ゴーツー トラベル
僕はカエルにはなりたくないし、この呪いの解き方だって分からない。っていうか、カエルが求婚に来る、のはまだ呪じゃない。単なるトリガーだよね
だいたい、悪いのは勝手にカン違いした、あのカエルじゃないのか?
よし、あのカエルに文句を言いに行こう!ついでに、呪いを避ける方法を探しに行こう。
こうして僕は、旅に出る事にした。
家族に”カエルの王子様”の話はしていない。だって、昔の事とは言え、毬を持ち出したことを言わないとならないし、姉上は”おとぎ話のお姫様”にふさわしく可愛くて綺麗なのに、いまだに婚約の話さえないのはもしかしたら僕がストーリーに干渉したから、かも知れないからね。
「毎年 カエルが求婚に来るのはご存知の通りです。が、僕はカエルになるつもありは全くありませんので、理想の姫君を求めて旅に出ます」
家族にそう言ったら、喜んで送り出してくれた。
もちろん、僕の優秀な執事のボブも喜んで(しょうがなく)一緒に行ってくれることになった。
しばらく行くと、小さな森?林?藪?の様なものが見えて来た。
「ねえ、ボブ。森と林の違いって知ってる?」
「ええ、自然の力だけで作られたものを森、人の手で作られた場合は林と呼ぶらしいですね」
「さっすが、ボブ。 では これは?」
「古代の遺跡?でしょうか?植物たちが遺跡を守っている?」
「遺跡って程の古さは無さそうだけど?」
そんな事を言いながら近くへ行くと、それは城のようだ。城を守るかのように茨や蔦が覆い被さり、それに加えて庭園の木々が伸び放題に育ち、この様な有り様になっているのだが、これは一体?
あ!分かった。これは”眠れる森の美女”だね。
どうやら、僕には 何のお話なのかが分かる能力があるみたいだね。もうちょっと使える能力は無いのかな?
「ボブ、ここには目的のモノは無さそうだから、先を急ごうか?」
「左様でございますか」
もともと、やる気のないボブに異論はない。
家族に”理想の姫君を求めて”って言っちゃったけどさ、眠り姫って100年眠るって呪いなんだよね。(諸説ありだけど)さも、王子様が眠りの呪いを解きましたあって話になってるけど、王子がキスしたタイミングとちょうど100年ってタイミングが合ったってだけだよね?
それに、さ、考えてみてよ。”今、頑張って城の中に入ります。⇒眠っている姫を見つけます。⇒キスします。⇒でも、まだ55年位しか経ってないから起きませんってなったら、僕の立場ってどうなの?
うん、やっぱりここはスルーだな
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