第27話:可愛いアシとお泊まりって楽しいですよね?
「兄様、みんなでゲームしようよ、ゲーム!」
「ゲームだと……? あのなぁー、俺は水曜までに演劇の脚本をだな」
「でも、アイデアが出てこないんですよね?」
志乃ちゃんから的確な指摘が入るものの、ゲームなんてできるはずがない。
このままだと、文芸部は廃部が決定してしまうのだ。遊ぶ暇なんてないのだ。
「張り詰めて考えたい気持ちは分かりますが、リラックスも大切です。アイデアというのは、精神的に安定しているときに、出てくるものだと思います。テストで分からなかった問題が、終わったあとに出てくることって結構ありますし」
茶髪ショートの可愛い後輩に続けて、我が妹も口を挟んできた。
「そうですよ、兄様。それに、ユズたちが付いてます! 三人で考えましょう! 一人で考えるよりも、三人のブレインで考えたほうが遥かに効率的です!」
二人の意見は、ごもっともな意見だった。
無我夢中で考えたところで、あまり効果はないかもしれない。
それでも——パソコンの前に座ることだけは避けられない。
「悪いが、俺はパスだ。二人で楽しんでくれ」
というわけで、志乃ちゃんと柚葉だけでゲームをすることになった。
俺は遠くから彼女たち二人を眺めつつ、パソコン前でアイデア出しである。
と言っても、成果は殆どなしで、ただヌボォーと過ごす時間が多いのだが。
「アイデアが湧き上がるようなゲームはありますか?」
誰もが知る世界的なゲームキャラが車に乗って、レースを行うもの。
誰もが知るゲームキャラが集結し、フィールド上で熱い戦いを行うもの。
などを遊んでいたのだが、突然、志乃ちゃんは前述の言葉を切り出した。
「……おいおい、俺に気を遣わなくていいんだぜ?」
一通り遊んで飽きてしまったのかもしれないし、手加減なしで柚葉にボコボコにされてやる気をなくしてしまったのかもしれない。それでも、変に気を遣われるほどではない。
「第一だな。そんな都合がいいゲームがあるわけ……」
「ドキドキハーレム学園がいいかも!」
「何だよ、それ……」
聞いたことがないゲームの名前に、俺も思わず反応してしまう。
「兄様も気になりますか」
ふむふむと頷きながら、黒と白が入り乱れた髪を揺らして。
「アマゴンレビューで★5を獲得。全編フルボイスで、ゲーム性が斬新ですよ!」
パソコン前にいくら座っても、出てこないものは出てこない。
それならば、と俺も混ざって、三人でゲームをすることになった。
ドキドキハーレム学園は、シミュレーションゲームだという。
基本的にはテキストを読み進めて、時折ある選択肢を選ぶ系だと。
「要するに、これってギャルゲーだよな?」
「兄様、ご名答です。あ、主人公の名前を決められますよー」
「先輩の名前でいいんじゃないですか? そっちのほうが面白そうです」
「面白そうだという理由で、勝手にゲームの主人公に任命されるのはな」
「あ、は、始まります。ここからが本番ですよ!」
柚葉が言う通り、ゲームが開幕し、暗転していた画面が明るくなる。
『ぬああああああああああああああああああ!!』
——服を脱ぎ捨てたカイトは教室を飛び出し、廊下を一直線に駆け出した
「どんな始まり方だよ!!」
——女生徒の熱い眼差しが股間に向き、カイトのは大きく疼いてしまう
——両手で顔を隠す女性陣を前に仁王立ちし、カイトは堂々と見せつける
『もしよかったらヒトシコリどうですか?』
「駅前のポケットティッシュ配りか! 気軽に誰がシコるか!」
出来が悪すぎるシナリオを見て、俺は叫んでしまった。
だが、女性陣は真剣な眼差しで。
