第5話 スキルの確認と森林破壊

 マッスルモンキーの集落を探索しながら、俺は先程の戦闘を振り返っていた。


「それにしてもあの火魔法ドカンめっちゃ気持ちよかったなー!ぜひまたやりたい」


 これまでちょくちょく火魔法は使ってきたけど、今までで1番気持ちよかった。過去最大量のMPを注ぎ込んだからな。それに、なんとなく前よりも魔法のコントロールがしやすくなっている気がするんだよね。恐らく知能の数値が上がったからだろうな。今なら同時に火の玉3つとか出せそうな気がする。


「なんかないかなー」


 なにか面白いものがないか探していると、木の下に安っぽい生地でできた小袋2つが落ちているのを発見した。拾って中身を確認してみると、どちらの袋からも形がバラバラの種がでてきた。なんの種だろう。農業したことないからなんの種かわからない。とりあえず持って帰って埋めてみよう。


 その後も探索してみたが、いまいち面白いものは出てこなかった。なんだかサビだらけのコインが数枚あったくらいだ。まあ一応持って帰るけど。なんだよ拍子抜けだ。せめてエロ本くらい落ちていてくれよ。ふん!もう帰る!




「ただいまー!」


 さあ帰ってきました我が家に。あぁやっぱり自分の家って1番落ち着く。まだ家は無いけど。そういえば俺何しにマッスルモンキーを倒しに行ったんだっけ。はにゃ?脳みそマッスル化の影響で記憶力にダメージが出ている。あ、そうだ。採取スキルを取るためだった。ひとまずステータスを確認してみよう。


「ステータスオープン!」


 名前:ミナギ=ルティンコ

 年齢:16

 種族:人間 Lv 20

 HP:64/64

 MP:52/64

 攻撃:40(+5)

 防御:40

 敏捷:40

 知能:40

 装備:ボーンソード

 スキル:体術Lv2 剣術Lv1 火魔法Lv2 水魔法Lv1 痛覚耐性Lv2 料理Lv2 加工Lv2


 SP:19


 取得可能スキル

 斧術 土魔法 採取



 ほう。なかなか強くなってますな。攻撃が5増えてるのはボーンソードの分だな。レベル20になってから大体2時間ほど経ったと思うが、MPの回復力からして、今回もHPとMPの回復速度が2倍になったとみていいだろう。つまり1時間で24回復する。ありがとうございますボーナス兄貴!あ、火魔法のレベルが上がってる。やったぜ。あとで変化を試してみよう。加工スキルのレベルが上がった時は、なんとなく使用MPが減ったのと完成品のクオリティが上がった気がした。他にもレベルが上がっているスキルがあるので後で試してみよう。


 それにしてもだ。今俺が持っているSPが、なんと19だって!やばい。超リッチマンなんですけど!なんだって買えちゃうよ!じゃあもう爆買いしちゃうかんねっ!


【SP5を消費して〈採取〉を取得しました。〈採取Lv1〉を取得しました】


【SP2を消費して〈土魔法〉を取得しました。〈土魔法Lv1〉を取得しました】


【SP1を消費して〈斧術〉を取得しました。〈斧術Lv1〉を取得しました】



 気持ちいい。爆買いっていいもんだな。元々採取スキルだけ取れれば良かったんだけど、SPに余裕があるからついでに土魔法と斧術も取ってしまった。にしてもさすがはSP5も消費する採取スキルだ。流れ込んできた情報で軽く目眩がした。採取スキルを取得したところで早速あの憎きユグドラシルを切り倒してやろうと思ったのだが、気づけばもう日が暮れてしまっている。ユグドラシルとのリベンジマッチは明日に持ち越しだ。今日は飯を食って、Lv2になったスキルの検証、そのあと骨で色々作ってから寝ることにした。


 まずは飯だ!干し肉もあるのだけど、料理スキルが上がったからちょっと試してみたい。ダッシュでマッスルラビットを1体狩ってきて、裏技の血抜きをしてから、レッツクッキングだ。


「ていっ!そりゃ!ぱわー!」


 はい、出来ました!兎肉のステーキさんでーす!


