第15話 ハーレム王国建国記念日
みなさんこんばんは。最近まったくルティンコジョークを言えてなくてちょっぴり不満げな、みんな大好きルティンコ君です。どうやら俺は今、天国にいるようなのですが、いつの間に死んでしまったのでしょうか。
俺の目の前には一糸まとわぬ姿で、気持ちよさそうに湯船に浸かる可愛い女の子たち。そして両腕に感じる柔らかな温もり。ああ女神様!俺をこの世界に連れてきてくれて本当にありがとうございます!もう我が人生に一片の悔いなしですよ!(女神に会ったことは無い)
「これが温泉というものなのね。上級貴族でもこんなに素敵なお風呂には入っていないと思うわよ?」
「ルティーさん!私とっても幸せです!これからも毎日一緒に入りたいです!」
今俺はみんなで温泉に浸かっている訳なのだが、俺の両脇には現在、シーナとサーナがピッタリとくっついて座っている。しかも俺の腕を抱えるようにくっついているので、2人の大先生がしっかりと腕にあたって非常に幸せな気分です。頼むモッコリ病よ、もう少し耐えてくれ!
「わー凄い!体の疲れが一気に取れそうだよ!」
「ルティー君!温泉って素晴らしいものだね!とっても気持ちいいよ!」
「ふにゃー。ごくらくごくらくー」
サリア、マリア、リリーも温泉を気に入ってくれているようだな。リリーなんて今にも溶けてしまいそうだ。みんな人生初めてのお風呂なだけあって、最初湯船に浸かった時は物凄く感動していた。これからは毎日入れるから、存分にお風呂の素晴らしさを味わって欲しいものだ。
それから1時間ほどみんなで湯船に浸かっていると、リリーがのぼせてしまったようなので先に上がっていてもらうことにした。更衣室には搾りたてのゴールドリンゴジュースが置いてあるので、それを飲んで待っていてもらおう。
「ふにゃー。のぼせちゃったー。わたし先にあがってるねー……ってうわー!」
リリーが湯船から上がろうとして外枠に足をかけたその時、事件は起きた。なんとリリーがツルッと足を滑らせてしまったのだ。
「リリー!」
チャンス!…じゃなくて、危ない!そのまま転んでしまったら大怪我に繋がりかねん。俺はとっさに全裸のリリーを受け止めるチャンスを掴もうと湯船を飛び出したのだが、見事に俺もツルッと足を滑らせてしまった。くそっ!ここまでか!だが、リリーが怪我するのだけは絶対に避けなければならん!と、届けぇぇええええ!
俺は無理やり重力魔法のベクトル操作を発動してリリーの元に飛び込んだ。
「ふがっ」
ふう、何とか間に合ったようだ。しかしなんだろう。この顔面に感じるマシュマロのような柔らかな温もりは。ああそうか。俺はまた更なる天国への階段を登ってしまったんだな。い、息が苦しい。だがおかしいな。顔が全くここから離れようとしない。うん。なんだかこのままで良い気がしてきた。はあ幸せ。もう一生こうしていたい。あ、あれ、なんだか意識が…
バタンッ
「ちょ、ちょっとルティー!」「あわわわ!ルティー!」「ルティー君!しっかり!」「きゃああ!ルティーさん!」「ルティー!起きてー!」
俺は急性モッコリ中毒を引き起こし、そのまま意識を失った。
「…ティ…!ル…ィー!ルティー!しっかりして!」
俺を呼ぶ声で目を覚ますと、目の前には涙を浮かべるみんなの姿があった。
あれ?俺は確か……足を滑らせたリリーを助けようとして、そのままリリーのおっぱい大先生にはさまれて、動きたくないからそのまま幸せな時間を過ごしていたら意識を失ったんだったな。
うん。しっかり覚えている。いや忘れてたまるかってんだ!あの柔らかな温もりは、俺の脳内ハードディスクにしっかりと保存してから、更に別のハードディスクにバックアップも取ってある。ふっふっふ。さすがハーレム王の名はダテじゃないぜ。
「悪いみんな、心配かけちまって。見ての通り、俺は元気ピンピンだから安心してくれ!」
