幼馴染の性癖を知った僕

 自分の部屋に戻った後、ベッドの上で考え事をする僕。

…佳奈ちゃんが、あんな子だったなんて。今でも信じられない。


話を聴いた限りだと、僕が佳奈ちゃんをHな目で見た事が発端みたいだ。

だから自分のブラをあげて、僕を誘惑しようとした…。


そう、僕が他の女の子にデレデレしないように…。


果たして、これからも佳奈ちゃんと付き合えるのかな?

…今の内に別れるべきかも?


いや、別れたとしても佳奈ちゃんは隣の家だ。

今後も絶対顔を合わせるから、気まずくなってしまう…。


それに、佳奈ちゃんの僕に対する執念が凄まじかった。

素直に別れてくれるとは思えない…。


……きっと、初めて佳奈ちゃんの本音を知って混乱してるんだ。

時間が解決してくれるはず。うん、そうに違いない。



 明日の時間割に合うように、教科書を入れ替えないと。

カバンを開けたら、佳奈ちゃんのブラが一番上にあった。


そういえばあの時、佳奈ちゃんが僕のカバンを開けて入れていたっけ…。


佳奈ちゃんのブラを取り出して観察してみる。

…後ろにホックがある、普通のブラだ。


僕はブラのカップ部分に、鼻を近づけてみた。

少し佳奈ちゃんのニオイがするような…?


……よく考えたら、このブラはどこにしまえば良いんだ?

お母さんに見つかったらヤバい。それだけは、何としても避けないと!


僕は服が入っているタンスを開け、Tシャツで挟むようにブラをしまう。

これならパッと見ただけでは、わからないはず。


ブラをしまってすぐ、僕の部屋の扉がノックされた。


「渚。夕飯できたわよ!」


お母さんか。早めにしまっておいてよかった。


「わかった!」


扉を開けず、すぐに離れたお母さん。

ふぅ。たまに扉を開ける時があるんだよな。その時だったら…。


明日、登校する時に佳奈ちゃんにちゃんと言おう!

ブラみたいなものは、もういらないよ! って。



 次の日。登校するために外に出ると、佳奈ちゃんが門扉の前にいた。


「おはよう、なぎちゃん。よく寝れた?」


「うん、寝れたよ」

混乱して寝れないと思ったけど、逆に寝れたな…。


「行こうか♪」


僕が門扉を開けて間もなく、佳奈ちゃんが手を差し出す。

手を握って登校するの? 今まで、そんなことしたことないのに。


「佳奈ちゃん、それは恥ずかしいよ」

人目が気になる…。


「良いじゃん♪」

僕の手を握ってくる佳奈ちゃん。


…言っても聞かないだろうし、このままでいいか。



 「なぎちゃん。昨日のブラ、飾ってくれた?」

いきなり何を訊いてくるんだ? 佳奈ちゃんは?


「お母さんに見つかりたくないから、タンスにしまったよ」


「…気にしなくて良いのに。なぎちゃんのお母さんだって、あたしがあげたブラなのは、すぐわかってくれると思うけど」


本当かな? 『盗んだ』と思われる気が…。


「佳奈ちゃん。ブラのようなプレゼントはちょっと…」

去年もらったペンと消しゴムのほうが、使い道はある。


「そっか…。なぎちゃんはあたしのパンツが欲しいんだね」


「違うよ! 僕の話聴いてた?」

パンツだって『ブラのような』に入るでしょ!


「えぇ~。プレゼントで、なぎちゃんを魅了したいのに…」

佳奈ちゃんは、明らかに不満そうだ。


「僕は佳奈ちゃんのことが大好きだから、プレゼントがなくても気持ちは変わらないよ。絶対に」


ここまで言えば、ブラのようなものをプレゼントすることはない…はず。


「ホント? 嬉しい♡」

微笑む佳奈ちゃん。


これで一件落着だな。扱いに困るプレゼントはね…。


「あたしのことが大好きなら、別れることは絶対許さないから♪」


念を押されてしまった…。今後、佳奈ちゃんが今以上に暴走しても別れることはできないのか…。


大丈夫かな? もしかして墓穴掘った?


僕と佳奈ちゃんは同じクラスなので、昇降口で靴を脱ぎ履きする以外、ずっと手を繋ぎながら教室に向かう…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る