第11話
「青っちの家は近くなの?」
「あぁ。ここを曲がったところ」
「そんなに近いんだ?」
舞は驚いて目を丸くする。
「あぁ。だけどここを曲がると学区は変わるんだ」
「そういえばそうだったね」
曲がった先にある縦貫道路を抜けたら、学区が変わる。
中学校の学区も別々になってしまう。
だから今まで合わなかったのだ。
「こんなに近くなら、もっと会えてたかもしれないのにね」
思わずポツリと呟いた。
青っちが切なそうな表情になる。
「ごめん。俺、舞の家知ってたのに来なかった」
「別に青っちを攻めてるわけじゃないよ」
舞は慌てて顔の前で手を振った。
「俺、どうしても強くなりたかった。強くなってから舞に会いたいと思ってた」
「そうだったんだ」
青っちが自分のことを覚えていてくれていたことが、嬉しくてくすぐったい。
「じゃあ、青っちにとっては思惑どおりだったんだ?」
「そういうこと」
青っちは照れくさそうに笑って頭をかいた。
その仕草も昔となにも変わらない。
見た目が大きく変わっても、青っちは青っちだ。
「じゃあ、また学校でね。今日はありがとう!」
舞はそう言って手をふると、お土産でいっぱいに膨らんだバッグを持って家へと向かったのだった。
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