「海斗先輩、ちょっとうるさいです」「兄様、黙っていてください」
◇◆◇◆◇◆
ドキドキハーレム学園のシナリオは、最低なものだった。
弩級すぎるほどに頭悪い主人公が、生徒及び先生にセクハラ紛いなアプローチを続けながら、女性陣から謎の信頼を勝ち得るのだ。手を握られただけで、もうお嫁にいけないと言い出し、主人公に好意を抱くヒロインもクソすぎるのだが……。
ともあれ、俺たち三人は、主人公カイトの成長を見守るのであった。
そして——。
全裸ダッシュから開幕した長きに渡る一日も無事に終わったようだ。
——西日から差し込む夕暮れ時の教室
——生徒たちが消え去ったなか、カイトは一人残っていた
『帰る前に一発出しておくか』
「性欲全開だな。節度を保てッ!」
——カイトは女子トイレで性欲を発散した
「カイト……最低です。それも女子トイレで、だなんて……」
「……兄様、幻滅しちゃいます」
「俺じゃないからな! お前らが勝手に付けた名前だからな!」
——薄汚れた白濁液が壁を伝い、落ちていく
『ふぅ……今日も濃ゆいのが出たぜ』
「爽やか青春部活系みたいな顔で汗を拭うな!」
「常習犯だったんですね……先輩」
「俺じゃないから、マジで俺は無関係だからな!」
『よしっ、女子風呂に行こう!』
「天災ぐらい気まぐれだな。一汗掻いたら、次は風呂かい!」
『でもどうしようかな……もしかしたら捕まるかもしれないし』
「普通に捕まるわ! 捕まらない可能性が一ミリもねぇーよ!」
『……大丈夫だよね? うん、きっと大丈夫だよね……?』
「今更不安がるな! さっきまでの勢いでいけよ!」
「あ、選択肢です! どうする? しーちゃん」
「慎重に選ばないといけませんね。ここは絶対に——」
『1:絶対行こう』『2:不安だけど行こう』
「無駄すぎる選択肢ッ! 分岐もクソもないただの茶番劇ッ!」
どちらが正解か不正解なのかも分からずも、とりあえず選んだ。
——意気揚々とした足取りで、近場の銭湯へと向かった
——ここまで来て、迷うことはできない。男に二言はないのだ
——正義の心を持つカイトでも、未知なる場への好奇心を止めることはできない
——さぁ、行こう。いざ、鼓動が止まらない女体の楽園へ!!
『ぎゅあああああああああああああああああああ、ババアしかいねぇええええ』
誰得と思えるほどに、しわくちゃなマダムのサービスシーン。
熟女好きならば拍手喝采で喜ぶかもしれないけれど。
青少年が楽しむギャルゲーでは明らかに蛇足だった。
そして、もう一度画面が暗転し、切り替わる。
『出来心だったんです……ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜』
——女子風呂に侵入した罪に問われ、カイトは警察に連行されていく
——今後、一生彼は『ババア好き』という肩書きを背負って生きていくしかない
「当たり前といえばそうだけど……ここからどうするんだよ!」
「……先輩、お勤めがんばってきてください」
「いや、だからさ……俺じゃねぇーから!!」
——BABAAEND——
「最後までバカゲーであれよ! 製作陣、全然分かってねぇーな」
エンディング画面に切り替わって、めちゃくちゃいいEDが流れる。
ゲームソングでは有名な歌手が歌っているのだ。唯一褒めるべき点である。
どうでもいいシーンの数々が、スタッフロールと共に流れるし。
それでも——見ていると、謎の興奮が止まらない。BGMの力スゲェーな。
「どうでしたか、兄様」
「終わり良ければ全てよしを体現した作品だな。ま、EDで誤魔化してるだけだが」
