ベイビー・プレゼンテーション
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ベイビー・プレゼンテーション
・開幕
某国、ある種先鋭的にIT技術が発達した州都にて、何の変哲もない普通の夫婦がいた。二人の男女はソファに深く座り、ごく一般的なVRゴーグルを装着している。
「楽しみだね」
「ええ、本当に。なんだか私とあなたの人生がぐんと進む気がするの」
「それを言うなら、僕らと新しい家族の、だろう?」
「そうね、そうだったわ。ああ、本当に待ち遠しい。スズキさんはまだかしら」
「彼は日本人だからね、きっと時間通りに来るよ」
彼らの姿以外には何もなかったVR空間が揺らぎ、一人の男が現れた。背が高く姿勢が良いためか、紺のスーツがよく似合っている。その顔が機械的に微笑んだ。
「僕は日系なだけで、日本人ではありませんよ。まぁ時間通りに行動はしますが」
「スズキさん! ほんのジョークだよ、怒らないでくれ」
「ええ、ええ、わかっています。さて、少々性急ですが本題に入ってもよろしいですか?」
夫婦が頷くのを確認すると、スズキは空間を操作して数枚の資料を表示した。
「まずは弊社サービス『ベイビー・プレゼンテーション』をご利用いただき、あらためて感謝を。このサービスは名前の通り、事前に提供していただいたお客様の精子と卵子の遺伝子情報に基づきAIを使って様々な遺伝子パターンの赤ん坊が成長した姿をVR空間に投影し、実際に対話することによってお客様のご希望に沿ったお子さんを確実にお選びいただける、というものです。今回お二人をお招きしたのは──まぁお察しかと思いますが、弊社既定の基準を全てクリアし、ご対面の準備が完了したためです」
夫婦は俄かに色めき立った。これから未来の我が子と実際に会話できる、という期待だけで男の胸いっぱいが幸福感に満たされた。
「膨大なパターンの中から初めにAIが十通り選別し、僭越ながら私がそこから五人をピックアップいたしました。お客様とはこれまで何度も顔を合わせ、その都度細かいご要望を拝聴していましたので、ご満足いただけると自負しております。何かご質問は?」
「ないさ! さっさと始めよう!」
スズキはニコっと綺麗な微笑みを作った。
「それでは、『ベイビー・プレゼンテーション』スタートです」
・アルフレッドのプレゼンテーション
「僕の名前はアルフレッド、この姿だと十三歳だよ」
最初に現れたのは、活発で純粋な瞳をしている男の子だった。無邪気に歯を見せるその笑顔は、夫婦の心を簡単に射抜いた。
「よろしく、アルフレッド」「まぁ! なんて可愛いの」
「ありがとう、ママ」
ママ、と呼ばれた女は幸福感でどうにかなってしまいそうだった。なんとか平静を保ってアルフレッドに先を促す。
「うーん、プレゼンテーションっていうのはよくわからないけど、とりあえず自己紹介すればいいんでしょ?」
アルフレッドは二人が頷くのを確認してから、自信に満ちた声で切り出した。
「僕はベースボールが大好き! 七歳の頃、パパに少年クラブチームに連れて行ってもらって、それからずっとベースボール一筋なんだ、もちろん他のスポーツも得意だよ。なんたって学年で一番足が速いんだから。勉強は、……少しニガテかも。でもでも、友達に放課後教えてもらったり先生に質問したりして、いつか得意になれるように頑張ってるんだ」
「ベースボール!」
男はほとんど無意識にサムズアップした。
「最高じゃないか! そうだよ、子どもにはベースボールをやらせようと思ってたんだ。君は未来のオオタニになるんだね?」
「うん! 絶対なるよ、約束する」
アルフレッドは年相応な自信に満ちた頷きを返した。
「決まりだ! アルフレッドにしよう」
男は興奮そのままにそう口走ったが、女に手で制される。女のほうはまだ幾ばくか冷静だった。女は名門大学の理系を卒業していた。男は無名の文系を中退している。
「ちょっと落ち着きましょう、あなた。こういうのはちゃんとしないとダメ」