あそこはビンビンだけどな!と久しぶりのルティンコジョークをかまそうとしたところで、みんなが一斉に抱きついてきた。
「もう!なかなか目を覚まさないから心配したんだからね!」
「よかったー!凄く心配したよ!」
「ルティー君!もうあのお肉が食べられないかと思ったよ!」
「るでぃぃさぁあん!無事でよがっだです!ひぐっ、ひぐっ」
「ルティー助けてくれてありがとー!それと、ほんとにごめんねー?わたしがドジなばっかりに…」
ふむ。どうやら物凄く心配をかけてしまったようだ。
「リリー、気にする事はないぞ。俺はリリーを怪我から守れたからとっても大満足だ。みんなも心配してくれてありがとな」
リリーを怪我から守れただけでなく、おっぱい大先生にも巡り会えたんだ。大満足に決まっている。
「そういえば俺が気を失ってからどんくらい時間が経ったんだ?」
「そうねえ…2時間は経ってると思うわよ?あなたが急に倒れるものだから、もうみんな焦っちゃって焦っちゃって。みんなを落ち着かせるのもほんとに大変だったんだから」
どうやら俺が幸せな夢を見ている間、シーナがみんなをまとめていてくれたようだ。さすがは村長だ。
「そうだったのか。じゃあもうそろそろ寝る時間だな。みんな、俺はもう大丈夫だから自分の家に戻ってゆっくり寝てくれ。ちゃんと暖かくして寝るんだぞ?」
そう言ってみんなには自分の家に戻ってもらった。そして部屋には俺とシーナが残った。そういえば、ここシーナの家だったのか。
「ルティーはどうするの?今日はそこでそのまま寝ていってもいいわよ?」
「うーん。じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらおうかな?」
せっかくだからシーナの家に泊まらせてもらうことにした。うひょー!なんだかドキドキする!これからあんなことやこんなことが起きるのかな?むふふふ。
「わかったわ。あ、そういえばマッサージしてあげるって言ってたわね。今してもいいかしら?」
「おお!実はめっちゃ楽しみにしてたんだ!ぜひお願いするよ」
「ふふっ。そうだったのね。じゃあちょっとうつ伏せになってもらえるかしら?」
うー!ドキドキする!シーナのマッサージ!どんなマッサージなんだろう!
「ほわぁ〜」
それから俺はシーナのスーパーテクニックマッサージによって、快楽の海へと溺れていき、本日2度目の気絶をするのだった。
朝目覚めると、俺の横でシーナがすやすやと寝っていた。あまりに可愛い寝顔だったので、じっと観察していると、
「ん……おはようルティー。今日は自分で起きれたのね。どうしたの?そんなに見つめて」
「いやあ、シーナの寝顔があまりにも可愛くてな。ちょっと観察してたんだ」
「もう!朝から何言ってるのよ!でも、その、可愛いって…ありがと。ほ、ほら!みんなを連れてマリアの家に朝食を食べに行きましょ?」
朝からシーナの可愛いツンデレが見れて大満足の俺は、シーナと一緒にみんなを迎えに外に向かった。
「わん!」
「おおポチ。どうだ?新しい家は気に入ってくれたか?ほら、肉をやろう」
外に出ると俺を見つけたポチがこちらまで走ってきた。昨日温泉を作ったあと、ポチの家も作っておいた。ポチは体が大きいので、家もそれなりに大きなものを建ててあげた。ちなみに、今この国で1番大きな家はポチの家だ。反対に1番小さいのが俺の家だ。しかもポチの家をマイホームのすぐ隣に建てたもんだから、なんだかマイホームが犬小屋みたいになってしまった。
「そんじゃポチ、朝飯食べてくるから見張り頼むな」
「わん!」
ポチにこの国の安全を託してから、俺たちはみんなを連れてマリアの家に向かった。
「おはようみんな!朝ごはんはもう出来てるから今よそっちゃうね!」
マリアがすでに朝食を作り終えて待っていてくれたようなので、さっそくみんなで食べることにした。
