第16話 家畜ズとクロカミ
ハーレム王国建国記念日から3週間が経過した。
この3週間は、みんなとバーベキューをしたり、ものづくりをしたり、果物狩りをしたり、一緒に温泉に入ったり、レベル上げをしたり、ポチに子分ができたりとなかなか充実した日々だった。
色々詳しい事を話す前に、まずは今の俺のステータスからどうぞ!
「ステータスオープン!」
名前:ミナギ=ルティンコ
年齢:16
種族:人間 Lv 112
HP:320/320
MP:320/320
攻撃:213(+100)
防御:213
敏捷:213
知能:213
装備:ボーンソード・真
スキル:体術Lv10 剣術Lv10 斧術Lv1 火魔法Lv10 水魔法Lv10 土魔法Lv10 回復魔法Lv10 重力魔法Lv10 痛覚耐性Lv10 料理Lv10 加工Lv10 採取Lv10 生活魔法Lvー アイテムボックスLvー
SP:87
取得可能スキル
なし
とまあこんな感じ。あとで話すがポチに子分ができたことで、ポチの子分にシーナたちの番犬を任せて、俺はポチとレベル上げに出かけられるようになった。ポチという爆速移動手段を手にしたので、あの地獄の修行期間よりもう少し森の最深部に行ってみることにしたのだが、もう次から次へと強いモンスターが湧いて出てきてそれはもう大忙しだった。
まあ俺もだいぶ戦闘経験を積んできているので、正直強いとは思ったけど、どれも俺の相手ではなかった。あ、でもさすがにレッドボアの上位種であるレッドハイボアの群れ100体に囲まれた時はちょっとばかし冷や汗をかいたな。まあポチの高速移動と俺の剣術Lv10のコンビネーションでなんとか返り討ちにしてやったけどな!おかげで大量の肉と経験値が手に入りましたよ。あとポチの全力のスピードにもだいぶ着いて行けるようになった。以前のように、しがみつくのだけで精一杯なんてダサい姿にはもうならないと思う。多分。
そんな感じでレベル上げを行った結果、レベルは112まで上がり、ボーナス兄貴のHP・MP自動回復が1時間で6144、つまり10分で1024も回復するようになった。だいぶ成長したものだが、共有スキルの俺の負担を考えるとまだまだ足りないな。俺の理想は1秒でHP・MPがフル回復する事なので、今後もレベル上げは継続させていくつもりだ。
あ、そうそう。実はレベル上げを行っている最中に、巨大なニワトリのモンスターと巨大なウシのモンスターの群れを見つけたんだ。あれ、もしかしてこいつら使えるんじゃね?と思った俺は、一旦そいつらを全員気絶させてから、重力魔法を使ってハーレム王国に運び込んだ。
それから巨大な養鶏場と牛舎を作って、やつらをいれてから、全員に回復魔法をかけて気絶から治してやった。ニワトリもウシ(以後家畜ズ)も割と知能が高いようで、俺を見るなり、地面に這いつくばって降伏のポーズをとっていた。とりあえず、ポチを呼んできて通訳をお願いしてから、ニワトリは卵、ウシはミルクを出せないか聞いてみたところ、「お任せ下さいご主人様」ということだったので、これから毎日卵とミルクを提供してもらうことにした。オスたちには、もっと数を増やすために子作りに励むように言っておいた。オスたちは何だかとても張り切っていたので、すぐに家畜ズの数が増えることだろう。
次の日さっそく、卵とミルクを提供してもらった訳だが、ここでも名人の力が働いたようで、本来1日1つしか産めなかったニワトリたちがなんと1日50個も産めるようになった。しかも体がでかいから、卵のサイズも特大サイズで、日本の一般的なLサイズ卵の10倍はある。ウシたちも1日に出せるミルクの量が元々の10倍になったそうで、大体1頭あたり、1日500Lは提供してくれる。いやあさすが名人だぜ!く
そして、気になるお味の方ですが、なんと、どちらも超絶品でした!メスたちの話によると、昨日俺があげたエサを食べてから体の調子がすこぶる良いそうで、その影響が卵やミルクに出ているそうだ。
さっそく手に入れた卵や牛乳をマリアの元に持っていき、卵料理やスイーツなどを作ってもらったのだが、あまりの美味しさにみんなの笑顔が1時間ほど止まらなくなっていた。シーナいわく、「スイーツなんて王族か上級貴族しか食べれないわよ!」だそうだ。まあ喜んでくれてよかったぜ。
ちなみに俺がエサとしてあげたのはゴールドリンゴ。卵とミルクが手に入る目処がたって、かなり気分が良かったので、試しにあげてみたら、みんな偉く気に入ってしまい、もうこれ以外食べたくないと言われてしまったのだ。
家畜ズはかなり体がでかいので、1体につき1日200個のゴールドリンゴを食べる。ゴールドリンゴ200個はゴルドフさんのところで金貨200枚で売れるから、こいつら1回の食事で日本円にして2千万円、現在家畜ズは30体いるから合計1日6億円を消費していることになる。
いや維持費半端ねえ!と思ったが、何も問題は無い。なにせ名人のおかげで1日2回も収穫できるようになった俺のゴールドリンゴの収穫量は1日160万個だ。こいつらのエサ分など屁でもない。これから家畜ズが増えても、ゴールドリンゴエリアを拡大すればいいだけの話だしな!それにゴールドリンゴで卵とミルクの品質が上昇するなら喜んで与えるさ!
