フォークの魔神
長島芳明
ファークの魔神
YouTuberとしてそこそこ活躍しているエヌ氏は、ここ最近再生回数の伸び悩みが頭痛の種だった。話題になる動画を作れないでいた。
来年の春に花嫁になる彼女に相談したら「タイ旅行に行ったら、現地の骨董商に『願いを叶えてくれるフォーク』」などと、細工が施されたフォークを渡された。タイ王室御用達のフォークらしいが、いかにも観光客相手の商品で胡散臭い。
しかし物は試しに嵐の晩に「You Tubeで話題になる動画を配信したいです」とテーブルの上に置いて願ったら、フォークからモクモクと煙が出てきた。そして神とも悪魔とも呼べない生物が現れ「私はあなたの願いを叶えるものです」と紹介してきた。
エヌ氏は腰を抜かしたが、チャンスと捉えて「You Tubeで話題になりたいんです」と正直な気持ちを吐露した。
「お任せください。You Tubeの生放送を使って話題になりましょう。その時、将来の花嫁さんと登場して結婚報告してください」
「結婚報告はひねりがないですが」
「そこはお任せください。話題にさせますから」
エヌ氏は言われたとおり、生放送をした。花嫁と神とも悪魔とも呼べない三者で生放送を始めたが、モニターに写っているのはエヌ氏と花嫁だけだった。
(得体の知らないものだから映らないかも知れない)
と思い、結婚報告をした。馴れ初めから思い出のデートの話をして盛り上がっていたら、テーブルの上のフォークが動き、花嫁の喉元を突き刺した。
エヌ氏は中継をやめようとしたが、中継は続いた。電源や電波も切ったが中継は続いた。スナップ映像が拡散され、エヌ氏は殺人容疑で逮捕された。
そして物申す系YouTuberによって、エヌ氏の動画は話題になっていった。
フォークの魔神 長島芳明 @gunmaNovelist
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます