第53話 砂糖作りと大移動。そして時々神様。

【異世界生活 50日目 7:00】


流司りゅうじお兄ちゃん、なにこれ? 美味しい。美味し過ぎるよ!!」

俺が寝ぼけた頭でテントから出ると琉生るうがそう言って興奮して俺に飛びついてくる。

 

「ああ、砂糖、食べたのか」

俺は回らない頭でそう言う。

 昨日は砂糖作りで少し寝るのが遅くなってしまい、寝不足気味なのだ。


「これは、いっぱい作って持って帰らないと、ダメなやつだね」

琉生るう一角いずみと同じような反応をする。


 その日から、3人はやる気満々で砂糖作り。

 1週間では帰れそうにないので、明日乃あすの達に連絡をした。

 明日乃あすのに水や食料の事を聞かれたので、川の水がきれいで飲めること、川魚もいて食事には困っていない話をしたところ、4人もこっちに移動して来るらしい。

 まあ、定住に不向きだったら帰ればいいという考えらしい。

 折角、ツリーハウス作ったのに、もったいない気がするが。

 まあ、竹林は見つけたから、こっちにもツリーハウスを作ればいいってだけだけどな。


 それと、神様の話では北の海岸から隣の島に移動できるらしいので、魔物が狩りたくなったら北の海岸に行けと、俺がレベル11になる儀式をしてもらった時に言われた。

 どうも、神様は島を渡って、魔物を倒しまくってレベル上げをさせたいらしい。

 意味が分からない。


 あと、こっちに来るという事なので、明日乃あすの達に、山に登るときは少し重いけど、薪を持って上った方がいい事を伝えておく。

 峠付近の薪不足は深刻だったからな。


 明日乃あすの達を待ちながらの砂糖作り。

 明日乃あすの達と合流したら、新拠点の場所も決めないとな。

 飲み水が汲める場所に近くて小麦畑も近くて、竹林も近いところ。そして、ツリーハウスが作れる太い木のあるところで薪にも困らない場所だ。あと、塩作りや貝集めもあるから海にも近くないとダメか。

 色々準備もあったのか、5日後の夕方、明日乃あすの達がサトウキビ畑に到着する。



【異世界生活 55日目 17:00】


「りゅう君、なにこれ? 美味しい、美味し過ぎるよ!!」

到着して早々、明日乃あすの達に砂糖を味見させると、明日乃あすの琉生るうと全く同じような反応をする。

 まあ、みんな甘味は久しぶりだしな。


すずさんは良かったの? 向こうの川とか山登って鉱石探しとか楽しみにしていたんじゃないの?」

俺は到着したすずさんが気になってそう聞く。

 南の海岸の拠点に一番執着するとしたらすずさんか、はた織機の移動で苦戦する真望まもだからな。


「ああ、流司りゅうじがこっちで砂糖作りしている間に、銅鉱石の孔雀石とか、河原や川底から砂鉄とかも採っていたんだけど、とりあえず、向こうに置いてきて、こっちの様子を見に来たわ。まあ、こっちが落ち着いたら、砂鉄とかとり行けばいいんだし。山も、こちら側から登ればいいし。そのときは、流司りゅうじ一角いずみちゃん、手伝ってね」

すずさんがそう言って笑う。

 結局、すずさんは原料集めが精いっぱいで、製鉄や銅の加工はおろか、炉や送風用の水車の製作すらできていない状態だったらしい。移動するならちょうどよかったといえばちょうどよかったそうだ。


「あと、真望まももよかったのか? はた織機、あんなデカいと山を越えて持ってこられないだろ?」

俺は真望まものことも気になって聞いてみる。


「どっちにしろ、こっちでも麻の生えている場所見つけないと麻布作りはできないし。それに、はた織機の心臓部の部分だけ分解して持ってきたわ。この部分があれば、新しく竹を集めて組み直すの簡単だし、とりあえず、織り終わった麻布と麻糸を持ってこっちに来たわ」

