第7話 ユーフォー

二人は同じドラッグストアの同じ薬を狙っていました。

お互いすぐにあの時の客と店員だということに気がつきました。

「ぼくたち何処かでお会いしましたよね」舌男は確信しました。双曲線におけるこの人が隣り同志にいる存在なのだと。

「ユーフォー。ちっさい頃、みた?」「子供の家。あたしすぐ出ちゃったけど」

「ユーフォー。僕も見えた。当たり前のように見えてた。しょっちゅうね。」「僕は最近出たばかりなんだよ」

「 … そうなんだ。」



「 ……ねぇ。君はニカみたいに死なないでね」「お願いだから」

そう言って何故か私は泣きました。

相手は困ったような、笑っているような表情でじっと私のことを見ていました。

 しかし二人とももう完全にホームレス でした。

帰る家も、働く場所も食べるものも何一つありませんでした。

あとは死ぬしかありません。

二人が夢見た物語は結局は自己の破滅に終わっただけでした。

何の権力も持たない塵のような人生でした。


この物語はただのフィクションです。

幻想なんです。

なので。




二人は天国で末永くしあわせに暮らしたとさ。

めでたしめでたし。



クワバラ、クワバラ、


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ユーフォー テチチ @chiwawa910

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