EDが終わったあと、画面が急激に暗くなってしまう。
一向に切り替わらないので、おかしいと思っていると——。
——アマゴンレビューに★5評価しないと、ゲーム機にウイルスが流れ込みます
「はぁ? なんだこれ? カウントダウン始まってるし!」
「兄様、マジでウイルス流れ込むので、さっさと書いてください!」
「ゲーム性斬新だな! これはレビュー評価が高いわけだ! 最低なゲームだな!」
◇◆◇◆◇◆
「あ、もうこんな時間。夕飯を作りましょうか」
「えっ? いいの? 志乃ちゃん」
「はい。今日は先輩の役に立ちたいですから!」
台所へと移動した俺たち三人。
お客様に料理を作らせるとは何事だと思えるけれど。
それでも、作ってくれるというのだ。お言葉に甘えよう。美味しいし。
「しーちゃん、美味しいのですぅ〜!」
「ありがとうね、柚葉ちゃん」
「先輩はどうですか?」
本日の夕飯は、和風パスタと、コンソメスープ。
冷蔵庫に余っていたシメジ、アスパラガス、ベーコンなどを用いて作ってくれた。
味付けはバターと醤油を基調とし、料理酒やみりんを少量。
捨ててしまいがちなパスタの茹で汁を再利用し、玉ねぎを丸ごと使ったコンソメスープ。
日頃から弁当を作ってもらっているわけだが、格別に出来立ての料理は美味かった。
「美味いよ。毎日食っても食い飽きないぐらい」
「……あ、ありがとうございます」
感謝の言葉を述べる志乃ちゃんは、私服の上からエプロンを付けた格好だ。
謎の新鮮さがあり、無駄にドキドキしてしまう。台所で鼻歌混じりに作っている姿も愛らしかったが、美味しいと言われて、ニッコリ笑顔を浮かべるのも……最高だな。
「先輩……料理じゃなくて、わたしも食べちゃってもいいんですよ?」
「…………冗談はやめとけな。てか、柚葉の前でそんな発言するな!」
「しーちゃんなら、お嫁に来るのを許します!」
「妹が認めても、俺がまだ認めてないっつの」
◇◆◇◆◇◆
食事を取って食器を洗い終わったあと、俺は自室のベッドで横になっていた。
「まぁ、現実ってこんなものだよな」
女の子が家にお泊まりに来る。古今東西のラブコメではラッキースケベ展開が起こるものだが、現実では到底起こるはずもなければ、俺自身が起こすはずもない。
一応、今現在進行形で、志乃ちゃんが一番風呂に入っている。
でも、それが何だ。俺には全く関係ない。
「女の子がお泊まりに来ても、何も起きない。それが常識だ」
女の子が入っている風呂場へ突撃するのは非常識。
そもそもな話、ネットに繋げれば、女体は見放題の世の中。
覗きに向かうなど愚の骨頂、女性陣の信頼を失うほうが怖い。
と、冷静に風呂場に向かうデメリットを考えていると——。
「あ、先輩。起きてください!」
肩を揺さぶられて、目を開く。
目の前には心配気な小顔があった。
どうやら俺は少しの間眠っていたらしい。
「お先に失礼しました、先輩。次、お風呂どうぞ!」
風呂上がりの志乃ちゃんは、ジャージ姿だった。
可愛いパジャマを着ちゃう系だと思っていたが、意外と実用性重視のようだ。
俺も、寝巻きはジャージ一択だし、仲良くなれそうだな。
「あぁ……柚葉に先に入るように言ってくれ」
「柚葉ちゃんなら、わたしと一緒に入りましたよ?」
「な、何ッ!」
◇◆◇◆◇◆
シャンプーで頭をゴシゴシしながら、俺は不満を漏らしていた。
「柚葉……志乃ちゃんの裸体まで見てるのかよ……」
女子の交流は凄まじいものだ。たった一日で裸の付き合いになるなんて。
男ならば、一緒に風呂入ろうなんて、普通言えないぞ?
