遠藤正明⑤

その後

彼女は度々ディスティニーランドに訪れた

年間パスポートを持ってるんだから当然だが

俺はいつもミッチーの役をやってる訳では無い

当然日によっては別のキャラクターを演じたりする

だけど彼女は不思議と俺がどの姿になってたとしても気づいて手を振ってくれる

嬉しい反面、キャラの演じ分けが見透かされるのは力不足を痛感する


篠崎「おい遠藤!」

遠藤「はい!」

リーダーは控え室に入って来るなりかっこいい声を響かせる

篠崎「お前にファンレターが来てるぞ」

遠藤「え!?

 それってもしかしてあの人ですか」

篠崎「バーカ

 他に誰がいるんだよ

 私が直接預かったんだから間違いない」

恐る恐る受け取った封筒には可愛らしい丁寧な字で遠藤正明様へと書かれている

ファンレターなんて貰うのは初めの俺は驚くばかりで感情が追いつかない

篠崎「お前もファンレターを貰うようになるなんてやるじゃねぇか

 ま、私の現役の頃に比べたらまだまだだがな

 今でも私目当てで来るゲストもいるしファンレターも来るんだぜ」

封筒には差出人の名前も入っている

篠崎「井上景子ねー

 いい子じゃないの

 連絡先くらい交換したらどうだ?

 私がこっそり教えといてやるぞ」

遠藤「もう、からかわないでください」

篠崎「ハハハハ」

彼女に特別な感情なんか抱けるわけが無い

あの人には俺なんかよりもっと良い人がいるに決まってる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る