桃太郎

桃太郎

女「ねぇ、ねぇ。あの子、さっき受付で桃太郎さんって呼ばれてたよ。すごくない？　今どきあんな名前。あの子の親は一体、どういう理由で桃太郎なんて付けたんだろうね」

男「君、ちょっとバカにしてるでしょ？」

女「してないよ。でも気になるじゃん。あなたはどういう理由で桃太郎って付けたと思う？」

男「……桃鉄が好きだからとか？」

女「それはないでしょ」

男「じゃあ、君はどうしてだと思う？」

女「ん〜、どうしてだろう。……あ、わかった！　桃から生まれたから桃太郎って名前にしたんだよ」

男「それは絶対にない」

女「でも聞いてみないとわからないよ。私、ちょっと本人に聞いてくるね」

男「どうだった？」

女「親が果物好きだからなんだって。他の兄妹は梨次郎くんと林檎ちゃんって言うらしいよ」

男「へ〜。すっごい単純な理由」

女「でも単純な理由であろうと、名前を付けてくれるだけマシだよね。私たちの作者は私たちに興味がないのか名前なんて付けてくれないもん」

男「仕方ないよ。自分のペンネームさえ付けない作者なんだから。きっと、名前自体に興味がない人なんだよ」