という流れで、前からやろうと思ってた畜産業が思わぬ形でスタートした。家畜ズを見つけられて良かったし、うっかり経験値にしなくて良かった!
それで、ポチに子分ができた話だったな。あれは今から1週間ほど前の話だ。
ー1週間前ー
「わん!わん!」
その日の朝、俺が日課の農作物の収穫をしていると、ポチがこちらに走ってきてなにやら訴えてきた。ふむふむ。なに?城門の前にモンスターの群れだと?
「よし、ちょっと行ってみるか」
「わん!」
そうしてポチに乗って城門前まで行き、城壁の上から見下ろしてみると、なにやら黒いオオカミの群れが城門をこじ開けようと一斉にタックルしているではないか。
「ポチ、あいつら知ってるか?」
「わふっ、わふっ」
なに?あいつらが昔お前をいじめてた奴らなのか。よし、俺がこてんぱんに叩き潰してきてやろう。ん?どうしたポチ。
「わふっ、わふっ」
「え?自分でケリをつけたいだって?」
「わん!」
ポチ、お前かっこいいぜ!確かにやられたまんまじゃ悔しいもんな!よし、強くなったお前の姿を奴らに見せつけてやれ!
「わかった。でも無理はするなよ?相手は10匹もいるんだ。まあ今のお前なら負けないだろうけど、万が一危なくなったら俺が割り込むからな」
「わん!」
そう言って、ポチは城壁から飛び降りていった。
あれ、ここ高さ50メートルあるんですけど。飛び降りて大丈夫かポチよ。心配なので、一応怪我しないように落ちていくポチに重力魔法をかけて体を軽くさせといた。
「「「「「グルルルルルル!」」」」」
「わん!」
無事着地したポチに気づいた黒オオカミたちは、見事な連携でポチを囲いこんだ。おお、なかなかやるじゃないか黒オオカミ。あの連携で、これまで多くのモンスターを倒してきたのだろう。黒オオカミたちからは、並々ならぬ自信がみてとれる。俺はいつでも助けに入れるように構えていると、
黒オオカミたちが一斉にポチに向かって攻撃をしかけた。ちょっとヤバそうと思って助けに行こうとしたその時だった。
「わおーん!」
ポチの雄叫びと共に、氷の塊が囲んでいた黒オオカミたちを吹き飛ばした。
「ええええ!お前魔法使えたのかよ!」
突然のポチの魔法に驚いていると、
【取得条件を満たしました。〈氷魔法〉が取得可能です。SP消費は2です】
あら、新しい魔法出てきた。ポチ、グッジョブ!
【SP2を消費して〈氷魔法〉を取得しました。〈氷魔法Lv1〉を取得しました】
ポチの魔法がかっこよかったので俺もとった。だって俺もあれやりたいもん!ポチだけずるいもん!
と、氷魔法を取得している間に、起き上がった黒オオカミたちが再びポチに攻撃をしかけにいった。
しかし、氷魔法によって連携を崩された黒オオカミたちの攻撃が高速で動き回るポチに当たることは無く、ポチのスピードについて行くことが出来ない黒オオカミたちは、ひたすらポチに蹴り飛ばされていった。
そして数分後、ポチの周りには気を失って地面に倒れている黒オオカミたちの姿があった。
「おーいポチー!よくやったな!お前、氷魔法使えるなんて聞いてないぞ!まあ俺も使えるようになったから一緒に特訓しようぜ」
「わん!」
城門を開けてポチのところまで向かうと、ポチも俺に気づいてこちらまで走ってきてくれた。
「それで、あいつらどうするんだ?見た感じまだ生きてるけど、俺が後始末やってこようか?」
「わふっ、わふっ」
ん?なになに。あいつらを育てて、ハーレム王国の守護隊にしようだって?
