《4/10書籍発売》道にスライムが捨てられていたから連れて帰りました

第116話 私が全国デビュー？？？

ミズモチさんと過ごした午前中は、ほっこりと私の癒しの時間でした。

朝から飲むお酒も幸せ以外の何物でもありませんね。

昼寝をして、目を覚ました私はスマホに目を止めました。

普段、メッセージなど来ないので、休みの間はあまり見ることもありません。

ですが、シズカさんの様子も気になりましたのでメッセージを送ってみようと思ってスマホの画面を開くと……

「えっ！通知件数120件？」

通知とメッセージがたくさん来ておりました。

通知は、冒険者ギルドとカオリさんからですね。

メッセージは、カオリさん、シズカさん、ハルカさん、あとアカバ君たちグループメッセージからです。

【カオリ】『テレビ見ました！無事でしょうか？よければ連絡ください』

【ハルカ】『ヒデオさん、体調はどない？まだ寝てるんかな？」

【シズカ】『ヒデオさん、本当にありがとうございました。病院で目を覚ましてびっくりしちゃいました。また改めてお礼をしたいと思いますので、ご連絡お待ちしています』

三人からのメッセージは概ね、私のことを心配してくれているメッセージばかりでした。私はそれぞれに返信をしておきます。

【私】『ご心配をおかけして申し訳ありません。私は大丈夫です。昨日は疲れて家に帰り着いてから、すぐに寝てしまいました。スマホのメッセージに気づくのが遅れてしまいました。返事が遅くなってしまって申し訳ありません』

三人には、似たような文章で返します。

一応、カオリさんには、昨日のお出かけを途中で解散したお詫びを一文入れて。

ハルカさんには、後処理をしていただいたことに対してお礼を告げ。

シズカさんにはお礼など気にしないで良いので、体を大事にしてくださいとお伝えしました。

「ふぅ〜メッセージを返すのも骨が折れますね。後は冒険者ギルドへ連絡ですね」

私が冒険者ギルドに電話をかけると、ユイさんが電話に出られました。

「ヒデオさん！大丈夫なんですか？昨日から何度かご連絡を差し上げていたんです。繋がらなくて心配していたんです！今日も連絡がなければお家に行こうかと……」

「これはすみません。昨日は疲れてしまって、すぐに寝てしまったんです」

「そうだったんですか。ふぅ、それならよかったです。あっ、それから今日はもう夕方なので来週に冒険者ギルドに来ていただけますか？」

「はい。それはもちろん構いませんが、どうしたのでしょうか？」

私、何かしてしまったでしょうか？

「遭難者救出の報酬が出ております。また、その時の事情をギルドマスターに報告していただきたいのです。A級冒険者のお二人からもお話は聞いているのですが、阿部さんのお話も聞きたいと、ギルドマスターがおっしゃられて」

「なるほどですね。わかりました。それでは来週の火曜日の夕方にお伺いします」

「はい。それでお願いします」

ユイさんとの電話を終えて、なんとか一息ついた頃には、夕方から夜へと変わっておりました。

「いやはや、色々と人付き合いは大変ですね。アカバ君やモモさんたちからも心配のメッセージが届いていたので返さないと」

アカバ君たちのメッセージを開けると共通の話題が上がっていました。

「祝、阿部さん全国デビュー？なんでしょうかこれは？」

グループでやり取りをしているメッセージなので、84件を遡って読んでいくと。

どうやらビックブラックベアーとの戦いが、テレビで放送されていたようです。

衛星やヘリコプターからの映像なので画像は荒く、知り合いでなければ私とはわからないような映像でした。

ですが、私のことを知っているアカバ君たちが、私の活躍を喜び盛り上がっていたようです。

「ふふ、なんですこれ？謎の生命体ツルピカって？荒い映像だから、私がミズモチさんに乗っていて一つの生き物の様に見えます。上も下もツルツルピカピカ光っていたですって？」

リンクされたアドレスを押すとスマホ画面に、下はミズモチさんの丸みのあるフォルム。上は私の頭部だけから魔法が放たれて、光のせいで影となって浮き上がっている写真が掲載されておりました。

「これでは私とは全くわかりませんね」

画像を見て、私は笑ってしまいました。

【進化ミズモチさん】『ナニ〜？』

「ほら、ミズモチさん見てください。私とミズモチさんの画像だそうです。謎の生命体ツルピカと言うらしいです」

【進化ミズモチさん】『ツルピカ〜♪』

ミズモチさんは画像を見て楽しそうです。

ふふ、なんだか嬉しいですね。

まさか私とミズモチさんがテレビに出ることになるなんて、このような影だけではありますが。知り合いはわかってくれるので、話題に上げることはできますよね？

私、テレビに出たんだぞと、これを見せれば笑ってもらえそうです。

「アカバ君たちにも、生存報告をして、『ご心配ありがとうございます。昨日は疲れて寝ていました。今は元気になってミズモチさんとご飯を食べています』とミズモチさんの写真を添えて」

私のメッセージがグループに追加されて、既読が七件全員分の既読がつきました。皆さんからは無事を労ってくれるコメントと、全国デビューの祝福の言葉が送られてきました。　

明日は、会社でカオリさんにも謝罪とお礼をしないといけませんね。