第18話会議

一通り美奈瀬に情報を共有すると、美奈瀬もこの出来事があることが起こり始めていると認めざるおえない、そんな表情に変わっていった。


「明日、マッドに会わせるように愛美にいったから、会ってくるよ」


「私も会いたい。どっちが来るか分からないでしょ?一人じゃ心配だし」


瑛太も美奈瀬も、マッドの正体に予測は出来ていた。


というのも、瑛太も美奈瀬は下界の人間ではないのだ。


不慮の貰い事故とでも言うのだろうか、楽園にいた頃の記憶。


突然の楽園と失楽園の紛争で、ゼウスが下した制裁を目の前でみていたあの時、光に紛れて二人も下界へと落ちてしまった。


そして、あの紛争はゼウスが2人へ制裁を下すために引き起こした悲劇なのだ。


「任せて、私も元神よ?」


美奈瀬は自信満々の笑顔でウインクしてみせた。


瑛太はそんな美奈瀬に苦笑した。


「知ってるよ、俺より位は高い。でも、今は人の姿っていうのも忘れずにな」


「いつでも神の姿になれるけど、ちょっと目立っちゃうからね」


美奈瀬は茶目っ気にそういうと、瑛太は少し呆れたように笑った。


「だいぶな。ゼウスがアリアとルシファーにどんな制裁を下したか分からない。でも、もしそれがアリアを抹消させる術なら、今の俺は愛美の兄だ。全力で愛美を守る、可愛い妹を二度も裁かれるのはゴメンだ」


「私もよ、愛の神としてそれは許せないわ」


それから、二人はいろんな推測を語り合いながら、時々天界での思い出話をして楽しむと、

美奈瀬は「ちょっと調べたいことできたから帰る」と言った。


瑛太も「頼む」といって、美奈瀬を玄関まで見送る。


「またな」


「ええ、本当にいつ行くか教えてよ?駆けつけるから」


「ありがとう」


美奈瀬を見送ると、ドアの鍵を閉めた。


一人になった途端に、不安の色が隠せずに、ため息が出た。瑛太はどっと疲れを感じたまま、自分の部屋へ戻っていった。


部屋に戻った瑛太は、ベッドへ横になった。


「俺に何ができる?下界でどれだけの力が使えるかわかんねーよ」


瑛太の脳裏には今の愛美ではなく、天界にいたときのアリアの姿を思い浮かんでいた。


アダムとイブが楽園から追放される間際に、イブから産まれたと言われるアリアという存在。


幼い頃から面倒を見てきた、あの頃から可愛い妹のように思っていたのだ。


今更、ゼウスに従順に慣れそうにない。


そんなことを考えながら、瑛太も夢の中へ沈んでいった。

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