第3話

☆☆☆


噂通り、転校生はやってきた。



ホームルーム中先生に呼ばれて教室に入ってきたその人は190センチ近くありそうな高身長に、筋肉もしっかりとついた大きな男子生徒だった。



彼が入ってきた瞬間教室内の男子たちが一斉に「おぉー」とざわめいた。



イケメンを期待していた女子たちは期待はずれだったのか、すでに興味をなくしてしまっているようだ。



「青木航です。よろしくお願いします」



その人は見た目によらず、優しげな声で挨拶をした。



へぇ、航っていう名前なんだ。



ぼんやりと黒板に書かれている文字を見つめていた舞は、一瞬彼と視線がぶつかった。



その瞬間ふわりと微笑まれて目を見開く。



驚いて周囲を確認して、また視線を戻すと航はすでに笑みを消していた。



今一瞬自分へ向けて微笑まれた気がしたけれど、気のせいだよね?



舞はまばたきをして、彼を見つめたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る