「なんだい。何か不満な事でもあるの?」
「そういうワケではなくて……。スズキさん、今日会える子は全部で何人だったかしら?」
「膨大なパターンの中から初めにAIが十通り選別し、僭越ながら私がそこから五人をピックアップいたしました。お客様とはこれまで何度も顔を合わせ、その都度細かいご要望を拝聴していましたので、ご満足いただけると自負しております」
スズキは一切の淀みなくテンプレートを答えた。
「だそうよ、まだ四人も残ってる。だから、他の子たちも見てから決めましょう?」
「あぁ、あぁ、確かに! 少し急いでしまったようだ、ごめんな」
「いいのよ、ハニー。あぁ、だけど……」
「なにかな?」
女は言いづらそうに身をよじった。
「これはあくまで私のわがままだけれどね、できれば私たちの子はお勉強ができた方が良いと思うの。ほら、ベースボールも素敵だけれど、それだけだと将来が不安というか、頭が良ければ億万長者にはなれなくとも食べてはいけるでしょう?」
「うーん、僕は不安だとは思わないな。勉強は努力次第でどうとでもなるさ! もちろん君の心配はもっともだけど、君は少しリアリストすぎるところがあるからね」
男は典型的なロマンチストだった。
・ベアトリスのプレゼンテーション
「え、えっと、私、ベアトリス……、十五歳」
次に現れたのは、内気で臆病な瞳をしている女の子だった。緊張しているのか固く引き結ばれた唇と震えた肩は、夫婦の親としての庇護欲を目覚めさせた。
「やぁ、ベアトリス」「そんなに緊張しなくてもいいのよ?」
ゆっくりでいいからね、と夫婦は優しく語り掛け、ベアトリスに先を促す。
「うん……、えっと、プレゼンテーション、要は私を選ぶメリットを提示できればいいってことだから…………、ええっと、私の得意なことは、勉強、というか理系科目かな? 運動は……、できないし、人とのコミュニケーションも緊張しちゃうから」
「それじゃあデメリットのほうが目立っちゃうわよ……」
女が思わずツッコミを入れると、ベアトリスは慌てて、やっぱり聞かなかったことにして、と手を振った。
「勉強が得意って、どれくらいかな?」
微笑ましいものを見る生ぬるい目を向けながら、男はそう訊いた。ベアトリスはあごに手を置いて思案顔をする。
「えっと、二つ飛び級して来年大学に進学するくらい」
「まぁ! とってもすごいじゃない」「あぁ、これはとんでもないメリットだよ、ベアトリス」
「あ、いや、でも周りには私よりもずっと早く大学に入った人がいるし、私くらいのレヴェルなんて、普通だよ……」
途端にベアトリスはうつむいて下唇を浅く噛んだ。
「そんなの、どうでもいいわ」
女の力強い声に、ベアトリスははっと顔を上げる。まっすぐな目をした女と目が合った。
「もっとすごい子がいるとか、平凡だとか、私たちには関係ないの。ベアトリス、あなたがすごいのよ、私たちにとって誇りなの」
……まぁそれはまだ未来の話だけれどね、と少し軽い調子の一言を加えつつ、女は感じたことを率直に述べた。それを聞いたベアトリスは目を見開いて感動したように、夫婦には見えた。何か言いたそうで、しかし口をつぐんだ。
「……っ、…………、ありがとう」
結局、ベアトリスが発したのはそんな小さな声だった。
・ケイシーのプレゼンテーション
「やぁ、父さん、母さん。僕はケイシー、今は確か十八歳だったかな」
三番目に現れたのは、陽気で温和な瞳をしている男の子だった。背がすらりと伸びながらも線の細い体格と大人っぽい落ち着いた態度に、夫婦はやや面食らった。
「こんにちは、ケイシー」「ずいぶん大きくなった子も来るのね」
「ははは、僕も成長しすぎかな、とは思った。けどこの状態が一番僕のことを二人に伝えられそうだったから」
夫婦はなるほど、と頷きを返し、ケイシーに先を促す。
「そうだな……。まず僕は他の子どもたちと違って、これといった特技とか自慢できることはあんまりないんだ。あぁ、けど『人に優しくしよう』っていうのは常に意識しているから、そこは美徳かもしれないね」
