ep.14 [幕間]ある雑貨屋の店主の焦燥の前菜と、ギルドマスターの怒りのソテーでございます。

 迷宮都市ザガルゴー随一の

魔法使い御用達の店[ドルチェの店]


 その店売りの物を、

ほとんど買っていった子供が

現れた。


 総額10億を少し超える買い物を

していった。


 服装からすると、貴族ではない。

カウンターを、任せている

姪は喜んでいたが

あの子供は、とんでもないモノを、

売っていった。


 希少品の下級マナポーションと

中級マナポーションだ!


 中級マナポーションなんて

市場にまず出ない、レア中のレア!


 かつて、[深淵の魔女ドルチェ!]

と呼ばれた私の所属した

パーティーだけが、

地下30階層のブルースケルトンの

ドロップ品だと知っている。


 そのことは、冒険者ギルドには

報告していない。


 そして、そのこと知っていて

あの量を売るほど、

あのアンデッド地獄で

モンスターを討伐していったって事だ。


 どういう事だ?

そんな、強力なパーティーが

いるなんて聞いたこともない。


 そして、あの顔!

必要な投資だと見定めて

買っていたな。


 浮ついた、散財ではなかった。


 まぁ、しばらくは店の在庫の

ほとんどが売れたから

ポーション屋だな…。


店を閉めて、冒険者ギルドに

久しぶりに顔を出しに行く。


 受付嬢にギルドマスターは

いるかと、ギルドカードを見せると

敬礼されて、すぐに案内された。


 ふ〜!

慣れないね。


まぁ、かなり有名になっちまった

パーティーだったから

仕方ないかね。


だが、ギルドマスター室には

草?植物?を、薄切りのサラダに

したモノの山に囲まれて

目を見開き、ボー然として

座っているレオーネがいた。


え?

なに?

この魔力の残滓は?


魔力視をすると、

とてつもない高密度の魔力で

まるで空間を切った刃のような

魔力残滓がみえた。


それも、かなり細かく

レオーネの周りに数多く

見えた。


今は、何も無い。


そして、何が起こったのか

なんとなくわかった。


レオーネの得意魔法の

プラントバインドが

この刃?を破壊できなくて

鉄よりも硬く、なめし皮よりも

非常になめらかな蔦が、

薄切りにされたのだ!


受付嬢に、戻るように言って

そして、心がここに無い

レオーネを、観察する。


エルフであり、かなりプライドと

気品が高いレオーネのこんな顔は

長い付き合いだが、見たことが無い。


まぁ、レアな顔を見て堪能して

魔力を込めた手で、

ネコダマシをする。


目を覚ます、レオーネ!


レオーネ

「は!ここは!

え?ドルチェ?いつ来たの?」


どうも、おかしい。


何があったのか、聞いてみた。


シックスという、子供が

大量にドロップ品を納めたので

呼び出して、素性を聞こうと

していたが、

信じられない事をばかり

言うので、

最後に、時空間魔法なんて

使えると騙そうとしても

駄目だと、

キツイお仕置をするつもりで

プラントバインドを発動させたら

全て切り刻まれて、

何が、自分の周りにあったのか

その時初めて知ったところまでは

覚えていたらしい。


ハァ〜。

どうやら、とんでもない奴が

出てきたみたいだね〜


お茶とお菓子を持ってきた、

受付嬢にシックスのデーターを

あるだけ持ってくるように

レオーネは、言っていた。


サラダになった、蔦(つた)をみて

かじって見た。

苦い!

だが、歯が通った!

鉄よりも硬い蔦を歯が通るくらい

薄く切ったという事だ。


レオーネも気がついて

かじっていた。

ハハハハハハハと

笑って青ざめた顔になった。


今日は、なんだか面白いモノが、

よく見られる日だね〜。



□□

迷宮都市ザガルゴー

冒険者ギルドマスター

レオーネ視点


気がつくと、ドルチェがいた。

前のパーティーからの仲間だ。


ドルチェの目が光っていた。

魔力視だ!

そして、何があったのか

聞いてきた。


そして、あったことを話した。

ドルチェの所に客として

来たという。


だから、珍しくギルドまで

来たのか。


ドルチェは、魔力は全くと

言っていいほど感じられなかったが

本人を魔力眼で見る限り

全く嘘はついていなかった。


そして、ダンジョンの情報も

間違いなかったと言う。


シックス…

何者なのだ?


そして、受付嬢が持ってきたのは

二年前の「授かりの儀」の

スカウト騒動のファイルだった。


確か、その年の儀式は

豊作だったと私も記憶している。


聖女、拳聖、剣聖、大魔導士

聖騎士に、騎士。


かなり出たのだが、

聖女達よりも強すぎる光を

放つ者がいた。

が!その場の者達は、

その者を、全員覚えていない。

儀式の名前リストすら

一時白紙になった。


そして、最近になってリストが

元に戻った。


そして、わかったのがシックス!


そうだ!シックスだった!


そして、ギルドカード情報が

グッソ公爵に流れてしまった

らしい。


他の支部に転勤になった

うちの職員が、漏らした

事がわかり処分がくだった。


うちにも、監査が来て

大変だったよ。


で?

明らかになったその者の名前が、

シックス・フォン・ルットライン

ルットライン家の六男らしい。


当主のルベイドにあったことが

あるが…


こんな安直な名前を子供に

つけるような奴だったか?


そして、狙っているのは

かなり数の貴族達。


ソロで、地下31階層までいって

2年間レベリング?


ハァ…。


これは、まずい事だぞ?!


ドルチェに、元パーティーの

仲間に相談に行きたいと

言うとついてきてくれるというので

もう、夜だが王都に出発した。




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