第4話 その2 ちら

今日は久しぶりにそんなに忙しくないな……。

三日月はふと、そんな事を感じていた。

実際のところ、それでも例年より忙しいのではあるが、最近が忙しかったため錯覚で暇に感じるようになっていたのだ。

最近忙しいよな……。

そう考えた三日月は、違う「最近」の事を考えていた。


「今日はそんなに忙しくないな、織部。」

その時、デスクワークをしていた三島がこちらにやって来た。

「今日は他にやること残ってたりするか?手伝うぞ。」

「いえ、今日はそんなに残ってないので大丈夫です!ありがとうございます。」

三日月は爽やかな笑顔を浮かべてそう答えた。

だが、三島の目には声をかける前、ちらっと見せた陰りが焼き付いていたのだった。


「……どうだ?最近、なんか問題とか無いか?ってこの間の面談でも聞いたけどさ……。」

三日月が訝しげな表情を向ける。

「いや、最近ちょっと元気がない様な気がして……な……。」

「いや、至って元気ですよ!ちょっと最近ゲームにハマってまして……すみません寝不足で……。」

三島は三日月の表情がいつもの爽やかな笑顔に変わったのを見て、これ以上踏み込むのをやめた。

(これ以上は、流石に野暮だな。)

その一部始終を傍目に見ながら、木場は眉をひそめていた。

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