
ベータは言う
「どう言うこと?」
「あぁ...言って無かったな、一度戻ってきたのは、現地にできるだけ多くのPD兵器を置いていく為で、これから新品を貰ってユーラシアとは別の援軍に行くんだ」
「ユーラシアは戦った事ない人がやるってことなの?」
「まぁ、そうだけど...数が多いだけみたい、な話を聞いた事があるよ」
デルタが言う。
「へぇ〜...。」
女子寮にはガンマとイプシル。
勿論No,2は別部屋。
「機銃四つはやっぱ楽しいけど効いてる感じしないんだよな〜」
「柔らかくなったところに撃ってたじゃないですか!! 効いてますよ!!」
「そっこなんだよ!
「うーん、そうですねぇ...。格闘用装備ならプラズマスピアとかありますけど...」
「あれは取り回しがさぁ...」
「ははは...何かあるか聞いて見ましょう!!」
「うっし、明日行動開始だい!」
朝になり、第七ケージに集められた。
このまま機体を受け取り、飛び立つ予定だ。
行き先はアフリカ大陸。
「ねぇ、新型乗りたいッ! って人いる?」
ザワザワ...。そこにひとつ手が上がる。
「私がやってやらいよ!」
挙げたのはガンマ。
確かに新型は格闘機だ。
適任かもしれない。
「やってやりますよ...! これなら....!」
「じゃあ託すわよ? みんないいわね?」
「いいと思います!」「良いよ」「頑張れー...!!」「頑張ってね!」
「じゃあみんな、
「了解」」」」」
飛空挺が行く。
[[えー、はい。あと少しで着きますが...そのまま戦闘です。ブースターを最大まで吹かせば一応パラシュート無しで降りれるみたいなんで、やっちゃいますよ?]]
「あのー」
[[ガンマどうしたの?]]
「この機体ブースター着いて無いっすよ」
[[設計的には大丈夫ってカラが言ってたんで大丈夫のはずよ]]
「カラって誰です?」
[[それ作ったヒトよ]]
「へぇ〜」
アルパが気づく。
「隊長のって前期型じゃないですか。行けるんですか?」
[[...なんとかしますよ、それと後30秒。行くわよ?]]
がこぅううん...。ハッチが開く。
[[ミッション開始!]]
飛空挺2艇のうち1つから、
4機の[Ost-Rich]が飛び降りる。
「コレやだよ〜!!」
アルパが飛び降りながら叫ぶ、
[[つべこべ言わない!さぁて....ガンマ!よろしく!]]
「あいよ!」
もう1つの飛空挺から他のペンドゥロとは
かなりかけ離れた見た目を持ったものが
異形の異形が飛び降りる。
だが、それがPD兵器である事は
骨の様な装甲から直ぐに分かった。
四足歩行型PENDLo.その名は
[GAt-tiNa]
「敵、箒兵多数! 待ち構えてます!」
[[了解っと!]]
ガンマ機、ガッティーナの背中に乗った
2のナンバリングを持つアストリーチ。
背中にはミサイルランチャーを背負った
その機体は紛れもないNo,2の機体。
[[撃つよ!]]
ばヒュウウルルるるッ!!!
無数のミサイルが大地を焼き払う。
「怪獣を補足、目標のポイントをレーダーで共有します。」
「デルタセンキュー! 隊長! 行きますよ〜!」
ミサイルを即爆破し、
反動でガッティーナは落下地点を補正する。
「3! 2! 1! Landing♪」
目下の怪獣が高速で近づいてくる物体を
爆煙の中から見つけ、
退避するのはまるで間に合わなかった。
ばぐぅうううううん!
首がへし折れ、そのまま沈黙する。
10m級を撃破。
[[エスコート感謝よ。ありがと]]
ひょいっと背中から2は飛び降り、着地。
続いてブースターを全力で吹かしながら、
他の機体も着陸する。
減速しているとは言え、
なかなかのスピードだ、まるで隕石。
{{つつ──────...あー、あー、こちらアフリカ方面軍ペンドゥロ隊隊長の}}
[[久しぶり]]
{{久しぶり、隊長...じゃなくてNo,2!}}
声の主は嘗て共に戦ったNo,3。
「えっ!? ナンバーツーが2人?!」
[[あっ、この人は3ね! 私のせいで自己紹介がおかしくなっちゃったけど!]]
「あ、了解です!」
アルパは
「相手、第二波、きます!」
イプシルが知らせる。
{{通信でのおしゃべりはここまでみたいだな}}
[[そうみたいね...! イプシルは第二波の把握急いで!]]
「了解!」
今回イプシルは索敵特化装備だ。
パイルバンカーと交換で追加の
大型アンダーソナーと切り替えられる。
普通のアンダーソナーはツメを刺す事で
発動するが、やはりでかい方が集積は早い。
光学・サーモ式レーダーユニットとの併用で
相手の位置を炙り出していくが、
「これは......」
「どうした?」ベータが聞く。
「光学レーダー、熱レーダーには反応があるのですが...」
「それで?」
「何故かアンダーソナーには反応が無い...しかもかなり速いです!」
「飛んでるのか?」
「飛ぶ怪獣なんて聞いた事無いですよ!」
{{そうか? こっちにはたまにいるぞ?}}
だから....対策はあるのだ。
{{口出していいか?}}
[[よくってよ]]
{{さんきゅう! よし聞け! 大砲持ちはあれにAMSDPCを叩き込め。ワイヤー持ちはブースターに注意してジャンプ! ワイヤーを突き刺したら垂らせ。次に、レールガンの...後方でチャージだ、合図で頼む。あと、でかいの...は未知数だ、地上の邪魔者をやっつけてこい。よしGO!}}
「了解!」」」」」
「ねぇ、隊長!この
[[うーんわかんないな...、身体能力は格別って言われてたんだけどどんなもんか...]]
