第6話 甘いの欲しいです

エルフさんとアパートで暮らして2週間が経った。僕は元気になりあるものが欲しくなっていた。


『ミャー』(甘さが欲しー!)


そう、あまりにも甘さが足りない食事に大の甘党の僕は飢えていた。


『ミャーミャー』(甘いのーくれー)


いくら要求してもエルフさんはわかってくれない。悔しい。

ひたすらにねだっているとエルフさんが部屋を出て行ってしまった。


(怒らせたのかもしれない)


外から何やら言い合ってる声がする。どうしたのだろうか。

しばらくすると静かになりエルフさんが戻ってきた。


『ミャー』(ごめんね)


するとエルフさんが口に人差し指を当てた。

どうやら静かにしてほしいようだ。そういえばここアパートだった。近所迷惑で怒られたのだろうか。


『ミャー』小声(すみません)

そして同じく口に人差し指を当て、理解したことを伝えた。


────

──


夜になり甘さ欲求の限界が来ていた。


『ミャー。ミャミャー』(甘さ甘さ甘さ甘さ甘さ)


そう連呼しているとエルフさんにヒョイっと身体を持たれた。軽い身体は簡単にベッドに持っていかれ、そのままエルフさんに寝かしつけられた。流石にこの年で寝かしつけられないぞ!と思ったが、騒ぎ疲れてすぐに夢の中へ行ってしまった。


ふと目が覚める。真っ暗な部屋に誰の気配もない。エルフさんは出掛けているようだ。全く見えない部屋の中を記憶を頼りにベッドから起き上がる。

そして外へ出ようとドアに向かう。

(お腹空いた)

ドアノブに手を掛けようとしたとき僕は気付いた。

(あれ、ドアノブに手が届かなくないか?)

ジャンプしてもドアノブには触れれるものの引く側のため開かない。

何度試しても開かなかった。

ハァハァ

小さいからだからなのかすぐに疲れる。僕はうつ伏せで一旦休憩した。

(これは体力作りが必要だな)

しばらく時間が経ち回復した僕はまた立ち上がって挑戦することにした。

(あれ?身体が動かんぞ…それに…眠む……Zzz)

睡魔に襲われ再び僕は寝た。


────

──


グッワッガー


変な音で目を覚ます。

(あれ。フカフカ)

僕はいつの間にかベッドに移されていたらしい。

窓を見ると変な音の正体が居た。どうやらこのアホ面のペリカンのような鳥が音の主らしい。


グッワッガー


変な鳥はどこかへ飛んでいった。何だったんだと視線を部屋に戻すと床にエルフさんが寝ていた。

寝袋のような縫い目が荒い布の袋に入り寝ている。


グゥ~


変な音が再び鳴る。これはさっきのアホ面ペリカンのものではなく僕の腹の音だ。


(お腹空いた)


エルフさんを起こさないようにゆっくりベッドから出るとドアを開けようとまたジャンプしてドアノブに手をかける。


ガチャ


開いた!と思ったが僕が手を掛けてないタイミングで開いた。僕は恐る恐る開いたドアの隙間を見る。


「あっ」ドタドタドタ…


隙間から見えたのはボロボロの服を着た青年だった。すぐにどこかへ行ってしまったが、何だったのだろうか。

(まさか!ストーカー!!)

僕はすぐにドアを開け青年を追いかけようと一階へ向かった。

しかし、そこにはもう青年の姿はなく代わりにおばさん(アパートの管理人)がいた。

『ミャー!ミャミャ!』(おばさん!さっき誰かここ通らなかった?)

僕はおばさんに必死に伝えた。

「ーーー。ーーーー。」

しかし、全然伝わってないようだ。おばさんは僕に何か話すとカウンターの裏に行ってしまった。戻ろうと思ったが、おばさんの行動が少し待っててという感じだったので、待つことにした。

するとおばさんが大きなお盆と小さなお盆を2つ器用に持ってきて僕に小さいお盆を渡した。

どうやら朝食のようだ。行動で話していることを理解できた僕はルンルンな気分でおばさんについていって部屋に戻った。

おばさんはお盆を置くとドアを閉じて戻っていった。

(って。何喜んでるんだ僕は!)

