第8話 ぴょんぴょんバッタ大作戦
それでは、街へ行くための身支度を始めたいと思います!
まずは洋服!ちょっとダサいかもだけどこの部屋着で行くしかないな。服は作ろうと思えば作れるのだが、あいにく俺は服に関しての美的センスが欠落している自覚がある。一体どんな物を作ったらオシャレなのか、はたまたこの世界ではどんな服が主流なのかよく分からないのだ。まあ洋服は何を着るかより誰が着るかって言葉を聞いたことがあるし、未来のハーレム王が着ればそれはどんな服だってオシャレになるのだ。という設定でいくのはどうだろうか。うん。素晴らしい。それでいこう。
次は身だしなみ!髪はちゃんと整えたし、髭は若返ったせいか生えてこなくなった。クリーンで服も体も歯もピカピカだ。鏡が欲しいけど、銀がないからまだ作れていない。街に着いたらどこかに鉱山がないか聞いてみよう。よし、身だしなみ完璧!
持ち物は、そうだな。何を持っていけばいいんだろう。日本だと携帯と財布があれば大抵何とかなったけど。そういえばお金どうすっかな。まあ作ったやつをいくつか売ればいくらか金にはなるだろう。うん。お金はなんとかなりそうだ。他に必要なものは、無さそうだな!必要になったら作ればいいし!
凄い。お出かけの準備が1分も経たずに終わってしまった。朝の忙しい社会人の目指すべき最終地点はここだと思った。
家の外に出て、早速出発と行きたいところだが、戸締りはしっかりしないといけない。なぜなら空き巣が入ったら大変だからね!この辺で人なんか見たことないけど。念の為、家のドアが開かないように木材でしっかり固定してっと。はい完璧。これでこの家は安全に守られるだろう。
この拠点にはしばらく帰ってこないつもりだが、またいつか必ず帰ってこよう。せっかく家も畑も作ったしな。俺の秘密の別荘とするのもロマンがあっていいだろう。ちなみに合計130平方メートルの畑の野菜とリンゴはすでに全部収穫してある。名人の10倍補正が掛かって量がとんでもないことになってるけど。まあアイテムボックスは無限に入るし、腐ることもないんだし、多くて困ることは無いだろう。
あ、そうだ。ここに帰ってこられるように何か目印を作らないとダメだな。何作ろうか。遠くからでも目立つやつがいいよな。うーん。あ、いい事思いついちゃった!
「ハーレムタワー!」
ズドドドドドドドド
高さ806メートルの巨大なタワーを作ってみた。モデルはスカイツリー。土魔法と親分さんの共同作品だ。ちゃんと地盤改良もしてあるから倒れることは無いだろう。これで離れてもまた戻ってこれるはずだ。
それでは、始まりの地の皆さん。2週間の間、クソお世話になりました!このご恩は一生忘れません!ああ泣ける。あのシーンすごく泣けるよな。同じ料理人として何か心にグッとくるものがある。そういえば、
「どっちに向かえばいいんだろう」
どこに街があるんだろう。ていうかそもそもこの世界に人っているんだろうか。まずい、俺のハーレム王国への夢に最大規模の危機が迫っている!あ、でもマッスルモンキーの集落にコイン落ちてたし、人はいるんだろうな。
そうだ、せっかくハーレムタワーを作ったからてっぺんから見てみるか。もしかしたら街らしきものが見えるかもしれないからな。ちなみにハーレムタワーの中はちゃんと登れるように螺旋状に階段を作ってある。
「おお!こんな景色見た事ない!」
うん。こんなに広い森見た事ないもの。どんだけ広いんだよこの森。あ!めっちゃ奥に街らしきものが見える!良かったー!ハーレム王国の夢が木っ端微塵に砕け散るところだった。よし、まずはあそこに向かおう。
ということで出発!すぐに行動することが成功の秘訣だ。思い立ったがなんちゃらってやつだな。
「いってきまーす!」
俺は始まりの地に別れを告げ、さっそく、ぴょんぴょんバッタ大作戦を開始した。
「うひょおおおおおお!」
俺は今、空を跳んでいる。飛んでいるのではなく、跳んでいるのだ。ここ、テストで間違えやすいから気をつけるように。空を跳ぶ仕組みは簡単。重力魔法で体を軽くして大ジャンプしてるだけ。なんと楽しい移動方法なのでしょう!
