第8話 手伝いをこころみる
今日もエルフさんに1階に連れて行かれた。
もう何日経っただろう。毎回お菓子を渡されこの部屋で待機している。
もうだいぶ慣れてきたので僕は探索をすることにした。
更衣室のようなこの部屋には沢山の制服が置いてあるが、ここに来るのはエルフさんとおばさんだけだ。
しばらく探索を続けているとあるものに目が止まった。
それは最初にここに来た頃から気になっていた小さな制服だ。
少し拝借して広げてみる。
前から思っていたが、サイズが僕の体にピッタリだ。
(こっこれは…)
これは明らかに仕事をしろということなのだろうか。
いや、絶対にそうだ。
ちょっと試しに着てみることにした。
なんということでしょう。ピッタリサイズ。
姿見鏡があったのでちょっとどんな風になっているか確認してみることにした。
(おお!)
我ながらかわいい。
さて、次にやるべきことはこの部屋から出て、エルフさんのところへ行くことだが。
───
──
プルプルプル
僕は目の前でどんちゃん騒ぎしている人たちにビビって厨房の入り口前で震えていた。
エルフさんはそれに気づいているようで、ちょくちょくこちらを気にしていた。
「みゃ~⤵」(腰抜けでごめんなさい)
結局その日は一歩もそこから踏み出せず、エルフさんに抱えられ部屋に帰ったのであった。
それからというもの、僕は毎日入り口で震えて固まってはエルフさんに持ち上げられ帰るということを繰り返した。
とある日僕はいつも通り入り口で固まっていた。
しかしその日は何故かやる気溢れ、一歩踏み出せそうな気がした。今日は人が少ないからだろうか。
今日こそ厨房の中へ入ろうと決意した僕は、気軽に手伝えることがないかキョロキョロと厨房を見た。
そして、あるものに目が留まる。
シンクに溜まった大量の食器や調理道具だ。
皿洗いくらいなら僕にもできるだろう。
(決めた!)
僕はシンクに向かって歩き出そうと厨房の入り口にに貼ってある『不安』という壁を突き破った。
その瞬間、僕は何かがフッと体から抜けた気がした。
(なんだ。どうたってことないじゃん)
厨房に入った私の足は軽く、すぐにシンクに着いた。
早速僕は皿を洗い始める。スポンジはヘチマだ!
仕事をしている姿がエルフさんに見えているか確認すると、カウンターの前でエルフさんが泣いていた。
(もしかして!客に酷いこと言われた!?)
すかさず僕はカウンターへ向かいポケットに入っていたハンカチをエルフさんに渡し、酷いことを言ったであろう人たちを睨みつけた。我ながら最恐の睨みつきだったであろう。エルフさんは笑顔になっていた。
『ミャ♪ミャ♪』
上機嫌になった僕は鼻歌を歌いながら皿洗いを再開した。
────
──
日が暮れ閉店の時間になった。
皿を永遠と洗い続けた僕はもうクタクタだ。
(燃えたよ… 真っ白に… 燃え尽きた…まっ白な灰に…)
エルフさんと部屋へ一緒に帰り、一眠りしようかとしたが、いつもとは違い、またエルフさんに抱えられ外へ出た。
久しぶりにアパートの外へ出た。夜の街は昼と違い人が全くって言っていいほどいない。
しばらく進むと『ゆ』と書かれた暖簾がかかった建物があった。
(ん?みおぼえしかねぇなぁー)
中へ入るとそこは予想通り銭湯だった。
内装だけ見れば完全に日本。違うのは人がエルフということだけだ。
しかし、参ったぞ。こんなに人がいては僕はパニックになってしまう。
そう悩んでエルフさんの谷に顔をうずめる。
しかし、しばらくするとエルフさんは僕を下ろし始めた。
(あぁぁそんなぁぁ)
僕は恐る恐る目を開けてみる。
しかし目の前にはエルフさんしか居なかった。
どうやら個室に居るらしい。
『ミャ…』(よかった…)
そう安心してるのもつかの間、エルフさんが目の前で服を脱ぎ始めた。
『ミギャーーー!』
僕は驚いてすかさず手で目を覆う。
(そういえばそうだった。風呂だもんね。そりゃ脱ぐよ…)
僕は極力エルフさんの肌を見ないようにして服を脱がしてもらった。
そして、さらなる難関が…
ムニッ
なんと裸のエルフさんに抱き上げられたのだ。
(あっ…終わった…)
完全にショートした僕は風呂を上がるまで動けずにいたのであった。
────
──
『うっうにゃ~』
いつの間にか寝てしまった僕はアパートのベッドで目を冷ました。
(いやーにしても昨日は大変だったなー。体がバキバキだ。お風呂に入ったから大分マシな方だと思うけど。ドライヤーの途中で寝ちゃうなんて、かなり疲れてたんだなー)
ふと、違和感に気づく。
(ドライヤー?)
この文明が明らかにあんまり進んでいない世界にドライヤーなんて近代的なものが何故あったのだろう。
(意外にこの世界発達してる?)
そう解釈してみたが頭がこんがらがりそうなのでやめた。(考えるのメンドイ)
起き上がるとベッドに寄りかかってエルフさんが寝ていた。
エルフさんはとても神秘的に見える。
ずっとエルフさんを見ていたが、起きる気配がない。
もうそろそろ起こすか。
『ミャー!』(起きろー!)
するとエルフさんは驚いた表情で起きた。しかしすぐにその顔を笑顔に変え、僕を撫でた。
起きたエルフさんに僕は抱えられ部屋の外へ出る。
どこへ連れてくのかと思ったら、どうやら一階のお店に向かっていた。
僕は急に冷や汗が出たが、そんな心配はすぐに晴れた。
扉を開けると人は管理人のおばさんと男の人のみ。
「ーー、ーーーー。ーーーー。ーーーー」
「ーーーー」
おばさんが挨拶をしてきた。
『ミーヤ!』(おはようございます!)
僕は元気よく挨拶を返す。
しかし、知らない男の人に僕は怯えてしまう。
男の人は僕をじっくり見ると、エルフさんと何か話している。僕に危害を加えてこないとわかっていてもどうしても怯えてしまう。
一通り話が終わったのか、僕は椅子に座らされた。
しばらく待つと目の前のテーブルにパンと、カレーのような何かが置かれた。
「aqras medias」
おばさんがそういうとテーブルに置いてあるロウソクの火が赤から緑、青そしてまた赤に一瞬で変わった。
(なんだこれ!)
僕はすごく不思議に思いながら、パンとカレーのような何かを食べた。(食欲には勝てん)
モグモグ(美味っ!)
🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾
『にゃーにゃにゃみゃ。にゃーみゃーみみみゃー。』(いつもお読みいただきありがとうございます。モチベーション向上のため『いいね♥』や『フォロー』おねがいします)
『ニャー⤵』(期間空いてすみません)
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