結局さっきの青年の事を解決できていないことに気付いた僕は悔やんだ。


グゥ~


とりあえず今は腹ごしらえしよう。

そういえば結構おばさんに慣れてきた。毎日のように部屋に来たから慣れたのだろう。人見知りは前世からだったが、威嚇はしなかった。本能的に出る威嚇に頭を悩ませられる。これも猫みたいになったからだろうか。たしか、こういうの獣人って言うんだっけ?

にしてもエルフさんが起きない。早くしないと朝食が冷めてしまう。

しょうがなくエルフさんを起こすことにした。


『ミャー』(起きてー)


『ミャーミャー』(朝だよー)


と、しばらく鳴いているとやっとエルフさんが起きた。


『ミャー。ミャー!』(やっとおきたー。)


「ーーーー。ーーーーー」


エルフさんは何かを言うと背伸びしながらお盆を見ていた。どうやらお腹が空いたようだ。


僕はどうぞとお盆をエルフさんの前に出す。


「ーーーーー。ーーーーーー?」 


エルフさんが何かを聞いてきた様子だったのでとりあえず頷いておいた。


「ーーーーー!」ナデナデ


するとエルフさんは僕を撫でた。


『ミャッミャ』


撫でられると不意に鳴いてしまう。


「ーーー。ーーーーーーーー、ーーーーーーーーーーーーーー、ーーーーー」(私のために持ってきてくれたの!ありがとう!お姉さん嬉しいわ)


とか、言ってるのであろう。僕は誇らしげに胸を張った。


『ミャ!』(えっへん!)


────

──


朝食を食べ終え、エルフさんが買ってきてくれた玩具で不本意ながら遊んでいるとドアのノック音が部屋に響いた。

僕は本能的にエルフさんの後に隠れた。


「ーーーー。ーーー。ーーーーーー」


ドアの向こうからおばさんの声がした。僕は安心して遊びを再開する。


「ーーーー」


エルフさんがその声に応答するとおばさんが部屋に入ってきた。


「ーーーー。ーーーーー…」


おばさんはエルフさんに何かを聞いている。家賃でも滞納しているのだろうか。


「ーーーー。ーーーーーー?」


エルフさんは返答すると僕の方を何故か見た。


「ーーーー、ーーーー?」


おばさんもこちらを見る。


『ミャ?』(なに?)


何やら真剣な話をしている。


『ミャ!ミミ』(はっ!さては!!)


さては、居住人数が僕の分増えたからその話なのだろうか。考えてなかったが、今思えばエルフさんに僕の分を払ってもらっているということではないか。


────

──


その日の夜エルフさんに話しかけられたと思ったら突然抱えられ一階へ連れて行かれた。

一階へ着くと騒ぎ声が聞こえた。それにお酒の匂いがしてきた。そして、エルフさんはその方向へ向かう。

僕は人に合うのが嫌で震えていた。

知らない部屋に入ると椅子の上に何かが書かれた紙が置かれた小さいサイズの服が置いてあった。

それに目をやっているとエルフさんは僕を降ろした。すぐにエルフさんにしがみつく。

しかし、すぐに僕は部屋の隅に移動した。

なんと、エルフさんが服を脱ぎ始めたのだ。

着替え終わるまでエルフさんを見ないように背を向ける。

しばらくすると着替え終わったのか僕に話しかけてきた。服装を見るに飲食店の店員だ。


「ーーーーーーー」(ちゃんと自分の分稼いでね)


おそらくこんなことを言ってるのだろう。


『ミャ…』(働きたくねー)


すると、エルフさんがポケットから大きなペロペロキャンディーを取りた出した。


(クソぅ。飴で釣りやがって。働いて僕の家賃分を返せと?働くもんか!)


と思いながら甘党の僕はペロペロキャンディーを貰った。


🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾

『にゃーにゃにゃみゃ。にゃーみゃーみみみゃー。』(いつもお読みいただきありがとうございます。モチベーション向上のため『いいね♥』や『フォロー』おねがいします)

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