真望まもが自慢げにそう言って、麻布の束を見せてくれる。テントも作ったらしく、いらなくなったらばらして服にしてもいいしリュックサックにしてもいいしと言っている。

 まあ、テントは今後も使えそうだから、とっておいて欲しいが。


真望まもちゃんは流司りゅうじクンに会いたくて仕方なかったのよ」

麗美れいみさんがそう言って笑う。

 真望まもが顔を真っ赤にして怒る。


「私も大変だったのよ。真望まもちゃんの荷物は多いし、薪は下から持ってこないとダメだし、土器とか食料もあるし、荷物が多すぎて、結構、南の拠点に色々置いてきちゃったんだよね」

明日乃あすのが本当に疲れ顔でそう言う。


明日乃あすのちゃんが『りゅうくんが心配で、心配で、どうしよう? 大丈夫かな?』 って毎日うるさくて、こっちに来て正解だと思ったよ」

すずさんがそう言って笑い、明日乃あすのを冷やかす。


明日乃あすの、心配かけてごめんな」

俺はそう言って明日乃あすのを抱きしめる。


流司りゅうじクン、それいいな。私もやって欲しいかも。お姉さんたちだって心配したし、頑張ったんだから」

麗美れいみさんが明日乃あすのと俺を冷やかすようにそう言う。


 結局、麗美れいみさんも、すずさんも抱きしめて、真望まもも抱きしめて、意味が分からないが、琉生るうも抱きしめて欲しいと便乗してきて、ついでに一角いずみも抱きしめた。平等に、ってことだ。


 麗美れいみさんもすずさんも本当に頑張ったみたいで山を下りたところで狼に襲われたらしく、4人で倒したらしい。


「とりあえず、今日はここにテントを張るとして、明日からどうするか考えないとな」

俺はそう言う。


「そうだね。とりあえず、夕ご飯食べながら話し合おうよ」

明日乃あすのがそう言って、夕食の準備を始める。途中で山菜とか取ってきてくれたようだ。


 久しぶりに、明日乃あすのと俺で夕食を作る。

 古い干し肉から使わないと腐りそうなので俺達が持ってきたクマ肉から使っていく。

 明日乃あすの達も干し肉を持ってきたし、川魚の干物もまだあるし、食料は特に問題なさそうだ。


 夕食を作り終え、みんなで食べながら南の拠点での生活とこっちでの生活の情報交換をし、今後の行動、今足りないもの、これから欲しいものなどを話し合っていく。


「とりあえず、新拠点づくりだな。拠点をどこにするか、そして、それを決める為にも北の平原に来る目的でもあった小麦畑を見てみないとな」

俺はそう言う。


「でも、せっかくだから、砂糖も作れるだけ作りたいよね? 今逃すと来年の1月まで多分作れないよ。温かくなると、サトウキビって成長を始めて、甘みが減っちゃうらしいから」

琉生るうがそう言う。実際、今の時点でも収穫が遅いくらいらしい。


「そうなると、ここに仮拠点を置いて、探索隊で小麦畑を見に行く感じか。まあ、小麦畑はここから近いみたいだし、食料も水もそんなにいらないだろうし」

俺は琉生るうの意見を聞いてそう意見する。


「だが、水が必要になるぞ。ここにきて結構使ってしまったし。あと、砂糖作りに竹の水筒を鍋代わりに使ってしまったから、新しい水筒も欲しいな。あと、水を汲みにいくなら魚も捕りたい」

一角いずみがそう言う。

 たしかに、サトウキビの搾り汁を湯煎する時に竹の水筒を使って、こびりつきが酷い。

まあ、お湯で溶かせるのかもしれないが。


「そうだな。竹と水は欲しいな。仮拠点とはいえ、ここも少しは柵とか作って防備をしたいし」

俺は一角いずみの意見に賛成する。


「あと、こっちに移住するんだったら、茶葉とか採り行きたいかも。お砂糖あるんだから、紅茶とか作ろうよ」

琉生るうがそんなことを言いだす。


「紅茶、いいわね」

「うん、飲みたいかも」

珍しく、麗美れいみさんと明日乃あすのの意見が一致する。

 向こうの拠点で結構仲良くなれたのかな?

