第2話 その1 寛容

朝と夜は肌寒くなってきた。

三日月は3日分、2人分の洗濯物を外に干しながらそう感じていた。

いつもは2日に1度、出来る方が洗濯する決まりとなっている。

だが時々面倒になって、明日でいいやとなってしまうことがある。

今回はそうでは無いのだが。


携帯のメール受信音が鳴った。

「今日は夕方には帰るからね。」

紅音からだった。

彼女は昨日から出かけている。

カラオケでオールしてから次の日に別の人と遊んでくるらしい。


「そういう時もあるわな……」

休みが被る時は大体一緒に出かけたり、家でのんびり過ごすのがお決まりだっただけに、久しぶりの1人は今までで1番部屋が広く感じた。


しかも三日月からしたら、気が気でない。

遊びに行った中に男も……というか、男3人と遊びに行っているからだ。

普通は止めるのだろうか、三日月にはイマイチピンと来ていなかった。

というのも三日月は、彼女を束縛しないように心がけていたのだ。


紅音がこちらに越してきたのは半年前。

それまで実家で暮らしていたため、休みの日は友人と遊ぶことも多かっただけに、ここで友人のいない日々は退屈なのでは……と少し反省していたところだ。

可能な限り遊びに行かせてあげたい……というのが三日月の優しすぎるところなのかもしれない。


「ただいま!遅くなってごめん!」

そう言って彼女が帰ってきたのは、8時過ぎだった。




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