花のような糸と勇ましい羽
くれは
1:花のような糸・前
山に降りていた父が、しばらくぶりに戻ってきた。
父がお客を連れて戻ってくることはよくある。いろんな人がトウム・ウルまでやってきて、
それが
この世界ができたときから、
けれど、その日訪れたお客は、少し様子が違った。
あとで聞いた話だけれど、そのお客の目的は
そして、何頭かのトウム・ウルを経由して、どこかに送り届けるのだと言った。
父が連れてきたお客は、男女の二人組みだった。わたしよりも少し年が上のようだった。わたしより年が上で一緒にいるということは、二人は
何よりもまず、女の人の姿が目を引いた。
暖かい部屋で溶けてしまった
それから、髪の毛にきらきらとした
わたしはそれを真似て、糸を編んでみている。トウム・ウル・ネイの糸で編むとどうしてもオール・アキィトと違う雰囲気になってしまうけれど、わたしは自分の好きな色の糸を集めて編んでいた。
指を動かしながら、
山に降りた先の
祖母に聞いた昔話にそんな話があった気がする。トウム・ウル・ネイの若者が山に降りた先で女の人を気に入って、そのまま
あの二人にも、そんなことがあったりしたのだろうか。
しばらく前に、いずれわたしを
わたしと同じくらいの年の男で、
二人で話せと言われても、何を話せば良いのかもわからない。向こうも不機嫌そうな顔のまま黙っていた。だからただ二人で何も言わずに立っていただけだ。わたしの父と
後から母に「どうだったか」と聞かれたけれど、何も言えなかった。「嫌か」と言われて困ってしまう。嫌も良いもわからない。わたしは母に「わからない」「何も話さなかった」と素直に伝えた。母は笑って「何回か会ううちにわかるでしょう」と言った。
わたしはこっそりと、どうせ向こうから断ってくるだろうと思っていた。何も話すことなく終わってしまったのだ。それにずっと不機嫌そうな顔をしていたし。
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