 そして、なぜかやる事が増えてしまった。


「ちなみに、茶葉の収穫時期はちょうど今らしいぞ。4月~5月で採れるのが一番茶とかって言って、一番おいしくて、7月くらいまで2番茶とか、とることはできるらしいが」

俺は秘書子さんに茶葉について聞いて収穫時期を確認する。


「小麦の収穫時期がそろそろだから、そっちも考えないとね。小麦を見に行って、収穫できそうだったら、刈り取って、干して、干している間に茶葉を採りに行く感じかな?」

琉生るうがそう付け足す。

 結局、茶葉は採りに行くことになったのか?


「こっちの生活が落ち着いたら、鉱石さがしの探索とか、南の拠点から砂鉄や銅鉱石の移動もしたいわね。あと、砂鉄はもう少し採りたいし」

すずさんがそう言う。

 製鉄や銅製品作りもなるべく早くやりたいしな。


「あと、神様の話だと、できれば北の海岸から、となりの島が見えるらしいから、海を渡って、魔物を倒してレベル上げして欲しいって神様にお願いされたぞ」

俺がそう言うと。


「おお、みんな揃っているな。そうなんだよ。魔物を狩って、レベルを上げて欲しいんだよ。レベル上げないと、魔法もろくに使えないだろ? 魔法も使えないと、製鉄もできなければ、ケガや病気になった時も回復魔法が使えない。色々困るだろ?」

俺の会話に割り込むように、突然、空が光ると神様が現れる。


「というか、どうして、魔物がいるんですかね? 異世界のルールだとか言っていましたけど、そのルールが納得できないんですけど」

俺は、この間、アドバイザー神様の秘書子さんに聞いた魔物の話に不満が残り、神様に聞いてみる。


「あー、どこまで話していいのか。うーん、まあ、そうだな。魂の浄化と考えて欲しい」

神様が首を傾げながら最後にそう言う。


「魂の浄化?」

俺は聞きなれない言葉に首をかしげる。


「そ、魂の浄化だ。要は、元の世界で悪いことをした極悪犯罪者や、元の世界の神様の意思に反するような人間の魂が、魔物になってしまうんだ。それを倒して、経験値、マナ化する為に、俺がその魂を洗浄して、お前たちの経験値にする。それによって、お前たちの魂や肉体が成長して、穢れた魂が有効活用される。そして、お前たちが強くなると、これから生まれてくる子供達、次世代も強い、魂の密度が濃い子供達が生まれるって訳だ。言っちゃ悪いが、お前たちは、魂の10分の1だからな。経験値を貯めて、魂を成長させて10分の10に近づけて欲しいわけだ。それに、俺が魔物を倒しちゃうとダメなんだよ。俺が倒すと、魂は魔物としてまた産まれてきちゃうんだよ」

神様が胡散臭い話をする。


「それって、本当の話ですよね? それと、犯罪者の魂とかって、経験値にしちゃって、俺達に悪影響はないんですか?」

俺は神様を疑うようにそう言う。


「嘘は言ってないし、お前たちの為も思っているし、お前たちが強くなると命の危険性も減るし、さっき言ったみたいに色々できるようになるし、お前達や子孫の魂の濃度が濃くなると、俺へ届く信仰心パワーが強くなるからWIN-WINの関係なんだよ。あと、悪人の魂に関しては問題ない。俺がマナにまで分解してお前たちに渡すから、泥水を浄水場で綺麗にする、いや、一度、雲にして綺麗な雨として降らせるみたいなもんか? まあ、ミネラルウォーター並みに綺麗なマナになっているから安心しろ」

神様が現代知識を交えて言うもんだからさらに胡散臭く聞こえる。


「それに、レベルを上げるために人間同士で殺し合うとかなったら俺が嫌だしな。どうせなら、悪い魔物を狩ろうぜって感じだ」

神様がそう言う。なんか、このあたりは本気で言っているような気がする。


「なんか、元々は人間の魂とか言われると、気持ち悪いわね」

麗美れいみさんがそう言う。


「元、人間だ。魔物になってしまったから、救ってやるつもりで倒してくれ、っていうのじゃダメか?」

神様がそう言う。なんか、隠している気がして胡散臭いが、悪い神様でもないんだろうなって気もする微妙な気持ちだ。


「あと、ほったらかして増えると、お前たちの子孫が危険になる」

神様が最後は脅しに入る。


「りゅう君」

明日乃あすのが心配そうに俺の顔を見る。

 今の段階では明日乃あすのと俺の間に子供ができるって事がピンと来ないが、将来的にはそうなるんだろう。そうなった時に、家族が平和に暮らせないのは確かに嫌だな。


「納得はいかない部分はあるけど、事情はなんとなく分かった気がします。準備ができてからになるでしょうけど、魔物狩りの件は検討します」

俺は神様にそう言う。

 

