おどる子ブタ達
しばらく行くと、ブタが服を着て踊っている なんで?
赤いベスト 黄色いベスト 青いベスト、信号機の三色のベストを着た三匹の子ブタ、そう『三匹の子ブタ』だよね
思わず立ち止まってしまったら、真ん中の一匹の子ブタを目が合った。
『三匹の子ブタ』は、カエルの呪いとは無関係そうだからここもスルーだねっと思ったのに、目が合った子ブタはダンスを止めて僕の方に来た。
「お前、転生者なんだな」
「なんでそれを?」
「お前の頭の上に書いてある」
え?そうなのか?俺を上を見るけど何も書いてない
「僕の従者の上にも書いてある?」
「従者(モブ)って書いてある」
「いいなあ 役割が見えるんだ」
「見えても役に立たないから意味ない」
「そうなの?」
「アイツらの上には 長男 三番目って書いてある。だから、俺にはレンガの家は建てられない」
「諦めないで!」
「一度、かあちゃんに一緒に暮らそう。って言ったけどスルーされた。俺はもうレンガの家で兄弟三人で生きるしかないんだ アイツらの機嫌取って暮らさないと狼に食い殺される運命なんだ。あーん あーん」
子ブタは泣き出した。
ストーリー(運命)が見えて、それが避けられないというもなかなかにハードかもしれないね。僕はヨシヨシと子ブタの背中を撫でてやる。
「実は僕は『カエルの王子様』には出てこないお姫様の弟なんだ。」
「出てこない?ああ それで 転生者、カッコ モブ以下って書いてあるんだ……」
子ブタの呟きは気になるけど、僕は続ける
「だけど、ストーリーに干渉したおかげで”カエルになる”呪いの発動直前なんだ。カエルになってカエルと結婚して暮らすよりは兄弟仲良く暮らす方が良くないかい?」
「カエルかあ うん、兄貴は呑気だけど気が良いやつだし、弟は頑固だけど働き者だし、同居するならヒキガエルよりもいいかな」
子ブタは少し、遠い目になって考えていたけれど、そう答えた。
「だろ?」
僕が子ブタの背中を軽くポンポンと叩くと、子ブタは笑った
「うん、俺、すぐに吹き飛ばされるような立派な木の家を建てて見せる!」
目標を見つけた子ブタは、そう言って立ち上がった。
”直ぐに吹き飛ばされる”と”立派な”が両立させる家ってどんな家になるのか少し見てみたい気がするな。
「頑張ってね!」
「モブ以下くんもな」
僕達はがっちりと握手をして別れた。三匹の子ブタはまた仲良く三匹でダンスを始めていた。
あの子ブタ、僕の事、モブ以下くんって言ったな? 僕はモブ以下なのか、知っていたけど人(子ブタ)に改めて言われてちょっと落ち込む。
それにしても三匹の子ブタにさえ拒否される僕の運命ってどうなの?と思うけれど、子ブタがちゃんとストーリーに戻れるようで何よりだね
ダンスの音楽が聞こえないくらい離れてからボブに聞いてみる。
「ねえ ボブ 子ブタの兄弟と同居するのとカエルになるのとどっちがいい?」
「はい? 私には心に決めた方がおりますので……」
「ああ そう」
かみあわない会話をかみ合わせるのを諦めて、僕は歩き続けた。
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