一応、俺の家は風呂場がそこそこ大きいけれど、それでも一緒になんて……。
『しーちゃんって、意外と脱いだら大きいんですねー!』
『……て、照れるかあ、あんまりみ、見ないでください』
『今日、散々バカにされたお返しですー!!』
『……あ、んあっ……も、揉むのは禁止ですー』
少年漫画のお風呂回あるあるらしく、こんな展開が起きているのではないだろうか。
と、妄想と下半身を膨らませながらも、俺は理性を保ち続けた。
そして、風呂から上がった俺がタオルで頭を拭きながら自室へと戻っていると——。
「あ、先輩ッ!」
志乃ちゃんが、二回の廊下で立ち尽くしていたのだ。困り顔だった。
「どうしたんだ? 柚葉と寝るんじゃなかったのか?」
「全然眠れなくて……」
柚葉は遊び疲れてもう眠ってしまったらしい。
志乃ちゃんは気を利かせて、部屋の電気を決してそのまま部屋を出てきたらしい。
「それなら一緒に散歩でも行くか?」
◇◆◇◆◇◆
俺と志乃ちゃんは夜の街を歩いていた。田舎町なので、人通りも車も殆ど動いていない。あるのは、街灯と、時折吹き渡る風のみ。春が来て、温かさは取り戻しつつあるも、まだ夜になると少しだけ寒く感じてしまう。
「先輩、手繋いでもいいですか? 寒いので」
「まぁー、べ、別にいいけども。寒いなら」
「……今日の先輩は優しいです」
俺と志乃ちゃんは手を繋いだ。恋人繋ぎと呼ばれるものだった。指先と指先まで絡めているのだ。女の子らしい細かな指先が、変な感覚になってしまう。
「あの公園のベンチで休みますか?」
「あぁ、いいけど」
俺たちは近場の公園へ向かった。少子高齢化が進み、公園にはブランコしかなかった。
他には、子供が遊ぶ姿を見守るための、ベンチ程度だ。俺が子供の頃とは違い、全く遊び場感が漂ってこない。それだけ、過疎化が進んでいるということなのかもしれない。
「あの、質問いいですか」
目的地に辿り着くと、俺と志乃ちゃんは手を離していた。
まるで、他の人には見られるのは恥ずかしさがあるように。
風呂上りでまだ僅かに水滴が残った茶髪から甘い香りが漂ってきた。
「ぼっち先輩と別れたのはどうしてですか?」
「逃げ出したんだよ、俺が。才能に嫉妬してさ。最低な男だよ」
「ヘンテコな別れ方ですね。方向性の違いで解散するぐらい納得できません!」
「そう言われても、仕方ないかもな。俺さ、怖かったんだ。黒羽皐月の才能がさ」
欺くして、俺は語り出す。心の奥底に溜め込んでいた、俺の闇部分を。
黒羽皐月は“萌え神”の異名を持ち、多くの読者を魅了する存在だ。
彼女の小説は読者の心を鷲掴みにする完成度で、レビューサイトでは絶賛の嵐を受けている。この才能に文壇が気付くのも時間の問題だろう。いや、もうすでに気付き、多くの出版社が、黒羽皐月という作家を取り合っているかもしれない。
「んで、逆に俺は弱小ネット作家。ブクマも数百程度止まりで物語の完成度も低い」
黒羽皐月は雲の上の存在なのだ。今後、有名な賞を獲得し、人々の心に残る作品を書き続ける偉大な作家になる。そう確信できるからこそ、俺は思ってしまったのだ。
「このままでは黒羽皐月という小説家の人生を終わらせてしまうかもしれないってさ」
実際問題。
俺と付き合っていた頃、黒羽皐月は小説の更新頻度を極端に落としていた。
毎日更新するほどに、大好きな小説を。執筆を最高のゲームだと言い張る人がだ。
感想欄には、続きを待つ読者の嘆き声が溢れていた。更新しても、今までのキレが消えて、先輩贔屓する俺でさえ、「面白くない」と思えるほどの出来になっていた。
「原因は間違いなく、俺だったよ」
海斗のために、と俺を優先し、黒羽先輩は尽くしてくれたのだ。
逆に言えば、それは彼氏を優先して、趣味の時間を犠牲にしていたことでもある。
つまり、大好きな執筆時間を犠牲にして、俺みたいな男にかまけていたのだ。
「だから、別れたんですか?」
「大方の理由はな。俺は足枷にしかならないからな」
「黒羽先輩はそう思ってないかもしれませんよ?」
「あぁ、分かってるよ。だから、俺は逃げ出したんだよ」
優しい先輩は絶対に拒絶しないから。自分から拒絶してしまったのだ。
それが、黒羽皐月の幸せだと勘違いしてさ。