 うーん。作った感じ前より作業スピードが上がった気がする。今のところ他に変わったことは無い。続いて味の方はいかに。では早速いただくとしよう。いただきます!


「美味い!」


 おお美味い!なんだか前より美味い気がする。ていうか今気づいたけど、これ兎肉を焼いてるだけなのになんで美味いんだろう。調味料とか使ってないのに。不思議なこともあるもんだ。ふむ。ここは名探偵ルティンコの出番ですな。


「あれれー?おかしいぞー?料理しただけなのにMPが減ってるぞー?」


 なにぃいい!料理スキル、お前もか!流石は名探偵ルティンコである。的確な指摘をしてくれる。


 恐らくMPを消費することで美味しさに補正が掛けられるのだろう。料理スキル、恐るべし。ただ調味料を使った方がもっと美味しく作れる気がする。いつか調味料全開の究極の兎肉のステーキを作ってみたいものだ。そしてそれを可愛い女の子達に食べさせてあげて、「きゃー!料理も出来ちゃうなんて素敵だわ!抱いてほしいわー!」とか言われたい。ムフフ。よし。なんとしてでも料理スキルレベルをマックスにしよう。


 それから何枚かステーキをたいらげた後、他のスキルの検証をすることにした。


「まずは火魔法を試してみるか」


 どうやって試そうか。うーん。とりあえずちっちゃい火の玉を打ってみるか。


「ちびファイヤー!」


 ブオオオオオ


 あら?野球ボールくらいの火の玉を出したつもりが、サッカーボールくらいの大きさの火の玉が出てきた。おかしいな。使ったMPは前と同じなのに。あ、なるほどね。使用するMP1に対しての火魔法の威力が上がったのか。


 スキルレベルが1の時は、野球ボールくらいの火の玉を出すのにMP2が必要だったのが、スキルレベルが2になってからは、同じサイズをMP1で出せるようになった。という感じだろう。


 おお。我ながらなんと分かりやすい解説。いつか教師とかもやってみたいね。そんで女子生徒にキャーキャー言われたい。


 水魔法も土魔法も多分同じ感じだろうな。ちなみに、採取スキルのついでに取った土魔法さんだが、もちろんただの土は出せるが、MPを込めることで粘土やレンガ、セメントも出せるらしい。更に地面を掘ったり、土を圧縮したりできるっぽい。思ったより結構優秀でした。ついでとか言ってごめんなさい。作業によっては結構MP消費しそうだけど、どのくらいMP使うのかは後々確認しよう。


 てか今思ったんだが、植える種もないのによく畑を作ろうとか考えたもんだ。幸いマッスルモンキーの集落でなんかの種をゲットしたのでそれを育ててみるつもりだが、もしこのまま種がなかったら俺はどうするつもりだったんだろう。まあ余計なことは考えないのがデキる男というもんだな。はい終わり!


 次!体術だ。


「せいっ!」


 空手の型みたいなことをしてみた。うん、なんかキレが上がった気がする。以上!


 はい次!痛覚耐性、はいいや。耐性系は試す意味ないしな。うん。べ、別に痛いのを試すのが怖いわけじゃないんだからねっ!


 以上。スキル検証のコーナーでした!パチパチパチ。


 続いては、骨で色々作ってみよう!のコーナーです。中継が繋がっております。現場のルティンコさーん。


「はーい。こちらルティンコです」


 まずは前に欲しいと思ったフォークを作ってみる。あとスプーンと箸も欲しいね。では親分さん、お願いしゃーす!