始まりの地を出発してから、かれこれもう4時間くらいぴょんぴょんしてる。まだ街には着かないが、すでに森は抜けており、だいぶもう街が大きく見えてきていている。思ったより結構遠かったな。後ろを振り返ってみると、ここからでもハーレムタワーがしっかり見える。すごーい!まあなんてったってスカイツリーより高いからね!我ながら天才的な建造物を作ってしまった。もしこの世界に世界遺産があるならまず間違いなく登録されるだろうな。
なんてことを考えながらぴょんぴょんしていたら、偶然小さな村らしきものを発見したので、ちょっと寄ってみることにした。なんか煙が出てるけどお祭りでもやってるんだろうか。まあ行って見ればわかるか。
さすがにいきなり空から跳んで現れたらびっくりさせちゃうよな。心臓の弱いご老人がいたら申し訳ないからな。近くまで行ったらちゃんと歩いて村に入ろう。うむ。年配の方々への配慮も忘れないとはなかなかデキる男である。
ぴょんぴょんバッタ大作戦を中断し、テクテクと歩いて村の前まで来たんだが、なにやら村の様子がおかしい。
5軒ほどのボロボロの家が全て燃えていて、盗賊らしき格好の武器を手にした男達がボロボロの服を着た村人達を襲っている。それにどういう訳か村人は女しかいない。
ふむ。これは助けてやらないと男が廃るってもんだ。どんなセリフで登場したらカッコイイかな!ちょっと待てーい、かな?よし、それで行こう。
「ちょっと待「おい村長の女!上納金もろくに払えねえゴミ村は消すって言ったよなー?」
「そ、そんな!確かにお金はいつも通り納めたはずです!」
「いーや?俺たちは貰ってない。なあ?お前ら」
「ああ貰ってねーな!けっけっけ!」「貰ってねー貰ってねー」「貰ってねーぞ?かはは!」
「だそうだ。これは立派なルール違反だよなー?」
「ウソ…じゃあ私達はどうしたら…」
「そりゃあ金が払えねえってんなら、身体で払うしかねえよなー?おいお前ら、そいつの服脱がせ。まずはその女からだ。他の女共はその後な」
「や、やだ!やめてっ!」
「安心しろよ。散々楽しんだら奴隷商にでも売…」
ドサッ
ひぇええ!盗賊の親玉の首から上が綺麗に吹き飛んでるぅう!誰だ!そんな残酷なことしたのは!まあ僕なんですけど。
いやさ、完全に助けに入るタイミングをミスってしまったから、しばらく空気になって話を聞いていたんだけど、気づいたら火魔法で盗賊の頭を吹き飛ばしてしまった!はっはっは!不思議なこともあるもんだ。
「カ、カシラ!」「お、おい死んでるぞ!」「誰だてめえ!」「よくもカシラを!」「こんな事してただで済むと思うなよ!」
おお。コイツらかなりの実力者だ。どれくらいの実力かというと、モブキャラコンテストがあったら、まず間違いなく優勝できる。そのくらいモブキャラとしての実力がずば抜けている。一体このレベルになるまでにどれほどの研究を重ねたのだろう。
感動させてもらったお礼に、火魔法でカシラ(笑)と同じように一瞬で息の根を止めてあげた。ああなんて心優しいのだろう。盗賊の死体達はまとめて燃やして土魔法で埋めてやった。なむなむ。てか、人間は経験値貰えないみたいだな。ちょっと残念。
そういえば初めて人を殺ったけど、全く心は痛まなかった。なぜなら俺はクソ野郎には容赦しない主義だからな!女の子に手を出すやつは特に。ゴミはきちんと掃除しないと環境に悪いからね!
「やあお姉さん。大丈夫?」
俺はパッと見18歳前後で、銀髪の可愛い女の子村長に声をかけた。うむ。凄く可愛い。何よりも素晴らしいおっぱい大先生をお持ちだ。一応今俺は16歳なのでお姉さんと呼んでみた。
「う、うん。大丈夫!ほんとに助かったわ。どうもありがとう!あなた強いのね!」
ぐはっ!可愛い女の子村長に抱きしめられてしまった。胸板に大先生の温もり感じる。
「いやー!それほどでもありますな!はっはっは!」
我が人生に一片の悔いなし。
「うふふ。面白い人ね。私、この村の村長をやってるシーナっていうの。あなたは?」
「シーナか。いい名前だな!俺はルティー、よろしく」
すみません。サラッと嘘をついてしまいました。いやまあ嘘では無い。あだ名的なノリでルティンコはルティーとも呼べるだろ?
