第303話 ボクサーカンガルー 2

 飛び込んできたカンガルーさんを白金さんを殴り飛ばしました。


 殴ったカンガルーさんは、地面に叩きつけられて、腰を打って悶絶しております。大きな体をしているので、暴れるとそれだけで脅威なので、距離を取ります。

 近くにいては、暴れるカンガルーの手足によってダメージを受けかねません。


 魔石に変わっていないということは、今のカウンター攻撃でも倒せていないということになります。

 攻撃力だけでなく、防御力も高いようです。


 悶絶する、カンガルーが暴れ回る中で、他のカンガルーが二体やってきました。私が警戒して白金さんを構えると、彼らは倒れた一体を指差して抗議をしてくるように怒っていた。


「ブルル! ブル! ブルル!」

「フガ!フガフガフガ!」


 半魚人さんたちは会話がわかったのですが、カンガルーさんたちは何を言っているのかわかりません。

 もう、フガフガ、ブルブル言っているだけです。


「ふん!」


 そうしていると倒れていたカンガルーさんが立ち上がって声を発しました。

 すると、抗議をしていた二人が引き下がります。


「えっ?」


 驚いていると、立ち上がったカンガルーさんが、私を指さして来いと手招きします。


「いっ、行けばいいのですか?」

「ヴュ〜ヴュっヴュ〜」

(ヒデ〜!ガンバレ〜!)


 ミズモチさんから応援されております。


「ふん!」


 近づいていくと地味なローキックをされました。


「痛っ! 地味に痛い! ああ、そういう」


 先ほどのカウンターが蹴ってきた足に当たって痛かったようです。

 カンガルーさんの脛が腫れています。

 その仕返しだったようです。


「ふん!」


 どうやら、堂々と戦えと言われいるようです。

 カンガルーたちのルールに従うべきなのか、ミズモチさんを見れば、二体のカンガルーを相手に毒魔法を使って倒しておられました。


「えっ?! 毒霧スライムですか?」


 霧状の毒が散布されて、私の目の前にいたカンガルーも倒れてしまいました。

 私は毒耐性があるので、問題ありませんが。

 ミズモチさんやり方がヒールキャラです。


「えっと、それでいいのでしょうか?」

「ヴュ〜」

(問題なし!)

「ミズモチさんが、そういうなら問題ないのでしょうね」


 私はカンガルーたちのルールではなくミズモチさんのルールに従います。

 ということで、ローキックによって蹴られた脛を《聖》魔法で回復しておきます。物凄く痛いのです。

 赤く腫れて折れているのではないかと思うほどでした。


 あっ、私も鬼人化すれば、あれぐらいの攻撃を受けても痛くなかったのではないでしょうか? いきなりのことだったので忘れていましたね。


「変身!」


 私は最初のカンガルーのようにいきなり殴り飛ばされることを想定して、変身をしておくことにしました。


「あっ、ミズモチさん危機察知さんが、団体さんがくることを教えてくています」

「ヴュ〜!」


 危機察知さんの警戒レベルはレッドです。

 ガシャドクロさんほどの強さはないようですが、ムキムキなカンガルーがわらわらと現れる姿は某スポーツ団体の選手が現れたようで怖く見えますね。


 見ている分にはカッコ良いのですが、自分が標的になっていると思うと恐ろしいです。


「さて、鬼人化もしたので覚悟を決めて参りましょうか?」

「ヴュ〜」


 ミズモチさんが毒霧攻撃を開始しますが、警戒して、散布された場所をカンガルーさんたちが避けて行かれます。

 どうやら一度目の攻撃を見ていたようですね。


「では、これはどうですか? 身体強化。白金さん伸びてください!」


 薙ぎ払いを使って、強化された白金さんでカンガルーさんたちを吹き飛ばしていきます。筋肉質なカンガルーさんたちは、ミノタウロスよりも重いです。


「ぐっ! ふう、数匹しか倒せませんね」


 三匹倒したところで勢いが落ちて四匹目で掴まれてしまいました。

 白金さんを小さくして取り返します。


「ここはいいですね。ムキムキカンガルーさんたちは戦闘訓練にもってこいな相手です」


 ガシャドクロさんと対峙した時、圧倒的な絶望感を感じました。

 

 ですが、柳先生が教えてくれた技の一つ一つが私に活路を見出してくれました。ミズモチさん、鬼人化、白金さん、そして柳流杖術が私を強くしてくれているのです。


「どんどんいきましょう。ミズモチさんもカンガルーさんたちの相手をお願いします」

「ヴュ〜」


 三十体ほどのムキムキカンガルーさんと、私たち二人による大乱闘です。

 鬼人化した体なら、ムキムキカンガルーさんに殴られてもそれほど痛くありません。それに動きにもついていけることがわかりました。

 カンガルーさんたちは、私が避けることが面白いようで、数人かかりで襲いかかってきます。


 それを私は常の型と受け流しを駆使して、攻撃を裁きながらカウンターの刺突を決めていきます。


「どうやら《聖》魔法も使い勝手が良さそうです」


 結界を張ることで、後ろからの攻撃を防いでくれました。

 あのムキムキな腕でラリアットを仕掛けてきたカンガルーさんが壁に激突して倒れるように転倒していました。


「なんとかなりましたね」


 魔石化していないカンガルーが半数ですが、睨み合うように一息つきました。


「ヴュ〜」

(楽しい〜!)


 ミズモチさんは余裕そうです! さすがですね。

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