普通の高校生の俺が酷い境遇の異質な少年に憑依したが、その少年危険生物だったので頑張って生きていく。

@Re-OD

第1話 少年の境遇


「僕って何の為に生きてるんだろう···」


 辺り一面が真っ白な部屋の中で1人の少年が独りごちる。その少年は小柄で小学校2年生ぐらいの体格をしている。


 少年は童顔で可愛らしい顔をしているが、その表情に生気を感じられない。


 それは当然の事だった。


 少年は生まれつき特殊な体質を持っており、それを危険視されて物心つく前からこの部屋に閉じこめられていた。


 部屋は目測で100〜500人が入ってもまだスペースに余裕のあるくらい広い。


 室内にあるものとしてはベッドと洗面所と洗面所に付いている鏡と複数の監視カメラだけだ。


 奥に扉が2つ存在する。それらはトイレとこの部屋の出入り口だ。


 部屋一面真っ白だが、一面だけガラス板になっており、奥にはこの部屋と同じくらい広い部屋が見える。


 つまりこの部屋には何も無いのだ。


 娯楽も勉強する物もそれ以外の何もかもが無い。


 かと言って誰かが様子を見に来る訳でも無い。


 強いて言うなら1日に3度料理を届けにくる者がいるくらいだ。


 少年がその者に話しかけても一切の反応も示さない。


 部屋には何も無く、人とコミュニケーションも取れない、ただ退屈なだけの日々。


 そんな生活を少年は5年以上過ごしていた。


(まぁ···どうでも良いか。)


 少年は全てを諦めていた。


 ここの人間は絶対に自分を開放しない。


 自分が外に出ることは永遠に無い。


 ここでの生活でそう確信してしまった。


 そのため、今日も少年はいつも通り退屈な1日を過ごす。


 数日後に自分の現状が劇的に変わる出来事がある事を知らずに。

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