「よろしくね、ルティー!それで、こっちのみんなが左から、サリア、マリア、ミーナ、リリーよ」
他の子達はシーナよりちょっと若いくらいの16歳前後と言ったところだろうか。こっちのみんなも可愛い。そしてシーナ同様立派な大先生をお持ちだ。あれ?どうやら俺はいつの間にか天国に辿り着いてしまったようだ。
俺は彼女達にも挨拶をして、あることに気づいた。
「その腕とか足とかはあの盗賊にやられたのか?」
彼女達は片腕が無かったり、片足が無く、松葉杖のようなものを使っていた。むむ、場合によっては盗賊共を地獄から呼び出して地獄以上の苦しみを与えてやらなければならないかもしれない。
「いえ、これは元々なんです。私達が前にいた村はとても貧しくて、女の人は大抵、街の娼館に出稼ぎをして村に税を納めるのですが、私達は身体がこれなので、口減らしのために村を追い出されてしまって…」
「そうなのか。すまん、悪いことを聞いたな」
そう答えてくれた金髪の女の子、たしかサーナだったな。こんな可愛い女の子たちを追い出すなんてその村はバカなのか?まあいいや。そのおかげでこうして彼女達と出逢えたわけだし。それに良かったなみんな。今君たちの目の前には、回復魔法を極めた凄腕の医者。人呼んで異世界のブラックジャ…、いや金は取らないから、そうだな、ホワイトジャックとでも名乗ろう。そう、ホワイトジャックに治せないものなど無いのだ!
「よし、みんなちょっと1箇所に集まってくれ。シーナもだぞ」
「え、ええ。分かったわ」
シーナはサーナ達とは違って手足がなかったりはしてないが、きっと彼女にも何かこの村にいる特別な理由があるのだろう。まあ俺からは聞かないけど。これからエリアヒールを使うつもりなので、シーナにもせっかくだし適用範囲内に入ってもらう。ではさっそく
「あっちゃんぶりけー!」
ホワアアアアアアアア
彼女達にエリアヒールをかけていった。ついでにクリーンも。彼女達の身体があっという間に光に包まれ、光が収まる頃には、
「う、嘘…、腕が!」「そ、そんな…信じられない…」「ええ?なんで…私の足が!や、やったー!」「ぐすっ、ゆ、夢みたいだよぉ…ひぐっ、ひぐっ、うわあああん」
驚きで言葉を失ったり、ぴょんぴょん跳んで喜んだり、泣き出してしまったり、みんな感情豊かで微笑ましい。おじさん思わずモッコリしちゃったな!間違えた。ホッコリしちゃったな!いかんいかん。こんな感動的な場面でルティンコジョークをかましてる場合じゃない。
「う、うそ…。手足の欠損なんてA級治療師でも治せないはずなのに…」
シーナがなにやらぶつぶつ言ってるいるが、そりゃそうだろう。俺はS級治療師ホワイトジャック様(今決めた)だからな!それにしても喜んでくれて良かった。何度も死にかけて回復魔法を取得した甲斐があったってもんだ。ところで、なんでみんな土下座してんの?
「え?なにしてんの?」
「ルティー様。貴方様は神の使いで在られたのですね!知らなかったとはいえ、とんだ無礼をお許しください」
「「「「お許しください」」」」
シーナを筆頭に他の女の子達も地面に手をついて、完全に平伏状態だ。
「いや何言ってんだ。俺は神の使いなんかじゃない。ただのサラリーマンだぞ」
神なんて会ったことないしな。
「さらりーまん?といいますと…?」
「そうだな。普通の一般人ってことだ。まあ未来のハーレム王ではあるけども。とにかく俺はその神の使いなんかじゃない。だからその変な言葉遣いを止めてくれ。みんなも頼むよ」
「わかり、わかった」
俺は堅苦しいのは嫌いなので、シーナ達には前と同じように戻ってもらった。
こうして、俺はこの世界で初めての女の子との出会いを果たした。みんな笑顔が素敵でとても可愛い。そしてなにより!見事なおっぱい大先生をお持ちだ!彼女達にはぜひ俺のハーレム王国の国民となり、毎日幸せに暮らして欲しいものだ。まあ無理に勧誘はしない。ちょっとばかし俺の全スキル駆使して、ハーレム王国の住人になることの素晴らしさを全身全霊でアピールする程度だ。がんばるぞー!おー!
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