「ていっ!そいっ!とりゃー!」


 はい、完成。なかなかに良い出来である。普通に日本の300円ショップで売れるレベル。やはり親分は偉大だ。ついつい楽しくて、それぞれ20セットほど作ってしまった。おかげで加工スキルがLv3になった。これだけあれば食事中に箸やフォークをうっかり地面に落としてもすぐに新しいものに取り替える事ができるだろう。あれ、あんま需要ないな。


 あ、お皿も欲しくなってきた。土魔法で粘土が出せるからそれで陶器を作ろう。親分さんによると、陶器を作るには焼くための窯が必要らしい。これまた土魔法でレンガが出せるのでそれで窯を作ろう。土魔法さん、あなた本当にSP2なの?ちょっと優秀すぎるぜ。


 ということで、窯を作ろうと思ったのだが、今作っちゃうと家を建てる時に邪魔になってしまうかもしれないな。ふむ。家を建ててから実行に移すとしよう。


 というわけで、他に欲しいものはあるかな。そうだな。特に思いつかないので今日はこの辺で眠ることにする。あ、あったわ。布団だ!布団が欲しい。マッスルラビットの毛皮で作れるかな?うん、何とか作れそうだ。そんじゃ、親分さん頼んます!


「ふとんっ!ふとんっ!」


 はい、完成。おお。割といい触り心地。加工スキルがLv3になったおかげで、300円ショップクオリティからホームセンタークオリティになった。多分2000円とかで売れそう。よし。これで野宿とはいえ、昨日より快適な睡眠をとることができる。というわけで寝る!




 ー朝7時ー


 おはよう諸君。今日はいい天気なので元気に外で木こりになろうと思う。その前にまずは朝食だ。干し肉をパクパクと口に運ぶ。朝はしっかり食べないとね!今日は始まりの地を開拓してスペースを確保して、それから家を建てるのが目標だ。それも全ては昨日取得した採取スキルに懸かっている。それでは行こう!



 俺は今、強敵ユグドラシルの前に立っている。前回はまるで歯が立たなかった。斧を振っても振っても全然切り倒せる気配がなかった。思い出すだけで手がプルプルしてきた。なに、恐れることは無い。今回俺には採取スキルがついているのだ。きっと倒せるはずだ。いざ!参る!


「てーいっ!」


 ザクッ


 なんということでしょう。一振りで大体幹の3分の1くらいまで切れてしまいました。


「す、すげぇ」


 採取スキルやばい。あんなに絶望的だった木こりの未来は今、加工スキルによって希望溢れる未来へと生まれ変わった。やっぱただモンじゃなかったんだなあんた。なんて呼んだらいいだろう。スライム先輩、ボーナス兄貴、おっぱい大先生、加工スキル親分、あとなんだ。そうだ!採取スキル名人なんてどうだろう。うん。いい名前だ。名人、これからも頼んます!


 俺はそのまま切り込みに向かって2回切りつけると、ユグドラシルを簡単に切り倒すことができた。ふはは。俺の完全勝利だ!空高くガッツポーズを決めた俺は、そのまま辺り一面のユグドラシルを無我夢中で切り倒しまくった。途中で採取スキルがLv2になってからは、2振りで切り倒せるようになり、ぐんぐんスピードをあげて森林破壊を行った。


 気づけば昼過ぎになっていて、辺り一面のユグドラシルは切り倒されていた。採取スキルもLv3になってた。ちょっとやりすぎたな。まあいいだろう。広くて困ることは無い。


 広さで言うと、大体100平方メートルくらいのスペースができた。大量の木材が手に入ったので、せっかくだしこいつらを使って家を作るとしよう。普通、切った木は乾燥させなきゃいけないらしいのだが、さすがは名人だ。切ったらもう乾燥してた。あれ、どっちかというと加工だから親分の仕業か?まあどっちかのおかけだ。ありがたく恩恵を受けるとしよう。


 じゃあさっそく家作りと行きたいところだが、お腹が減ったのでお昼ご飯を食べることにした。


 とりあえず無事に開拓できてよかったな。名人には感謝だ。

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