ep.6  3歳児の冒険!2

 「ボク? 1人で

旅をしているの?」


 ここは、迷宮都市ザガルゴーに

向かう乗り合い馬車の中。


 子供連れの家族の、

母親が、オレに声をかけてきた。


どう答えよう?

やはり、この身体の生み親は

ビスカスではあるが、

あれは、もう人の道を踏み外して

魔獣の道を暴走する外道だ。


踏ん切りをつけよう。


シックス(辛党 大助)

「うん、みんな雪に埋まった。

家も埋まった。

母親は、モンスターに、なった。」

(嘘は、言っていないぞ!)


「これから、どうするつもりだい?」


シックス(辛党 大助)

「手に職をつける。

ご先祖様が、残してくれた

ものを使って、生きてゆく。」


「なんて、子供なんだ…

しっかりし過ぎている。」


イヤ、3歳児がここまで

しないと生きていけないって

事だから、当たり前なのだろう?


やはり、違うのか?


なら、なんて世界を女神は

作ったのだろう。


確か、あの上司に罰として

この世界と、この身体を、

選んで魂を入れる

予定だったのだよな?


だが、この世界では、

ここまでしないと3歳児でも、

生きていけないって事だよな。


なんて、世界なんだよ!


ため息しか出ない。


そして、今日も馬車は

迷宮都市ザガルゴーに

向って行った。



夜の

途中の村の宿で、


シックス(辛党 大助)

「あと、1日で迷宮都市ザガルゴーに

着くのか。


 途中下車した、あの家族は

あの街で新しい生活をするとか

言っていたな。


 まぁ、元の世界に戻ったら

俺も、新しい生活を作るべく

どこか、いい会社を探さないとな〜。」


なんて、思いながら次女の

部屋から回収した

神聖魔法の魔導書を読む。


聖女専用スキル魔法?

へ〜!

そんなのが有るんだ?


なになに?

やってみるか?


そして、魔法プログラミングを

やりながら、孤独と言う毒を

やり込むという火で焼き、

疲れるという、甘いお菓子が出来て

眠りにつくことが出来る。


部屋には、闇魔法で結界を

張って眠りについた。



その頃、隣の部屋では

冒険者風の男二人がいた。


「ボスに、連絡がついた。

女2人、ガキ1人の3人だ!」


「ち!で?迷宮都市につく前に

襲うのだろ?


 もっと、乗客はいなかったのかよ~」


「仕方ねぇだろ!

吹雪のせいで、辺境伯と、

ルットライン領とバルブ領は

全滅だ!乗っているだけマシ!」



□□

どうも、盗賊に馬車が狙われている

みたいですね。



□□




次の日、朝早く

馬車は動き出す。


シックスは、できるだけ

怪しまれないように

少し買い物をして

馬車に乗り込む。


フードを被った女が二人。


一切、声を出さない。


そして、男が1人。

恐らく、この男は盗賊!


鑑定の、魔法ではそう出ていた。

いつ、襲って来るのか?


その事をずっと考えていた

シックスは、人を殺せるのだろうか?


あの人間を辞めたビスカスに

対しても、自分なら

対応できるのか?


なんて、思ってしまう。


まぁ、そんな事になる前には

元の世界に帰っているだろうが、

今は、盗賊がやってくる。


はたして、どうするのかを

かなり悩んでいた。


ラノベなら、なにかの耐性が

付与されていて何も感じないと、

言う設定である。


が?!

俺は、日本人!

犯人を、ぶっ殺す?

だが、生みの親のビスカスは

平気で自分のこともを

殺しにかかった。


オレにはできねぇ!

それが答え!


人殺しはできねぇ!


それでいいと思う!

それが俺だ!

それでいいと思う!


だが、これから殺しにくる

盗賊や外道はどうするか?


麻痺?

それもいいな!


軽い電撃で麻痺させるとか、

麻痺毒の霧を水魔法と

錬金術の組み合わせで

散布するとか?


甘いか?

甘過ぎる考えか?


あ!

【聖なる手錠】って

聖女専用のスキル魔法が

あるってあの魔導書に

書いてあったな!


レベル100だったか?

昔の大聖女様の必殺技だったと

書いてあったな。


この手錠だと、許可なく

動けない!

スキルや魔法も封印!


逆らうこともできない!


いいんじゃない?


3歳での身体で

剣で斬り合って、敵を倒すとか

そんな前提こそ間違いだよな!


だけど、レベル100か〜。

レベル1上げるのに

どれだけの労力がかかるか

まだわからないけど

ほんと、兵士の平均って

どれくらいなのだろうな?


そんな事を思っていたら

ついにやってきたみたいだな。


馬車が、止まった。


しかし、そこからが

かなり予想外の展開なのだった。


なんと、フードを被っていた

二人の女が消えた?


すると、気配察知レーダーと

マップにすぐに横の山を登る

黄色い点があった。


速い!


そして、気がつく。

そこから全く動かない。

つまり、盗賊達がいなくなるのを

待っている?


