第305話 オークション結果

 ミズモチさんにダンジョンの外に連れ出していただき、近くのベンチまで連れて行ってもらいました。

 そのまま意識が目覚めるまでミズモチさんが警戒してくれました。


 目が覚めると、警察官の方が遠巻きに私を見ておられます。


「あっ、あんた冒険者か?」


 恐る恐る私へ問いかける警察官さん。

 ミズモチさんが警戒しているので、怖がっているようです。

 

「ミズモチさん、もういいですよ。こちらへ」

 

 大きくなっていたミズモチさんを掌サイズになっていただいて、私の手におさめっていただきました。


「おっ、おお!」

「すみません。近くのダンジョンに挑戦したのですが、傷を負ったので休息を取らせてもらっていました」

「そっそうか、ご苦労様です」

「いえ」


 私はアプリを起動して、自身の身分を見せながら警察官の方に受け答えをする。私よりも年下の青年は緊張している様子で、私の風貌もあってか清々しい敬礼を見せてくれました。


「お仕事ご苦労様です」


 私も代わりに警察官の方に労いを伝えると立ち去ってくれました。

 離れた位置にもう一人の警察官がいて、どうやらこちらの様子を伺っていたようです。


「ふぅ、ミズモチさん助かりました」

「ヴュ〜」


 黒カンガルーさんは強かったですね。

 ユイさんに報告する必要があるので、私はスーパーカブさんに乗り込んで冒険者ギルドへ戻りました。


 ユイさんが席を外されていたので、スマホを見れば、甲子園が終わったニュース、世界陸上、バスケットの世界戦がやっている情報が流れてきました。

 夏はスポーツの世界大会が多いですね。八月も終わりに向かっているので今度は台風の季節のようです。


 三つの台風が同時に来るとか、私の子供の頃はあったのでしょうか?


「お待たせしました」

「いえいえ、ニュースを見ていたので問題ありませよ」


 ユイさんが戻ってこられたので、私はカンガルーダンジョンで起きたことを話しました。


「なるほど、肉体的にはミノタウロスよりも強く。異常攻撃はないですが、脅威度はAクラスという事ですね」

「はい!」


 ガシャドクロさんに比べれば、怖さを感じませんでした。

 戦闘スタイルが、私との相性が悪く。

 相打ちになってしまいましたが、最初からミズモチさんが毒魔法を散布していれば、すぐに勝てそうな相手でもあります。


「搦手を用意して向かえば、意外に攻略ができてしまいそうですけどね」

「なるほど、調査ありがとうございます」

「いえいえ、指名依頼扱いにしていたので私も助かります」


 報酬はサラリーマン時代の三ヶ月分が報酬として支払われました。

 一日の稼ぎとしてはかなり高額だと思えます。


「それと先ほど席を外していた事なんですが、オークションの結果が出ました」


 そういえば、マンティコアのタテガミとご近所ダンジョンでドロップした。


 白小鬼の剣(良質) 一本

 白小鬼の槍(良質) 一本

 白小鬼の杖(良質) 一本

 白大鬼の金棒(良質) 一本


 をオークションに出していましたね。


「それぞれの金額はヒデオさんの口座へ振り込みさせていたきましたので、ご確認をお願いできますか? 明細もアプリに送ってあります」

「ありがとうございます」


 そういえば、ガシャドクロの鎧なども鑑定をお願いした方がいいかもしれませんね。そちらは確認を終えてから、またカリンさんにお願いしないといけません。


「えっ!」


 私は明細を見て大きな声を出してしまいました。


「こっ、これは間違いではありませんか?」

「はい。間違いではありません。内訳を説明させていただきますね」


 明細を見れば内訳も理解はできますが、ユイさんの話を聞いていきます。


「まずは、タテガミですが、今回発見された中では世界初のドロップ品でしたの、どこの国からも欲しいと声が出て、予想金額は5000万だったのですが、1億2000万でオークンションが可決しました」

「……」


 もう、金額が私の理解を追いついていないので、返事をする気力も起きません。


「これが一番高いものですね。ここからは一気にいきます」


 白小鬼の剣(良質) 一本 2000万

 白小鬼の槍(良質) 一本 2500万

 白小鬼の杖(良質) 一本 3000万

 白大鬼の金棒(良質) 一本 5000万


 はい。全て一桁増えました。


 オークションは世界中から欲しいという方々が金額を入札するので、最低金額から増えるのは当たり前だそうですが、すごい金額です。


 合計で2億4500万か10パーセントが冒険者ギルドの手数料として支払われて、2億2050万が入金されていました。


「もう、宝くじを当てなくても良いのですね」

「ふふ、そうですね。またドロップ品が出ればお知らせください」

「あ〜はい」

「うん? どうかしましたか?」

「あの、実は」


 私はミズモチさんにお願いして、ガシャドクロさんが落としたドロップ品を出していただきました。


「なっ! なんですかこれ!」


 鎧武者のような鎧一式に、刀が出されたことでユイさんが大きな声を出して驚かれました。


 うーん、これは私でもヤバい物だってわかります。

 魔石は今までの中で一番大きいですからね。

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