第142話 ご近所ダンジョンさん 2

 本日は、ホワイトデーで丸薬を頂いたお礼も兼ねて白鬼乙女さんにお礼を持って参りました。

 仕事終わりが遅い時間だったので、コンビニで買ってきた物ですが、今のコンビニって凄いですね。金が付くシリーズの美味しさは凄いです。

 ご近所ダンジョンさんの近くがそのコンビニでしたので、たくさんレンジでチンをしたので、店員さんに不審な目で見られました。


 コンビニで一万円分購入するって初めてかもしれません。


「ミズモチさん。本日もご近所ダンジョンさんで夕食ですよ」


『ゴハン!』


「はい。ゴハンですよ」


 私はキャンプ用のシートとテーブルを広げて、コンビニで購入したお酒とおかずを並べていきます。

 ミズモチさんも小さくなってテーブルの上でスタンバイ完了です。


 最近、暖かい日が続いているので桜が花開き初めております。

 日当たりが良いのでしょうね。


「花見をしながら外でミズモチさんとお酒を飲むってなんだかいいですね」


『ハナミ〜?』


「はい。あのピンク色をしたお花がどんどん花開いていくと、この辺りも一面が桜の木に包まれて綺麗になりますよ」


『桜いっぱい!』


「はい。いっぱいです」


 最近はコンビニのおでんが衛生上なのか作られていないのが寂しいですね。私は結構好きで買っていたので、その場で温めるタイプでしたので、購入してレンジでチンをしました。

 美味しいのですが、桜を見たことで物悲しさを感じてしまうのは私だけでしょうか?


『おい!』


 不意に声をかけられて、振り返ると白鬼乙女さんが用意していたテーブルの前に座って私へ缶ビールを差し出していました。


「あっ、開けるのを忘れていましたね」


 私は缶ビールを受け取って目の前で蓋を開きました。

 差し出すと一気に飲み干してしまいました。

 私は、買っておいたロング缶を数本開けて目の前に置いていきます。


『足らん!』


 なぜか、いきなり飛ばしておられる白鬼乙女さんのお世話をしながら、お酒だけでなくおかずを置いていきます。

 食べる勢いが凄いので、大量に買っておいた物があっという間になくなっていきます。


『ふぅ〜』


 完全に全ての食べ物と飲み物が、白鬼乙女さんとミズモチさんによって消化されてしまいました。

 大きく息を吐かれた白鬼乙女さんに、私はプレゼントを渡すことにしました。


「あっ、あのバレンタインデーは丸薬を頂きありがとうございました。それにいつもドロップ品をくださって助かっております」


 ドロップ品やアイテムは白鬼乙女さんには、必要ないと思いましたので、本日は服を買ってきました。

 サイズなどはわからないので、シズカさんやカオリさんが着ていて素敵だなって思った服をたくさん購入してきました。


 いつも巫女服しか見たことがないので、ワンピースやふわふわなコートを着ている白鬼乙女さんを見たいと思ってしまいました。


「あっあの。いつも本当にありがとうございます!これ、よかったら使ってください!」


 紙袋を渡すと、怪訝そうな顔をされました。

 そして、中身を見て驚いた顔をしておられます。

 やっぱり男が、女性に服をプレゼントするのはおかしいでしょうか? 私も購入する時めっちゃ緊張しました。


『今日はもう帰れ』


「えっ?」


 最初、出てこられた時は怒っていましたが、今は白い顔を赤くされておられます。お酒を飲みすぎてしまわれたでしょうか?


「それではここを片付けたら帰ります。いつも本当にありがとうございます」


 私はシートの上で頭を下げます。

 次に頭を上げた時には、白鬼乙女さんの姿は消えていました。


「ミズモチさん。片付けをして帰りますよ」


『は〜い。桜いっぱい』


「ええ、またいっぱいになる頃には来ましょう。来週には満開になっていると思いますので」


 ふと、風が吹いたような気がしました。


 桜の花びらが舞っていれば綺麗な月見酒になったのですが、それは次回ですね。


 私はスーパーカブさんに乗り込んで、ミズモチさんと家に辿り着きました。


「ミズモチさん。ミズモチさんにも、今日はホワイトデーです」


『ホワイトデー?』


「はい。いつも一緒にいて頂きありがとうございます! いつもダンボールで寝ておられるので、これから暖かくなってきましたので、ひんやりマットを買ってきました。まだ使うのには冷たいですが、気持ちいいと思います」


『冷た〜』


 私が床にひんやりマットを置くとすぐに乗って堪能しておられます。やっぱりミズモチさんは私にとって癒しですね。

 ミズモチさんと出会ってから、いったい私はどれだけ日々癒されているのかわかりませんね。

 

「半年間、本当にありがとうございます。これからも末長くよろしくお願いします」


『ヒデ!よろ〜』


 ミズモチさんは、私の膝へと移動して撫でられてくれます。

 ひんやりマットの後なので、お身体が冷たいです。


 私はギュッとミズモチさんを抱きしめてホワイトデーのお返しを終えました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


どうも作者のイコです。


本日、カクヨムコンテスト中間発表がなされて【道スラ】が中間選考を突破できました。これも全て読んで頂いている読者の皆様のおかげです!!!

サポート、いいね、コメント、レビューを頂き本当にありがとうございます!!!


最終発表は5月になります。

皆様に嬉しい報告ができるように、心待ちにしております!!!


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