ただ、それが原因で、彼女は自殺未遂を起こしてしまうことになるのだが。
「身勝手な話だよな。勝手に愛して、勝手に傷付いて、勝手に振るんだからさ」
俺がポツリポツリと言葉を吐くと。
「ぼっち先輩のこと今でも好きですか?」
真っ直ぐな瞳を浮かべて、志乃ちゃんが訊ねてきた。
その答えは、本人には決して伝えていないけれど、俺は既に持っていた。
内緒だぞ、と鼻先に人差し指を当てて。
「あぁ、好きだよ。忘れられないぐらいにな」
「やっぱり……そうですよね」
志乃ちゃんの態度は余所余所しかった。
それから淡々と言葉を吐き捨てる。
「寄りを戻すつもりはないんですかー?」
「今の関係性がちょうどいいんだよ」
「そんなこと言ってると、奪われちゃいますよ」
「あぁ、確かにな……。黒羽先輩は美人だしな」
一年後、黒羽皐月は高校を卒業し、大学に進学するだろう。
そうすれば、男共はそんな彼女を放っておくはずがない。
「違いますよ、海斗先輩の心がって意味です」
「ん?」
「わたしが、海斗先輩の心を骨抜きにしちゃうって話です!」
椎名志乃は俺の手の上に、自らの白い手を重ねてきた。
そのまま、こちらへ顔を近づかせて、俺の唇を狙ってくるのだが——。
「悪いが、俺の唇は安くねぇーぞ」
「……先輩って意外とガード固いですよね?」
「自分を安売りしたくねぇーんだよ」
「折角、今良い雰囲気だったのに……残念です」
その後も、俺と志乃ちゃんは、夜の公園で会話を続けた。
他愛ない話だった。本当にどうでもいいことだった。
ただ、椎名志乃と喋るのは全然嫌な感じがしなかった。
黒羽皐月と付き合い始めた当初を思い出すような高揚感があった。
「最近見たアニメの話なんだが、尺の使いすぎなんだよ。全十二話のアニオリ作品なんだけどさ、物語の導入に8話まで掛かるんだぜ。その後、今まで不可解だった点を説明して、根本的な謎の解決に迫るわけなんだけどさ……アレは、流石に——」
「………………………………」
隣を見ると、すーすーと規則的な吐息を出す少女の姿があった。
「……あはは、寝ちゃったか。高校生ってか、中学生にも見えるな」
と言っても、数ヶ月前まで、中学生だったわけだが。
そう考えると、変な感じがするよな。性犯罪のニュースとか見るけど、中学生に手を出すのと、高校生に手を出すのは雲泥の差があるように感じてしまうし。
肩を揺さぶってみるけれど、全然起きる気配はなかった。
「完全に寝てるな……にしても、寝顔は可愛いなぁ」
このままでは埒が明かないと思い、俺はおんぶして帰ることにした。
椎名志乃は、思っていた以上に軽かった。手足が長いので、もう少し重いかなと思っていたのだ。黒羽先輩を何度かおんぶしたことがあるが、志乃ちゃんのほうが軽い。まぁ、黒羽先輩は背中越しに柔らかな弾力があるが。
「お、お父さん……」
突然、耳元で囁かれた言葉。
吐いた人物は——椎名志乃本人だった。
今にも、涙が零れ落ちそうなほどに、脆い口調だった。
そして、続けて、愛らしい茶髪ショートの少女は口に出す。
「——ごめんなさい」と。
その放たれた言葉が、どんな意味を持っているのか。
そんなことは、俺には全く分からない。
でも、椎名志乃の奥底から漏れ出たものだと確信して分かった。
だって、彼女の頬を伝って落ちてきた水滴が、俺の肩にポタポタと当たるからだ。
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作家から
執筆時間が足りなくて、文字数が増えてしまいました。
大変申し訳ないです。もう少しお時間があれば、洗練されたものにできたはずです。文字数を減らして、無駄をもう少し省けたのにねぇー。
※タイトルを変更しました。
旧『弱小WEB作家の俺氏、ガチ恋勢の後輩ちゃんに溺愛される』
新『弱小WEB作家の俺、甘やかし上手な専属アシを雇う。献身的な態度で業務に励むも、実はストーカー気質なガチ恋勢でした。〜先輩の小説は世界で一番面白いと褒められながら、小説を書ける環境は最強です〜』
PV稼ぎを狙うために、タイトル変更は今後もするかもしれません。
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