自分で言っちゃあ、わけないけど、とケイシーは頭を掻いた。
「とても良いことじゃないか、誰も彼もがそう簡単にできることではないさ」
男は感心を表現するために何度も深く頷いた。
「ありがとう、そう言ってくれるとすごく嬉しいよ」
ケイシーは綺麗に生え揃った歯を見せながら笑う。その笑顔は年相応の若々しい活力に満ちていた。それからケイシーは何かを思い出したように、そうだ、と声を上げた。
「二人に言っておかなきゃいけないことがあるんだ。これを話さずして、僕のプレゼンテーションは成り立たないくらい重要なファクターだよ、少なくとも母さんたちにとって」
ケイシーは、僕にとっては正直大したことではないんだけど、と肩をすくめた。
「何かしら、まさか重大な病気を抱えているとか? だとしたら杞憂よ、私たち収入には困ってないから、きっと手術を受けさせてあげられるわ」
「違うんだ、母さん。いや、違わないのかもしれないな。二人ともよく聞いて、僕はゲイだ」
夫婦は驚愕に目を丸くした。
「ゲイって、君は男が好きなのかい?」
「そうだよ、何度か交際したこともある」
明らかな困惑を示したのは男の方だった。侮蔑というより、理解に苦しんだ結果だった。
「それは……、なんというか、いやもちろんそういう考え方だってあって良いんだけど、少し分からないな。そもそも僕も彼女も異性が好きなのに、ヘンじゃないか」
「全くおかしなことじゃないさ、変じゃない。ヘテロセクシャルの夫婦からゲイが生まれることだって自然なことだよ」
それまでと何一つ変わらない穏やかな口調は、男のざわつきかけた心を静めた。
「……確かにそうだね、軽率だった、謝るよ」
「気にしないで。それに父さんと僕は案外うまくやっていけるよ、父さんは柔軟なひとだから」
「そうよ!」
それまで静観していた女が突然大きな声を張り上げた。
「異性とか同性とか、それがどうしたって話よね。大丈夫、ケイシー、私はあなたの味方だから。私は確かに異性愛者だけど、同性愛にも理解があるつもりよ」
女はどこか誇らしげだった。
「だって日本のボーイズラブマンガをよく読むから。要はああいうマンガに出てくる男の子みたいな趣味をしているのよね?」
ケイシーはそれに対して何も言わず、ただ微笑んでいた。
・ダリアのプレゼンテーション
「ねぇ、お父さんもお母さんも、どうして子どもを欲しがるの?」
四番目に現れたのは、何かを諦めた瞳をしている女の子だった。唐突に投げつけられた疑問とその明確な拒絶の意志に男はたじろいでしまった。
「ええっと、ずいぶん難しいことを訊くんだね、どうして……か」「そんなの決まってるじゃない、その方が幸せだからよ」
まずあなたが誰なのか私たちに教えて、と女は優しく訊ねた。
「私はダリア、歳は一四。ねぇ、その『幸せ』って、誰にとってのものなの?」
「それはもちろん、私たち夫婦と、このプレゼンテーションで選ばれる一人の幸せよ」
ダリアはわざとらしくため息をついてみせる。
「それは傲慢だと思う。私たち子ども側は選ぶ権利がないから。あなたたちは子どもができて幸せになる、けどそこに私たちの幸せがある保証は何もない。かのショーペンハウアはこう残した、『存在は苦しみで満たされている』。生きることって本質的には不幸なの、分かる? それをあなたたちは、これから選ばれる子どもに押し付けようとしている」
まぁ私が選ばれることなんてないでしょうけど、とダリアは口の端を歪める。
「ダリアは哲学が好きなのね」
「違う、お母さん。私は哲学が好きなんじゃなくて、私のこの浅はかな絶望に沿ったお偉い方々のありがたいお言葉が好きなだけ。ショーペンハウアの本なんて読んだこともない、もちろんニーチェもカントも、アリストテレスですらね。勝手に好意的な解釈を押し付けないで」
女は何も言えなくなってしまう。本当に、この皮肉と絶望に囚われた少女が、私たち二人の子どもの可能性だというのか? スズキの悪ふざけではないのか?
