第3話 少年 ぼく

私は何も今までの人生が間違ったものだとか、自分が一般社会から逸脱した存在であるなどと思ったことは一度もありません。ただただ愉快に、美しく、本能のままに生きてきたつもりです。誰に何と言われようと、食べたいものを食べる。

えぇ。私の一番食べたい物。それは、人間の舌でした。


 私がその舌の美味しさに気付いたのは殺しを始めて暫く経ってからでしょうか。私は自分の舌がいかに繊細かを知っています。そのためどんな調味料で誤魔化したとしてもそのものが元来含んでいた味が分かるのです。

それがどういうことか、あなたがた普通の人の舌の持ち主にはわからないでしょうね

当たり前です

私にだってあなた方がなぜまずい牛や豚の肉を美味しそうに食っているのか理解できませんから

いけませんか?

リサイクルですよ

私のしていることは

カニバニズムこそ私たち人間がたどり着く最終形態。


「なんてことっ! 腐ってんね。あんたの脳。警察に捕まれ。はやくっ!はやく。」


そうあなた方はおっしゃります。ごもっとも。私は死刑。即死刑。警察に、捕まればの話です。

 こんな私の話。聴いてくださいますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る