いや…。

あれだけ素早かったら、

もうすぐで着く昼休憩の

村に行けばいいだけだ。


つまり、観察だよな?


なにを、観察するんだ?

もう一人の男は盗賊。


御者は、既に逃亡。


馬車には俺しか残ってね〜!


つまり、あの二人の女は

どこの国か、それとも貴族の

スパイって事だよな。


しまった!既に疑われていたか?

3歳児の一人旅なんて

確かに変だよな。


だけど、そんな運命を設定した

女神は何を考えているのか?


元々、あの上司に歩ませる

人生なんだろう?


あの上司に、何をやらせる

つもりなのだろう?


それにしても、この状態で

元の世界に帰るまで

なんとか生きるって

ハードだよな…。


全く、ハリウッドだって

こんな映画つくらないぜ!


さてと、闇魔法[黒の衣]を

発動する。


これで、俺に対する物理攻撃や

魔法攻撃は30分の1になる。


今は、それくらいしか

安定した出力が出ない。


まぁ、3歳の処理能力の限界だ。


そして、空間魔法気配同化!

これは、薄い亜空間の膜を張って

景色に溶け込むっていう魔法だ。


そういえば、元の世界の

どこかの国がカメレオンみたいに

景色に同化する光学迷彩の

戦闘服を作っていたな。


この魔法を改造して、

プログラムしたら

魔法陣として作れるよな?


まぁ、後の話だ。


今は恐らく、上から監視している

女二人ですら、自然に見えるように

移動しないと。


盗賊達が包囲を始めたな。


ハイハイしながら

移動して、馬車から

盗賊が落とした荷物の上に落ちて、

そして、馬車の下に潜る。


空間魔法完全に気配を消して

ハイハイしながら、

盗賊達の足の間を抜け出て

道の横の森に入っていった。


レーダーには、

俺の付近には誰もいない。


そして、あの女二人も動いていない。


盗賊達が、馬車に入るが

何も無いと知ると、

付近を探索し始めた。


面倒だよな。

さて、俺は森の中を進んで

闇のかまくらを作って

マジ休む。


疲れた。

まったく、ストレス半端ない。

ヘトヘトだよ。


座って、監視していると

盗賊達は、馬車を移動し始めた。


あいつらにマーキングを

しておこう。


また、狙われたら

たまったものじゃないからな。


疲れた!

マップを見ると、盗賊達は近くの山の

麓に移動を始める。


そこには、かなり沢山の

人の気配があった。


レーダー波を停める。

こちらの位置を逆探知される

可能性に、きがついた。


さて、移動しよう。

あの女二人も動き出した。


俺は、少し移動して

偽装死体を道端に設置して

様子を見る。


女二人は降りてきて

辺りを警戒しながら

歩いている。


抜き身の剣を持って

歩いて来た。


俺の偽装死体を見つける

さぁ!どう反応する?

モンスターの、亡骸を

合成してつくったものだが

元の世界の知識では

ほとんどそっくりにつくってある。


女の一人が反応した。

剣でつついて、

生死を確かめているのか?

辺りを警戒している

もう一人の女に呟いている。


なにか、ブツブツ言っているな?


うん?

ファイヤーボール?

ドーン!


俺の偽装死体を焼いている。


そういえば、三男の騎士科の教科書に

死体はゾンビとかゴーストになるから

焼け!とか書いてあったな。


そして、俺は目が合うなんて

事があったら、いけないから

完全に気配を消して

やり過ごす。


あの女二人は、何者なのか?

とりあえず、マーキングをしておこう。


スパイなのか?

まぁ、あの素早さと

その身のこなしはおかしい。


盗賊なら、戦って街の衛兵に

引き渡せば金になる。


つまり、冒険者ではない可能性が

かなり高い。


わからね〜。


この世界を知るには

あまりにも情報が少なすぎる。


もっと慎重に、動くべきだ。


俺は街道に戻らずに

森伝いに移動して行くことにした。


レーダーに反応が、1つある。

誰だ!

まさか盗賊のみはりか?


しばらく待つと、乗り合い馬車の

御者だった。


だけど、俺はもっと奇妙な

事に気がついた。


俺の焼かれた偽装死体を

かなり詳しく見ているじゃないか!


あの女が、炭になるまで

焼いたから偽装死体とは

わからないだろうけど

調べ過ぎだよな?


え?

今なにかの魔力波を発したな!


俺の気配察知レーダーと

よく似たものなのか?


こいつ…。


そして、この御者の側に

やってきたのは、盗賊の一人だった。


グルかよ!


盗賊と御者が仲間だったとは…


馬車が、次の村に移動していた。


まさか、村も盗賊とグル?

まさか、盗賊の頭領は

村長だった!

なんて、事はないよな?


いや…、

あるかもしれないな。


宿に泊まった次の日に目を覚ますと

盗賊に捕まっていた?


洒落にならね〜。


マジ洒落にならね〜から!



迷宮都市ザガルゴーまで、

休憩無しの状態で行くことにした。


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