「うーんと、ダリア。父さんあまり頭が良くないから、難しくてよく分からないよ。一体何が言いたいんだい?」
男は正直にそう告げた。
「要するに、子どもを産むのをやめてほしい。それは私たちのためにならないから」
「ふざけないで!」
女はダリアをきつく睨みつけた。
「あなたに何が分かるの⁉ そんなの、まだ決まってないじゃない。確かに苦労することもあるでしょうけど、楽しいことや嬉しいことだって人生の中でたくさんあるはずよ。勝手に不幸だと決めつけるのは許せないわ、いくら私たちの子どもであっても」
「でもお母さんだって、私と何も変わらない」
ダリアは母親を指差した。薄く微笑んだその顔が、かえって不気味だった。
「……何が、変わらないって言うの?」
「お母さんは最初にこう言った。『その方が幸せだ』と。私は人生を不幸だと決めつけている、確かにそれは視野の狭い考え方ではある。一方でお母さんは、子どもが生まれることを幸福だと信じ切っている。それって私と同じくらい、もしかしたらそれ以上に浅はかな考えだよね?」
「なんですって!」
「まぁまぁまぁ、二人とも落ち着くんだ」
男は間に割って入り、仲裁した。
「あなたは悔しくないの⁉ こんなにひどいことを言われているのよ」
「僕には正直何がなんだか……、けどここで口論するのは違うんじゃないかな。結局、結論は出ないだろうから」
女をなだめる男を見ながら、ダリアは鼻を鳴らした。
・エマのプレゼンテーション
「私の名前はエマ、よろしく。『エマ』には『全て』という意味があるんだ。まさしくこのプレゼンテーションの最後を飾るにふさわしい名前だと僕は思う」
最後に現れたのは、純粋で臆病で柔和で冷めた瞳をしている中性的な人物だった。エマ、という名前からおそらく女の子だろうが、少年のようにも思えた。
「よろしく、エマ」「あなたで最後ね、なんだかあっという間だわ」
「早速だけど、お父さんもお母さんも、これまでの四人をどう思った?」
夫婦は顔を見合わせて、エマからの質問にどう回答するかしばし考えた。
「そうだな」
先に答えたのは男だった。
「アルフレッドはまさにぼくの理想とする少年だったな。僕はスポーツが好きだし、子どもが将来有望なベースボールプレイヤーなんて最高さ」
「ベアトリスは少しおっちょこちょいなところがあるけど、とても可愛らしかったわ。お勉強が得意なようだし、きっと安定した幸せな人生を送ってくれるはずだわ」
「ケイシーには少し驚かされたけど、彼と過ごす毎日は楽しいだろうね。残念ながら彼が苦労する場面は多いだろうけど、それなら僕たちが支えてあげるだけだよ」
「ダリアは……、率直に言って分かり合えないと感じたわ。あんな絶望を抱えている子とどう接していいかも分からない。けど、彼女の考えにも一理あることは確かだと思う」
二人は正直に四人の子どもたちの印象を述べた。エマは元気よく相槌を打ち、下を向いて怯え、穏やかな顔をして、確かな拒絶をにじませながら聞いていた。
「そっかそっか、二人にはあの子たちがそう見えたんだね」
まるで本当は違うかのような言い方に、夫婦は眉を寄せた。
「ああ、いや、他意はないんだ。悪く思わないでくれ。だいたい好印象みたいで安心したよ。アルフレッド、ベアトリス、ケイシー、ダリア、みんなとてもいい子だったね」
「それはもう、これ以上ないくらいに」
エマは男が頷くのを見て、溌溂と卑屈で柔らかく苦しそうに微笑んだ。
「あなたのことも私たちに教えて、エマ」
女はエマのどこか不気味な雰囲気に魅了されつつあった。そんな女の心情を知ってか知らでか、エマは女の姿をその黒い瞳に映し、蠱惑的な笑顔を見せる。
