第二話 最強の男の情報
何処を探せば良いのか?
考えた結果、俺が選んだのは渋谷だった。
うちの中学の不良と繋がりがあるのがヤンキー、愚連隊、暴走族。
その方面で探していると、俺がこんな行動をしているのがばれるかも知れない。
それに対して渋谷なら、チーマー系でヤンキーや暴走族に繋がりが無い。
それに、ロン毛にブーツを履いて、お洒落な彼らの方がカッコ良い。
そう思ったからだ。
◆◆◆
◆◆◆
中学に行く振りをして渋谷を歩いた。
うちの親は夜遅く帰ってきて、放任主義だから問題は無い。
中学からの電話も電話線を外しておいたのでバレる迄大丈夫だろう。
危ない格好している人間を探し、渋谷で一番強い人は誰か片っ端から聞いてみた。
違う名前が一部の人から出る物の皆が同じ名前をあげる。
「渋谷。恐らく何でもありなら竜生(偽名)くんだよ!」
「まぁ、性格も悪く碌な奴じゃないけど…竜生だろうな」
かなりの人数から『竜生』その名前が上がった。
噂では残虐非道…殺しすらやりかねない。
いや人を殺している。
レイプした女は数知れず。
『本物の悪人』
そういう噂がある人間だった。
聴いた話しだけでも桁が違う。
ヤンキーや暴走族の喧嘩とは違う。
もっと残酷で『何でもあり』の喧嘩。
その頂点に立つ人が『竜生』くんだ。
もし、この人と喧嘩出来たら何かが変わる。
そう思った…
まだ、当人には会ってない。
話を聞くだけでこの人間には『誰も勝てない』そう思った。
◆◆◆
「竜生くんに会いたいだって? ガキの癖に? 薬の売人とかにされちまうぜ…やめとけよ! 悪い事は言わない…」
「竜生、ヤバいって! 機嫌が悪いと死ぬから…」
誰もが会わない方が良い。
そう言って会わせてくれない。
だが、その言い訳の理由は『俺を気遣う』優しさからに思えた。
だが、俺は会わない訳にはいかない。
会って『タイマン勝負』をし、人生をやり直したい。
そう思った。
何人に声を掛けただろうか?
1人の男が話を聞いてくれた。
「お前、なんで竜生くん探しているの? 恨みでもある訳?」
なんでもこの人は同じチームに入っているそうだ。
直球勝負で、自分の事情を話した。
「あっ!お前、竜生くんに喧嘩売ったら死ぬぞ! あの人は強いんじゃない怖いぇぇんだよ! ほら…」
そう言って見せて貰った口には歯が無かった。
「それは…」
「俺は仲が良い方なんだけどよ…ちょっと怒らせたらこれだ…これでも仲間だからこれで済んだんだぜ! 竜生くん怒らせて目を潰された奴、指が無くなった奴…女で売春をさせられている奴…そんな奴もいる…人生は変わるかも知れないが…死ぬかもな」
「それでも俺は…」
「そうかい? なら竜生くんに伝えてやるよ!そうだな! 10万円持ってきな…そうしたら繋いでやる」
前ならその位の金はあった。
だが、今の俺は、無一文だ。
彼奴らに金を取られたからな…
「金、集めたらもう一回きます」
「そうか…来ない方が良いぞ」
何故だろうか?
渋谷の危ない人の方が…同級生より優しく感じた。
◆◆◆
お金をどうするか?
よくよく考えた俺は『万引き』に『泥棒』をすることにした。
全くの他人から盗むのは気が引けたから…俺を虐めの的にしている親から盗む事にした。
今迄、俺が脅し取られた金は100万円近い。
だったら、10万円位此奴らの家族から取り戻しても良い筈だ。
幸い、俺を脅して金を取っていた奴の中の何人かは『お店』の子だった。
だから、困らない。
ホームセンターから、ヤンキーが欲しがる三連コーンを盗んだり。
お菓子屋のレジから万札を抜いたり…
電気屋に積んであったビデオデッキを盗んで走って逃げた。
他にもウォークマンみたいな物等、盗んで…学生街の質屋で年齢を誤魔化して売った。
今だと無理だが、昔は今と違い防犯ビデオも無く。
身分証を無くても買い取ってくれる甘い質屋が存在した。
※ 勿論非合法です。
尤もかなり安く買い叩かれるが…
今思えば、中絶を裏で行う闇医者も居た位だから時代的に狂っていたんだろうな。
だから10万円なんて金額はすぐにどうにかなった。
いざ、やりだすと『最初からこうすれば良かった』
俺が盗んでいるのは…取り返しているだけだ。
お前達のガキが俺から奪っていった金の一部をな…
そう考えたら『悪い』とは一切思わなくなった。
◆◆◆
念のため15万円のお金を持って渋谷に行った。
そして、以前、竜生くんのチームだっていう男の元へ向かった。
「お前、本当に来たの? 仕方が無い奴だな…一応は話しておいたぞ! 10万円は持ってきているんだろな? それさえあれば『殺されはしない』持っているな?」
「はい」
「それで『竜生くんと喧嘩したい』その為に10万円払う! それで良いんだな?」
「はい」
「解った」
そう、その男は了承すると何処かに連絡をした。
「今、竜生くんに連絡を入れた…もう逃げられないぜ」
男が笑顔で俺を見ていたが…何処か恐怖したように顔が引き攣って見えた。
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