第134話 ミズモチさんは強い?
249万円という私にとって大金のスカル仮面さんを買ったことで、私は意外な副産物に気付きました。
なんと、24万円分のポイントが付与されていたのです。私の月給よりも多いポイントです! 私、実はポイ活という物をしたことがありません。
タイムスリップできるなら、ポイントカードをたくさん作ってポイント活動したいと思うほど損した気分です。
有名ポイントマラソンや、ネットショッピングの上乗せポイントとか話には聞いたことがありました。
今まで機会がなく消失させてしまうことが多々あったんです。
冒険者カードに付与されるポイントは、コンビニやスーパー、各種大型ショッピングモールでも使うことができるので、使う場所は多岐に渡るのに提示もしてきませんでした。
「まぁ貯まってないのはしゃーないよ」
そう言って、私に説明してくれているのはハルカさんです。
ハルカさんは、冒険者さんとして色々と知識があるので、今回皆さんに迷惑をかけたこともあり、冒険者のイロハを習うために、都さんの店で習っております。
「今までは、黒杖さんと胸当てぐらいしか買ったことがなかったので気づいていませんでした」
「まぁ他のとこでも提示したらポイント使うから今後はどんどん使っていったらええんちゃうかな?」
B級冒険者として、専属で活躍されているハルカさんはやっぱり凄いです。金銭感覚が私とやっぱり違いますね。
高級マンションに住んでいて、武器や防具なども詳しく買い揃えているそうです。
「ソロでやってたら、なんでも自分でできなあかんからね。ヒデオさんは、ミズモチさんがいるって言うても、ソロやねんから」
「はい。冒険者として、私って知らないことが多すぎますね」
「そやね。まぁ、今までは兼業としてミズモチさんの魔力共有が一番の目標でやってたやし。せやけど、B級になって強い魔物と戦ったら、ドロップ品が落ちることも増えていくんやから、礼儀とマナー、それに簡単なルールぐらいは知っとかなあかんよ」
本当はユイさんやカリンさんに聞くのが普通かもしれません。
今回は、迷惑をかけたので聞きづらいと思ってしまいました。
その点、ハルカさんにもご迷惑をおかけしていますが、こうして食事に言って直接お礼が言いやすいので同郷と言うのはこういう時に助かりますね。
「ポイント制度の話は最初にしてもらった気はするのですが、全く覚えていませんでした」
「まぁな、冒険者のアイテムってゴッツ高いもんな。買わんでええならいらんよね」
ハルカさんに絶対に必要な物と、比較的必要な物を教えて頂いて、カリンさんのところで購入することにしました。
「それにしても1日でそこまで稼いだ冒険者は珍しいんちゃうかな?」
「そうなのですか?」
「そやろ。普通のB級でも、一ヶ月分ぐらいの稼ぎちゃうかな?ウチは稼いだことないわ」
そう言われると自分が凄いことをしたような気になるので嬉しいですね。
「まぁミズモチさんのおかげですけどね」
「それが不思議なんよね。スライム言うたら、最弱の魔物って常識やねんけどね。ミズモチさんは異常に強いような気がするんよ」
「そうなのですか?」
「まぁ、うちもテイマーちゃうからよくわからんけど。魔物を強くする特別な方法でもあるんかな?」
「特別なことは何もしてないと思います」
レベルが上がるたびにミズモチさんの能力を上げて、残ったポイントで私のスキルを習得しているだけです。
普通の人のレベル上げは、自分の能力やスキルを習得することが多いそうなので、能力に割り振っているのでスキルが取れていない方だと思います。
「それにしても存在消せるマスクに、強すぎるスライムって、もう人辞めとるな」
「えええ!!!私自身は普通の人間ですよ」
「いやいや、普通の人間は、ミノタウロスでストレス発散しようと思わんよ。何がそんなにストレスなんか知らんけど。八つ当たりされたミノタウロスたちが可哀想すぎるわ」
それはまぁハルカさんに相談するわけにはいきませんが、こればっかりは色々あるとしか言えませんね。
「それで? 存在消すマスクなんて何するん? もしかして、犯罪行為でも考えてるんやないやろね?」
「そんなわけないじゃないですか! この顔をむしろ、他の方に見せないためですよ」
「ふーん。うちはてっきり存在でも消して、女風呂覗いたり、女子更衣室入ったりするんかと思ったわ」
そろそろ酔いが回ってきたのかもしれませんね。ハルカさんが悪ノリを始めてしまいました。
「そんなことするわけないでしょ?」
「ホンマに? 四十代言うても、ヒデオさんも男や。そんな気分になったりせいへんの?」
「わっ、私ですか? えっと、まぁそれなりにはありますが、そこはあれです。現在はネットが充実しておられますので」
「ふ〜ん。その気はあるんやね。てっきり」
「てっきり?」
「ううん。なんでもないよ。でっ? どんなん見てるん?」
「えええ!!そっ、それは流石に女性には言えません!」
人は酔うと厄介ですね。
「ハルカさん飲み過ぎですよ」
「別にうちは酔うてないよ。なぁヒデオさん。うちは女に見えへんの?」
「えっ!」
ハルカさんは同郷の友人だと思っています。
美しくて、モデルさんや冒険者さんとして頑張っておられます。
人格も明るくて、面倒見がよく話していて楽しいです。
「そっ、それはとても綺麗な方だと思っていますよ」
「なら、ウチで卒業せいへん?」
「そっ、卒業?」
「うん。ヒデオさん、まだ女知らん言うてたやろ?」
そっと、ハルカさんが私の太ももに手を置きました。
「わっ、私はお付き合いする相手とだけ、そう言うことをしたいと思います!」
「なら、うちはあかん?」
「えっ?」
「うちな。もうあいつのことは忘れたよ。ううん。忘れることはできへんけど。もうええかなって、次の人を見つけて幸せになってもいいんちゃうかって、思えるようになってん」
今まで友人だと思っていた女性を、女性として見てしまう……、私はいけないことをしているのでしょうか?
「それは賛成です。ですが、私自身は、まだ気持ちがついていけていません」
「うん。分かってる。知っといてもらいたいねん。うちは、ヒデオさんのことをそういう目で見てる。分かっといて」
酔っているような、蕩ける瞳で見つめられて私は生唾を飲み込み一気にビールを飲み干しました。
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