「んー!やっぱりマリアの料理は絶品だな!これから毎日これが食べれるなんて最高に幸せだ!」
「えへへー!そう言って貰えて嬉しいよ!もう料理スキルのおかけで料理が楽しくて楽しくて仕方がないんだ!」
「おお!そりゃ良かった。あ、そうそう。この後ちょっとみんなで畑を見に行くぞ。みんなに見せたいものが沢山あるんだ」
「畑って、昨日ルティーが作ってたあの畑よね?そういえば何を植えたのかしら?」
「まあ行ってみればわかるさ!きっとびっくりするぞ?」
という訳で、朝食を終えてから、俺はみんなを昨日作った大農園に案内した。ちなみにポチもいる。
まずは野菜エリアから。
「ええ!昨日種をまいたばかりでしょ?なんでもう収穫できるまで育ってるのよ!しかもどれも立派な野菜だし!」
「どうだ驚いただろ!俺のスキルで成長スピードを格段に早めてるんだ。朝に種を植えたらお昼には収穫できるぞ?ちなみにこうやって、アイテムボックスでまとめて収穫できるし、アイテムボックスで収穫すると収穫量が10倍になるんだ」
「も、もうさすがルティーとしか言いようがないわね」
シーナは未だに驚いてくれるから嬉しい。他のみんなは俺がやること全てを「すごーい!」と、疑いもせず受け入れるようになってしまったのでちょっと寂しいのだ。
「ルティー君!野菜がいっぱいだね!これでもっと色んな料理が作れるね!」
「そうだなマリア。向こうの穀物エリアに小麦もあるから後で一緒にパン作ろうぜ!」
「うん!楽しみ!」
それから穀物エリアを案内した。ジャガイモしか主食がなかった俺の畑についに小麦がやってきた。米は探したのだが無かったので諦めた。違う街に行ったらあるかもしれないので、それまで米は我慢だ。小麦はアイテムボックスに入れれば親分さんがすぐに小麦粉にしてくれるので超便利。あとでパンを焼く専用の建物を建てよう。
「そんでここが果樹園だ。色んな果物があるから、きっとみんなの好きな果物もあると思うぞ?」
「「「「「やったー!」」」」」
みんな果樹園に大喜びだ。女の子はやっぱり甘い果物が好きだよな。いくらでも作るからいくらでも食べて欲しいものだ。みんな果樹園を走り回って、自分の好きな果物を必死に探している。なんて微笑ましい光景だ。思わずモッコリした。(末期症状)
「そして、ここがゴールドリンゴ専用のエリアだ!大儲けが期待できるぞ!」
この1ヘクタールのゴールドリンゴエリアには、約400本のゴールドリンゴの木が生えている。ひとつの木から大体200個のリンゴが採れるので、1回の収穫で8万個のゴールドリンゴが収穫できる。更にこれに名人の収穫量補正がかかるので、もうウハウハである。我がハーレム王国の主な収入源はこのゴールドリンゴになりそうだ。
「よし、これで大農園ツアーは終了だ。とりあえず農業の方が一段落したから、次は畜産業をやってみるつもりだ。上手くいけば卵とミルクが手に入るから、そしたらマリアにもっと色んな料理を作ってもらおうな!」
「「「「やったー!」」」」
「うん!頑張って作るよ!」
こうして楽しい大農園ツアーが終了したので、今日これから俺がやることをみんなに伝えておこうと思う。
「それで、俺が今から何をするかというと、水道設備を整えてしまおうと思います!」
「「「「おー!」」」」
「水道設備?それは一体どんな物なのかしら?」
意味もわからず盛り上がってくれた4人はさておき、シーナの疑問に答えておこう。この世界には水道設備なんてものは無いから知らなくて当然だ。
「そうだな。要するに、いちいち川や井戸に水を汲みに行かなくても、簡単に家で水を使えるようにするって感じかな。水道設備が整えば、今よりもっとみんなの家が進化するぞ?」
いまいちピンと来ていなさそうだが、まあ実際に見たらわかるだろう。
という訳で、早速水道工事を始めようと思います!親分さん、土魔法さん、よろしくお願いしゃーす!