「私のこと……、残念だが特に話すことは無い。強いて言うならば、僕は他の四人と比べて多少物知りかもしれないね。うん、色々なことを知っているさ。ただそれだけだ。私はあなたたちの子どもとして失格かな?」
「いいえ、博識であることは一種の価値よ」
「ありがとう、僕はお母さんのそういう自信があるところが好きだよ」
「物知りだなんて、将来はきっと世界を変えてしまう発明家だな」
「ふふふ、お父さんは本当にポジティヴで、子どもたちよりよっぽど壮大な夢を見るなぁ」
エマは鈴を転がすように朗らかに笑った。夫婦にはそれがエマという少女本来の笑い方であることが直感的に理解できた。
「ところで、これからすごく意地悪なことを言うね」
「なんだい?」
「もちろん、子どもたちについて」
エマはまるで子守歌でも聞かせるかのように、穏やかな口調で語り始める。
「アルフレッドはあれからお父さんと仲が悪くなっていくんだ。お父さんは彼に対して夢を追わせる、いや負わせるばかりで彼自身のことはあまり考えてあげられないから、彼は途中で挫折してしまって非行に走るようになる。ベアトリスのあの自信の無さはなんでだと思う? お母さんが彼女を毎日のように責め立てるからさ。『あなたはなんで他の子みたいにできないの』って。十分秀才なはずなのに、お母さんはそれ以上を彼女に求めてしまうんだ。内気な子だから、言いたいことがあっても『ありがとう』だけでグッと呑み込んで、いつも下を向いてばかり。ケイシーはお母さんのことが大嫌いだ。お母さんは彼に対して常に自分の間違った解釈にケイシーの性的指向を当てはめて接する。ケイシーがどれだけ主張しても聞く耳を持たないから、次第に彼はお母さんを拒絶するようになる。持ち前のコミュニケーション能力で隠してしまうから、お母さんは全く気付かないんだけどね。ダリアはとても悲しいことに、自ら死を選択することになる。彼女を捕らえて離さないアンチナタリズムによってでも、日々繰り広げられるお母さんとの白熱した哲学的な論争によってでもない、お父さんの無知さによってだ。お父さんは彼女のことを何一つ理解できないし興味をもてないから、そんな彼の無関心さが彼女の繊細な心に決定的な打撃を与えてしまうんだ。真っ向から対立することは悪いことではない、けれど全く相手にしないことは罪になる、というわけさ」
種明かしはすべて済んだとでも言うように、エマは腕を広げて肩をすくめ楽し気に笑った。
「さぁ、お父さん、お母さん。私たち五人の中から一人選んで?」
・閉幕
「ママ! ねぇ、ママってば」
数日前に誕生日を迎え、七歳になったばかりのフレディが家中をまわって母親を呼んでいた。
「なぁに、フレディ。私ならここにいるわよ」
中庭から母親が顔をのぞかせた。
「あ! ママいた! 聞いてよ、あのね、今日スクールでね、アメフトの授業があったんだけど、そこで僕タッチダウンを決めたんだ。上級生のやつらも一緒だったんだけどみんな僕のとっしんにはついてこれなかったよ」
「本当? とってもすごいじゃない! じゃあ今日の夕飯はフレディの好きなピザにしちゃおうかしら。パパがもうすぐ帰ってくるから、ついでに買ってきてもらいましょう」
「やった! ママ大好き、パパに電話してくるね!」
「ええ、番号間違えないようにね」
嬉しそうに携帯電話を取りに行った我が子の背中を見送りながら、女はふと不安に思う。
ああ、これからあの子はどんな風に育ってしまうんだろう?
ベイビー・プレゼンテーション rei @sentatyo-
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