「ああ、焦らなくていいから、それで頼む」

神様がそう言って安心したような顔になる。


「それとな、魔法の件なんだが、」

そう言って、神様が情報を追加する。


「秘書子さんからの報告で、マナを魔法の原動力にすると、経験値が減ってレベル上げができない、だからお前達が魔法を使えないって話を聞いた。俺もそこは不満があったんだよ。経験値=MP=スキルポイント=マナってなんだよ? ってな」

神様がそう言って腕を組み悩んでいるような顔をする。


「だからな、今度から、毎日祈ってくれた信仰心の半分をMPとして貯金できるようにした。貯まった信仰心、要は新しいMPを使って、俺がお前たちの代わりに魔法を使ってやるみたいな感じだ。信仰心はお前達には直接エネルギーとしては使えないからな。もちろん、今まで通り、マナを使って魔法を使うこともできる」

神様が自慢げに、そして恩着せがましくそう言う。


「と言っても、マナを使って魔法を使ったのって明日乃あすのくらいか。とりあえず、『神様に力をお借りします』みたいな文言の後に魔法を使ってくれれば、俺か、秘書子さんが代わりに魔法を使って、お前達に受け渡す。みたいなことができるようになった。経験値の低下を気にせずに魔法を使える。ってわけだ」

神様が少し自慢げに話を締めくくる。

 自慢げ故か、おっさん、話しが長いよ。


「ということは、信仰心の貯金で魔法を使っちゃうと、前に言った、『るつぼ』とか『鋼のナイフ』とか神様に貰うのが遅れるってことですか?」

すずさんが気になったのか神様にそう聞く。


「まあ、そう言うことになるな。ただ、すずが魔法を使えるようになれば、この間与えた『ギフト』、『精霊使い』で鍛冶を楽にすることができる。鋼のナイフを俺から貰うより量産できるようになるかもしれないぞ? まあ、さっき言ったレベルアップは必須だがな。MPの上限がレベル依存なんだ」

神様が追加説明を付け足す。


「レベルアップが必要なんですね」

すずさんが残念そうにそう言う。


「ああ、鉄鉱石や砂鉄から鋼を作るとなるとかなりの力がいるからな。それに応じたMP、信仰心が必要になるって訳だ」

神様がすずさんを励ますようにそう言う。


「まあ、魔法を節約して、俺に欲しいものをお願いするっていうのも、アリといえばアリだ。ただ、自分の魔法で作った方がコストは安い物は多いと思うぞ」

神様が全員にそうアドバイスする。


「まあ、そう言うことで、魔法を無理に我慢する必要はなくなったから、必要な時はしっかり使ってくれ。魔法を我慢して死なれちゃったら、俺も困るし、悲しいしな」

神様がそう締めくくり、


「おっと、長居すると、大事な信仰心が無駄使いになるな。そろそろ消えるぞ。何かあったら声かけてくれ。起きていたら相談にのってやるぞ。ダメだったら、秘書子さんに聞けな」

神様はそう言って、一方的に消えてしまう。


「うーん、一方的な話だったな」

俺は少しあきれ顔でそう言う。


「まあ、魔法が使いやすくなったっていうのはいいんじゃない?」

麗美れいみさんがそう言う。

 まあ、今、一番魔法が近い存在なのは麗美れいみさんとすずさん、そして明日乃あすのだしな。


「使いどころも難しそうだけどね」

すずさんがそう言って悩む。

 欲しい物を貰うか、自分で作るか、その為にレベルアップをするか。悩ましいところだろうな。


「まあ、とりあえず、魔法の話は置いておいて、明日からやる事決めないと」

俺がそう言って、作戦会議をやり直す。


「とりあえず、竹が欲しい流司りゅうじクンと、魚を捕りに行きたい一角いずみちゃんは明日、水汲みと竹採りかな? 砂糖作りは誰か分かる人が欲しいから琉生るうちゃんは砂糖作り?」