「くらーしあんしんくらーしあーん!」
ズドドドドドドドド
ズドドドドドドドド
ズドドドドドドドド
それから3時間後。
「よーし水道工事完了!」
親分さんと土魔法の力を借りて、無事に水道設備を整えることが出来た。飲み水が通る上水道と汚水が通る下水道が開通したので、みんなの家を大幅にアップデートすることが出来た。ちなみに汚水をそのまま川に流すわけにはいかないので、汚水を溜めておくタンクを作って、ある程度溜まったらクリーンをかけてから川に流す、という仕組みにしておいた。作ったタンクはアホみたいにでかいので、1ヶ月に1回クリーンしに来れば全然大丈夫だろう。もちろん匂いや雑菌は一切漏れないようにしてあるので衛生面は完璧だ。
「みんな集合だ!水道工事が無事完了したから、今から色々説明するぞ。とりあえずシーナの家に行くか」
それぞれ自由に過ごしていたみんなを集めて、水道関連の説明をするため、みんなでシーナの家へ向かった。
「まずはこの蛇口だ。今までみんなは必要な水は、川や井戸からわざわざ汲んできて使っていただろう?だけど、サリア、ちょっとここを右に捻ってみてくれ」
「うん、わかった!こ、こうかな?えいっ」
ジャーーーーーー
「と、このように、ここを捻るだけで簡単に水が出てくるんだ。ちなみにこの水はちゃんと飲めるから安心してくれ」
「す、凄すぎるわ…まるで魔法みたいじゃない!」
「「「「す、すごーい!」」」」
わざわざ水を汲みに行くのが当たり前だった彼女たちにとって、この蛇口の出現はかなり衝撃的だったようで、みんな蛇口を捻って水が出るたびに大変感動していた。
「次はトイレだ。これからは用を足し終わったらこのレバーを押してくれ。じゃあ次はリリー、このレバーを押してみてくれ」
「うんわかったー!えーいっ」
ジャーーーーーー
「こんな感じで水が出てきて全部流してくれるんだ。流れた水はそのまま地下の下水道っていう水の通り道を通って、1箇所に集まるんだ」
「凄いです!これでルティーさんがみんなの家のトイレにクリーンをかけて回る必要が無くなるということですね?」
「そゆこと。今後国民の数が増えてきたら、一軒一軒回るのが大変になるからな」
サーナが俺が言おうとしたことを先に解説してくれた。ほう。サーナはなかなか頭が切れるようだ。
「それでお風呂なんだが、一応蛇口を捻れば水が出るようにはしてあるんだけど、水を温めるには火魔法が必要なんだ。だから家の風呂を積極的に使いたい人は、俺の共有スキルのレベルが上がった時に2つ目のスキルとして火魔法を選ぶといいかもな。まあ毎日温泉でもいいって人は取る必要は無いけどな」
よし、水道設備の説明はこのくらいかな。まあ使っていくうちに徐々に慣れていくだろう。
さて、水道工事も終わり、大農園も成功、城壁の設置も完璧だ。ふむ。だいぶ国としての形が出来たんじゃないか?これでやっとのんびりできるな。あ、そうだ!今日この日をハーレム王国の建国日にしよう!
「みんな聞いてくれ、俺は今日この日をハーレム王国の建国日にすることにした。だから今日の夕食はハーレム王国建国を祝して盛大にパーティーをしよう!大農園で新しい作物も採れたことだしな!」
「「「「「やったー!」」」」」
そういう訳で、夕食まで各自のんびり過ごしてもらい、それまでに俺とマリアでパーティーで食べる料理を沢山作った。
「よしみんな揃ったな!この2日間だいぶ忙しかったけど、ちゃんとハーレム王国でみんなが安全に住める環境を整えることが出来た。そして、もうみんなはハーレム王国の国民だ!この国では誰もが、毎日お腹いっぱいご飯を食べ、自分のやりたい事をして、自由に夢を追いかけることができる!これまでみんながしてきた苦労を笑い飛ばせるくらい、これからはみんなには幸せになって欲しい!そんじゃ、ハーレム王国建国を祝して、乾杯ー!」
「「「「「乾杯ー!」」」」」
「わん!」
こうして俺のハーレム王国での生活が始まった。まだ5人(と1匹)しか国民はいないけど、これからもっともっと国民を増やして、賑やかな王国にしていくつもりだ。そして、たっくさんの女の子とイチャイチャするんだもんねー!ぐはははは!直ぐに迎えに行くぜ!マイエンジェルたち!
ルティンコのハーレム王への道はまだまだ続く。
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