「それは良いけど、ポチはいいのか?あいつらはお前をいじめてた奴らだぞ?」
「わふっ、わふっ」
昔のけじめは今つけたから大丈夫。それよりこれからハーレム王国をちゃんと守れるようにすることの方が大事、だと?
どうしよう。ポチの器が大きすぎる件について。いっその事こいつにハーレム王国の王を任せた方がいいんじゃないかと思えてきた。
「わかった。ポチがいいならそうさせてもらおう。あいつらの教育はお前に任せていいか?」
「わん!」
ポチが任せて欲しいと言ってくれたので、さっそく奴らを集めてエリアヒールをかけてやった。
「「「「「ク、クゥーン…」」」」」
「わん!わふっ、わふっ」
「「「「「ガ、ガウ!」」」」」
目が覚めた黒オオカミたちは、ポチを見るなり地面に伏せて服従のポーズを取っていた。ふむ。まさに弱肉強食の世界ならではの光景だな。
それからポチが黒オオカミたちに色々説明をしていたのだが、ポチの説明が終わると黒オオカミたちは俺の前に集まってきて、俺にも服従のポーズを取ってきた。
「「「「「ガウ!」」」」」
「わふっ、わふっ」
ポチいわく、「よろしくお願いしますボス!」と言っているそうなので、俺もよろしくなと声をかけてレッドボアのステーキをあげたら、みんなとても腹が減っていたようで、すごい勢いでステーキを平らげていた。食べ終わった彼らから凄い尊敬の眼差しで見つめられて、ちょっと嬉しかった。
あれ?なんだかこいつらも体がでかくなった気がするんだが。そういえばポチにあげたステーキも今あげたステーキもLv10で作ったやつだったな。もしかしてLv10の料理にはモンスターを強化する力でもあるんだろうか。
俺は彼らに「クロカミ」という部隊名を授け、ポチの直属で動いてもらうようにした。それから1匹ずつ犬小屋を建ててやり、クロカミをシーナたちに紹介した。
「彼女たちは俺の命よりも大事だから、みんな死んでも守るように」
「「「「「ガウ!(YESボス!)」」」」」
みんな気合いが入ったいい返事をしてくれたので、今後の活躍に期待しようと思う。
こんな感じでポチに10匹の子分ができた。あれから毎日ステーキをあげているので、今はクロカミのメンバーは全員ポチ並の大きさになっていて、以前よりもだいぶ強くなっている。まあそれでもまだポチにボコボコにやられてるんだけどね。
今も俺の目の前では、クロカミ全員がポチの特訓を受けていて、さっきから次から次へと凄い勢いで蹴り飛ばされている。だが、彼らの目は死んではおらず、蹴り飛ばされては立ち上がり、またポチに向かって戦いを挑んでいく。いやぁホント熱心な奴らだ。ポチいわく、クロカミの連中は「早く強くなってボスの役に立ちたい!」のだそうだ。
どちらかというとお前らを助けたのは俺じゃなくポチなんだが、自分たちをボコボコにしたポチが俺に仕えているので、俺に忠誠を誓ったらしい。俺はステーキが決め手だったんじゃないかと思うのだが、実際はどうなんだろうか。今度聞いてみよう。
と、ポチとクロカミの訓練を眺めながらこの3週間を振り返っていると、
「ルティー君!新作のアップルパイを作ってみたよ!みんなで一緒に食べよう!」
マリアが俺を呼びに来てくれた。アップルパイ!めっちゃ美味そう!
俺は早速、マリアとみんなの元に向かった。
「うんめええ!なんだこりゃ!マリアはやっぱ凄いな!」
「「「「美味しいー!」」」」
「えへへー!ありがと!みんないっぱい食べてね!」
やっぱマリアの料理は美味すぎる。ゴールドリンゴを使ったアップルパイという何とも贅沢なスイーツはみんなにも大好評のようだ。みんなすでにマリアの料理でも完璧に自我を保つことが出来るようになっており、みんなの成長を感じられる。
「みんなちょっと聞いてくれ。俺はそろそろゴルドフさんのところに顔を出しに行こうと思うんだが、みんなはここにいるか?」
「そうねぇ。特にノーゼンに用事もないし、私はここにいるわ」
シーナがそう答えて、他のみんなはどうか聞いたら、他のみんなもここに残るようだ。
「じゃあ明日ちょっとノーゼンに行ってくるから、その間のんびり待っててくれ」
という訳で明日、久しぶりにノーゼンに行こうと思います!ついでに鉱山があったら行ってきちゃおうかな!
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