幼馴染が僕の部屋に乱入してきた

 放課後、佳奈ちゃんと一緒に帰った僕は自分の部屋でゲームをする。

付き合っていても、四六時中一緒ではない。


ゲームも僕にとって大切な存在だから、遊ぶ時間が欲しいんだよ。



 ……テンポ良く階段を上る音が聞こえる。

お母さんにしては、上るのが早い。もしかして…。


急に開く僕の部屋の扉。…思った通り、佳奈ちゃんだった。

家が隣同士なので、顔パスで何とかなる。


「なぎちゃん。…ゲームしてたんだ~」

テレビを観てゲームをしてるから、一目瞭然だよね。


「うん、そうだよ。…何か用事?」

ゲームをしながら話す。


帰ってから会う話はしてないけど…。


「用事がないと、来ちゃダメなの?」

悲しそうな顔をする佳奈ちゃん。


「そんな事ないんだけど…」

佳奈ちゃんはゲーム好きじゃないから、ゲームを観ても暇なはず…。


「じゃ、良いよね♪」

そう言って、僕の隣に座ってきた。



 「なぎちゃん。あたしのブラはどこにしまったの?」

今朝、タンスにしまった話をしたっけ。


「あそこのタンスにしまったよ」

僕は、しまったタンスを一瞬指差す。


簡単なゲームとはいえ、コントローラーから手を放したくないから一瞬だ。


「ふ~ん」

佳奈ちゃんはタンス前まで移動してから開け始める。


さて、ゲームに集中しよう…。



 「…あった。あたしのブラを隠すようにしまうなんて、なぎちゃんひどい…」


TシャツとTシャツの間に入れたからね…。隠したのは事実だ。


「そう言われても…。朝言ったよね? お母さんに見つかりたくないって」


「本当に大丈夫だと思うけど…。あたしが直接言ってあげるから♪」


「言わなくて良いよ。佳奈ちゃんは気にしないで」

そして、2度とをプレゼントしないでほしい…。


「気にする! あたしは隠してほしくてブラをプレゼントしたんじゃないの!」


そもそも、男の僕にブラをプレゼントすること自体が間違っているけど…。


「なぎちゃんのお母さんに納得してもらえば良いんだよね。…行ってくるよ」

そう言った後、僕の部屋を出る佳奈ちゃん。


…え? 本当にお母さんの所に行ったの?

ゲームをポーズ画面にしてから、佳奈ちゃんを追いかける。



 急いでリビングに向かったところ、お母さんと佳奈ちゃんが話していた。


「なぎちゃんのお母さん。お願いがあるんです」


「何かしら? 佳奈ちゃん?」


「実はあたし、なぎちゃんにブラをプレゼントしたんですけど、そのブラを取り上げないでほしいんです」


「……ブラをプレゼントしたの? 佳奈ちゃんが……渚に?」

お母さんは、理解できない様子に見える。


そうだよね。やっぱり、そういう感じになるよね。


「はい。なぎちゃんにもっとあたしのことを知ってもらいたくて…」


それっぽい事言ってるけど、ブラである必要はまったくないよ…。


「…私にはサッパリだけど、近頃の子はこんな感じなのかしら?」


違うよ! 佳奈ちゃんが特別なんだよ! お母さん、勘違いしないで!


「そうですよ~。好きな子に下着をプレゼントするのは流行です♪」


佳奈ちゃん凄いな…。こんな無茶苦茶な話を通そうとしている。


「…わかったわ。渚の部屋に女の子の下着があっても、気にしないわよ」


「ありがとうございます。なぎちゃんのお母さん♪」


本当に説得しまった佳奈ちゃん。…恐るべし。



 「なぎちゃん。許可もらったよ♪」

Vサインをする佳奈ちゃん。


「渚。佳奈ちゃんの下着、大切にしなさい!」


お母さん…。もう何を言っても、無駄なのかな?

言ったところで、佳奈ちゃんに丸め込まれる気が…。


「わかってるよ…」


事態は収拾するどころか、悪化していく…。

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