第7話 お礼
「
「
珍しく枋木さんから朝の挨拶がきた。
ちょっと驚いてしまう。
「あの、これ」
「ん?」
青を貴重としていて、赤リボンで可愛らしくラッピングされた小さな箱を差し出された。
「どうしたの?」
「この前の傘のお礼」
どうやら気に病んでいたのか。
気にしなくてもいいのに。
「別に気を遣わなくても」
「ううん、ダメ」
頑なな感じを受け取り、少し気圧される。
「制服濡れていたから、申し訳なくて」
気付いていたのか。
隠し通せたと思っていたのに。
頭を軽くポリポリ掻いて、差し出されたお礼を受け取った。
「今回だけな」
「ありがとう」
柔らかな表情となった枋木さんは可愛かった。
※
枋木
駅構内で見付けた小さなお菓子。
それを薮木君に渡した。
傘を忘れた私が悪いのに助けてくれて。
しかも相合い傘中、私の方に傘を向けてくれて、彼の制服が濡れていたのは分かっていた。
だから、薮木君と別れた後、お礼を考えていた所に見付けたお菓子だった。
クッキーである。
お菓子が苦手だったらって考えてしまったけど、ポップには甘さ控えめと書いてあったから大丈夫と思って買った。
帰宅してから箱にラッピングして、出来上がりは可愛くなったから嬉しくなった。
そして今日、やっと渡すことが出来た。
本当は次の日に渡そうとしたけれど、なかなか勇気が出なくて渡せずに数日かかってしまった。
喜んで貰えるといいな、なんてね。
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