「じゃあ跳ぶよ?」
[[いいけど前の奴倒してからね]]
「え〜」
ぞろぞろと怪獣が現れる。
「潰れろ────ッ!!」
15m級の怪獣に飛びかかると、
そのツメで深々と引き裂き、
肉をばら撒く。
そのパワーと金属由来の質量で
易易と怪獣を殺し廻る。
「ひゃぁ〜凄いなぁ〜...この大砲使わなくなーい?」
[[お偉いさんが性能信じないで付けたのよ]]
望んでいた力を得たガンマは暴れに暴れた。
「飛行型射程内! 撃ちますッ!」
アルパの射撃、
2段構えのダメージを与えるが
そんな楽に落ちない。
「ベータ跳ぶ!」
高度はかなり高いが、
ジャンプとブースターによる高跳びで
食らいつき、ワイヤーを射出。
なんとか届く
「アフリカ隊長! ワイヤー垂らします。」
{{よし、アルパ、掴めるか?}}
「やってみます! ぐっ!」
飛ぶ、ブースター点火!
燃料が足りないが、
ワイヤーを掴む事には成功した。
{{巻け! ベータ}}
「了解、巻く!」
ぎゅいいいいいッッッ!!!!
金属が擦れる酷い騒音を立ち上げ、
2機のアストリーチが登りあがる。
カンッ!!
巻き取り切った頃に
ワイヤーの巻き取り装置が
耐えかねて弾け飛んだ。
「取り付きましたッ!」
{{よっしゃ!頭を砕け、パイルバンカーを使うんだ}}
振り落とされないようにゆっくり頭まで進む。
「到着...いいなアルパ?」
「いいですよ!」
双方、キーボードによりコマンドを入れる。
かたかた...ビィーッ!
「射出ッ!!」」
ずがぁああん!
鈍い音を立て、頭に深々と刺さった。
しかし...!
「こいつ止まらないですよ!」
{{いつもよりでかいのか...? チィっ!}}
「レールガン行けます!」
{{撃て!
「もちろん...!」
ぎゅひいん!!
磁気を帯びた鉄の弾頭が頭を吹き飛ばす。
翼竜、遂に堕ちる。
だったったったったッ!!
「でぇええええいっ!」
ガッティーナが飛び上がり、空中で
アルパ、ベータ機を掴みあげる...!
「上に乗れぇッ!」
「は、はいっ!」「了解した」
2機を載せ、最初と同じように
地の怪獣をクッションとして着地。
撃破スコアを更新した。
{{あれ考えたのカラなのか?}}
[[そうよ〜]]
{{俺んとこにも欲しいな...!}}
[[伝えとくわ...! さて、ベータは下がりなさい! 武装が無いでしょ]]
「了解...」
「待ってッ! ベータ! 何かくっ付いて...」
イプシルが気づく。
くっついていた物。それは...
「箒兵が取りついてる! 殺し損ねてた!」
「落とせるか?」ベータは聞きながら
身体を大きく揺らすが、それは落ちない。
それは必死に食らいつく。
「そっちから行けるか?」
「やってみます...!」
アルパが近づこうとすると
その箒兵は杖をベータ機に向ける。
「人質みたいに...! くそぅ」
「気にするな
ベータは言うが、
今回のメンバーに小口径の機銃持ちはおらず
射撃武器で撃てば普通にベータをも
貫いてしまう可能性がある。
第三波は来そうには無いが、
ゆっくりしては居られない。
「自分で落とす...」ベータが言う
「どうやって?」イプシルが問う
「銃がある、コレで...」
「ダメだよッ!ハッチを開けたら...!」
アルパは叫ぶが...
「みんなが先に進むためだ...! 」
銃の安全装置を外し...ハッチのロックを解除。
ふー、ふー、とインカムから
ベータの息遣いが伝わる。
「開けるッ!」
ひゅいいっ!! ハッチが開くと同時に...
ずがぁあん!
魔法使いは赤い血を噴き落下した。
少し沈黙が走る。
落ちた魔法使いもベータ機も
全く動かない...。
少しの時間が流れ...
そして、
魔法使いは笑いながら立ち上がると、
どこからともなく箒を取り出した。
「逃がすかァッ!」
ガンマはすかさず跳躍し、
右手の元に轢き潰した。
音も無かった。
アルパは自機のハッチを開け、
ベータ機にゆっくりと近づく。
そしてアルパはハッチを覗いたが、
「あ......、ああぁ......。」
その中にあったのは頭の無い死体だけだった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
メカ紹介はこちら
[GAt-tiNa]
https://kakuyomu.jp/users/notunayo-exe/news/16817330651255529712
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます