第2話ましーん

レンタカー屋さんは、車の貸出をするだけだと思っている人は多いとおもうが、実際は非常に仕事が多い。

貸出、返却はもちろん、洗車、回送、予約の電話は朝から閉店まで、事故報告処理、アルバイトの育成、シフト管理、売掛金の管理、車両点検管理、チラシ配りから店舗清掃、洗濯、絵画リース、宅配受付、経理、人事、総務、営業、全てをしなければならない。

アルバイトを志望する若者とすれば、車の回送が主で、色々な車の運転が楽しめると思い込み、やって来るが、現実が思っていた事とかなり違うので、びっくりするらしい。

一台の車を届けるのに2台で行き、帰りは1台に2人乗って帰ってくる、引取の時は逆で1台に2人乗って行き、2台で帰る、2〜3件の回送が終わって帰って来ると、貸出準備の出来ていない車の洗車がいっぱい残っている。

事務所に帰りたばこを一服、2本目を吸おうと動作を起こす前の絶妙なタイミングで

「ハイ、洗い物がたまってるよ!ヨロシクね!」

タヌキ、いや、タムラ所長の声がかかる。


ある日外出先から帰ると、その男はいた、僕が休日の日に働き始めたらしいが、何も知らされていなかったので突然な現れたように思われた、

「三井のねーちゃんの弟だ、教えてやってくれー」

以前に、事務でアルバイトに来ていた三井さんの弟さんらしい

「三井です……………」

男の声は小さかった、語尾の "よろしくお願いします" とか "三井の弟です" 等の言葉が続いて出て来なく、無口な男の印象が付いた

「よろしくね、 …………」

「…………………」

次の僕の言葉を待っているようだ、会話に詰まってしまった僕が、所長の顔を見ると、

「洗車だけだけど、面倒見てやってくれ!」

?????

一人だけ特別扱いは許せないと、僕の正義感が声の音量を上げさせ

「洗車だけって、どういうことですか?」

「おう!高校生だからな!」

え!…………

またしてもタヌキ所長のずる賢さをみた、洗車専用アルバイト、誰もが想定外の事で、

""洗車ましーん三井"" の誕生てある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る