有能執事ボブ
カエルに影絵を見せられてから、3年が過ぎた。
「はああああ またカエルがやって来る季節になるな」
僕がため息交じりに言うと 後ろに控えていた執事のボブがいつものように
「左様でございますね 今年の趣向はどのように?」
と返してくる、と思いきや……
「保証はございませんが、王子、一つ提案してもよろしいでしょうか?」
「なあに?」
「あの 雌のカエルたちが、呪いをかけられたお姫様。という可能性はございませんか?」
なるほど!眠り姫もいばら姫も(いっしょだけど)呪いに掛けられたのはお姫様!そうだその手があった!!
だが、しかし……カエルにキス …… 間接キスでもいいだろうか?
うーん、子供の頃って、素手でカエル捕まえるのも、蛾や蝶々つかまえるのも平気だった。バッタを捕まえて 足がもげても当たり前だった……けど、最近では全てが苦手になって来た。これが成長というモノなのか?ダンゴムシをポケットに入れるとか考えられない。イナゴの佃煮とか、もう美味しいとかまずいとか言う前にムリ
***
そうこうするうちに、今年もカエルがやって来て僕に求婚した。僕はいつもののらりくらりとした態度で、さりげなく聞く
「ねえ、君は 僕に結婚してって言うけれど、人間の国の王子妃も大変だよ。そのままの姿では執務も出来ないでしょう?」
「あら?言ってなかったかしら?私達って、みんな由緒正しい、カエルの国の姫君なのよ?
わたしたちが人間、なんて下等な生き物に降嫁されるわけないでしょ?あなたを私達と同じカエルにしてあげるのよ?考え違いも大概になさいね。はああ あなたがこんなに生意気な方だとは思わなかったわ……
この話は無かった事にして頂戴」
カエルはボチャンと池に帰って行った。
うすうす感じていたけれど、やって来るカエルは毎年違っていたらしい。”私達”って、言ったもんな……こうやって、毎年お断りを入れて行けば、全ての姫君に愛想をつかせてもらえる日が来るのだろうか?
僕はカエルになりたくないから、呪いを発動させたくないんだ。
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