麗美れいみさんがそう言う。


「あと、砂糖作りは石臼使うのに力がいるから力がある人が二人欲しいな」

俺はそうアドバイスする。


「じゃあ、私とすずちゃんが石臼係でいいんじゃない? で、サトウキビの皮を剥いたり、煮詰めたりするのは明日乃あすのちゃん向きかな?」

麗美れいみさんがそう言う。


「私はどっちでもいいんだけど、流司りゅうじ一角いずみ二人だと、クマとか出たら危ないから、私も竹を運ぶ手伝いをするわ」

真望まもがそう立候補する。


「じゃあ、そんな感じでいいか。俺と一角いずみ真望まもが水汲みと魚捕りと竹を採りに行く。琉生るうが中心になって、明日乃あすの麗美れいみさん、すずさんが砂糖作りを継続する。竹を持って帰ってきたら、柵づくりと竹細工って感じだな」

俺はそう言って明日の予定を決める。


「明後日以降は、私、小麦畑見に行きたいな」

琉生るうがそう言う。


「そうしたら、私は砂糖作りを代わろう。煮詰めるのは苦手そうだから、明日乃あすの琉生るうがちゃんと仕込んでおいてくれよ?」

一角いずみがそう言って明後日の砂糖作りに立候補する。


「そうなると、戦力的には、麗美れいみさんかすずさんについてきてもらうと助かるな。真望まもは戦闘もできるし、どっちでもいいぞ」

俺は小麦畑の探索の立候補者を募る。


「私は、砂糖作りに残ろう。サトウキビの皮剥きは竹の加工に近いみたいだしな」

すずさんがそう言って砂糖作りに立候補。


「ということは、私が小麦畑探索の護衛ね。真望まもちゃんはどうする?」

麗美れいみさんがそう言って真望まもにふる。


「私はどっちでもいいけど、小麦にもちょっと興味あるかな? 小麦の藁とか色々使えそうだし、カバンを編んだり、日よけの帽子とか作ったり、色々できそうだし見てみたい。でも、ここの防衛も心配だし悩むわね」

真望まもがそう言う。

 手芸好きらしい意見だな。俺はちょっとほっこりして笑う。


「まあ、小麦は逃げませんし、藁が使えるようになるのは収穫して干して、2週間くらいかかると思うので、真望まもさんには防衛をお願いした方がいいかも?」

琉生るうがそう言う。


「そうだよな。戦力的に一角いずみが中心になって防衛になるとして、すずさんは戦えるけど、草食の牛のけもみみが戦闘向きな性格ではないっぽいし、明日乃あすのも戦闘向きじゃないし、真望まもがいてくれると安心かな?」

俺がそう言うと、真望まもが『仕方ないわね』って感じで防衛に回ってくれた。


 こうして、明日と明後日の予定も決まり、琉生るうすずさんが眠そうなので、みんなで日課のお祈りをして寝ることにする。

 テントは3つ、俺達が使っていた3人用が1つと明日乃あすの達が持ってきた少し小さい2人用が2つだ。それぞれ分かれて眠ることに。


 夜の見張りの順番は俺、明日乃あすのすずさんの順番に。テントは俺と明日乃あすのが一緒。琉生るうすずさんが同じテント、残り3人が3人用テントって感じだ。

 みんなが、『ああ、いつものね』って顔をしたので俺はちょっと恥ずかしくなった。

 俺たちのテントが少し離れて設営されていたのが変な気づかいされているような気がしてさらに恥ずかしくなった。

 まあ、みんなの予想通り、俺と明日乃あすのが見張りを交代する時に1時間くらいイチャイチャしたんだけどね。しかも久しぶりの再会だったので少し濃厚めに盛り上がってしまった。


 次話に続く。



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