第15話 土器作りの続きとさらなる危険
【異世界生活 4日目 8:00】
「
俺は
「うん、特に何もなかったよ。あと、1人で暇だったから、りゅう君がもっと欲しいっていっていた竹細工用の石のなた? もう一個作っておいたよ」
そう言って、なたを見せてくれる
そんな話をしていると
「
俺はそう言って今日の予定を若干変更する。
「そうだね。竹の水筒はいっぱいあった方が飲み水困らないもんね。土器も乾かすのに2週間以上かかるし水汲み用の壺とか作っても使えるのはまだだいぶ先だしね」
そうなんだよ。土器作るにしても、一晩くらい乾かせばすぐに焼けて次の日には土器として使えるものかと思っていたが甘かった。
それと、
そして、それぞれ作業に入る。
まあ、竹細工と言っても、竹を回しながら石でできたなたで叩いて切り込みを入れて切る。両方の端に節が来るように切った竹の節を片方抜いて葉っぱのふたをつけて、水がこぼれないように荒縄の紐をつけて吊るして持ち歩くようにする。これだけのシンプルな水筒だ。
ただ、竹を綺麗に切るのが本当に難しい。節を残さないと縦に割れちゃうし、竹を切るごとに石で作ったなたはどんどん刃がかけて丸くなり、切れ味が落ちる。
そんな感じで竹と悪戦苦闘していると、
「みんな、ご飯できたよ」
「昨日作った土器も見てきたけど、問題なさそうだった。ただ、暗闇の中で作ったせいか、明るくなってから見ると結構不格好だったけどね」
「じゃあ、今日作る分はしっかり作らないとね。昨日の土器は失敗して割れちゃう可能性が高いかもしれないし、今日は色々工夫しながら作ってみようね」
3人でたき火を囲んで、昨日の夜と同じような野菜炒め? 野菜煮込み? よく分からないネギっぽい、玉ねぎっぽい、山菜? 塩味の山菜とイノシシ肉の料理を食べる。
「干し肉も今日食べたらなくなっちゃいそうだから、次のことも考えないとね。またバナナ生活かな?」
ご飯を食べながら、
「明日あたり、海で魚でも採ってみるか? ダメでも貝とかあるかもしれないし」
俺はそう言って貴重なたんぱく源の確保をめざす。
「そうだね。土器作りも一段落するし、せっかく海があるんだから魚を採れるようになるといいよね」
「それと、
と
ちなみに秘書子さんというのは神様の秘書的な眷属神で俺しか会話ができない、とても物知りな神様で、全能神様が力を使い果たし寝ている間の神の代行者でもあるらしい。
「言われてみるとそうかもしれないな。テレビ番組でたまにやっている無人島での魚の銛突きとかって、なんだかんだ言ってゴムの力、文明の力を使った銛の場合が多いもんな。あの機能が無くて腕だけで銛を突こうとしたら速度不足で魚に逃げられるかもな」
俺はテレビでみた魚の銛突きを思い出してそう言う。あれはゴムの力で速度と貫通力を上げているからうまく刺さるんだよな。だったら弓矢を水中で使った方が魚に刺さるかもしれない。
「それと、
「あとで、塩の作り方教えてあげるね」
「塩づくりって、海水を煮詰めて水分飛ばせばいいだけだろ?」
俺は
「分かってないな。塩づくりは奥が深いんだよ。煮詰めただけじゃ、にがりも混ざっちゃって苦いだけの美味しくない塩になっちゃうんだよ。塩が析出しだしたら
そう言って
てっきり、海水を煮詰めていただけかと思ったが、草で編んだ布みたいなもので濾して塩を取っていたらしい。ちなみに
「にがりって面倒臭いんだな」
俺は塩づくりの奥深さを知った。そして、
「とりあえず、麻みたいな植物が採れるところは知っておきたいね。将来的に葉っぱの服からは卒業したいし、麻紐ができれば色々道具が増えそうだし」
「秘書子さんの話だと、麻から糸を作って布を作るのはかなり面倒臭いらしいぞ。とりあえず、枯れた麻の茎を叩いたりしてから編み、なんちゃって麻紐くらいはできるらしいが、布となるとかなり難易度は上がるらしい。麻の茎を腐らせて、繊維だけ取り出して、それを糸にしてその糸で布を織る。布を織る織機とかもないと麻布は到底作れないらしい」
俺はそう言って麻布はまだまだ先の話だと説明する。
「まあ、逆を言えば、秘書子さんの知識と人が増えれば、人海戦術で将来的には麻布も作ることができるってことでもあるけどな」
俺はそう付け足し、
「そうなると、もっといっぱい神様にお祈りして早く仲間を増やしてもらわないとね」
そう言って、早速神様にお祈りを始める
「回数を増やしても祈りに乗る願いの力が分散するだけで、神様へ届く信仰心は増えません」
秘書子さんが俺の心の中でそうつぶやく。
「お祈りは回数増やすより、1日1回、しっかり心を込めてお祈りすることが大事らしいぞ」
そんな雑談をしながら、朝食も食べ終わり、俺は竹細工で水筒づくり、
そして、竹の水筒作りも一段落したので、俺も土器作りに合流して、昨日と同じようなバケツのような形の土器を各自1個ずつ作り、
「これだけあれば、失敗しても、いくつかは残るだろ?」
俺は昨日作った土器と同じように雨に濡れないように作った屋根の下に並べた土器を見てそう言う。
「そうだね、
結局、
「というか、
俺は
「ああ、昔、家族で旅行に行ったときに、陶器づくりの体験教室みたいなのに参加したこともあったからね」
なるほど、どおりで上手いわけだ。本の知識だけじゃさすがにここまで作れないもんな。
そんな感じで土器を作る粘土も無くなり、土器作りも一段落。
お昼ご飯をみんなで食べた後、
俺はキャンプで留守番と塩づくり。竹細工は一時中断だ。
俺は薪を集めたりしながらたき火を維持しつつ、海水を煮詰めて濾して塩づくりを繰り返す。塩を濾した後に残った水は確かに苦かった。これがにがりか。
そんな感じで塩づくりをしながら、竹細工で刃が丸まってしまった石のなたを研いだりしていると時間は15時を回った。
がさっ、がさがさ。
森の奥の藪で嫌な気配がする。結構大きな動物?
俺は、槍を片手に、そして右手には手ごろな石を持って投擲も考える。
そして、音のする藪を睨みつける。出てきたのは黒い大きな影、
「熊!?」
俺は突然の強敵に焦り、声を上げてしまう。
クマの方は、俺を舐めているのか、見たことない生き物、弱々しそうな生き物に関心がないのか、ゆっくりとこちらに向かってくる。
焦る俺。一人で勝てるのか? 冷静になれ、俺。
そう頭の中で自分に言い聞かせ、まずは、
「
俺はそう、頭の中で考える。
クマが、のそり、のそり、と近づいてくる。鼻を鳴らしながら、干し肉の吊るしてある木を気にしながら近づいてくる。
干し肉の匂いに釣られたのか?
俺はそんなことを考えつつも、冷静にクマを鑑定する。
なまえ レッサーベア(オス)
レベル 20
クマでも弱い方。小型のクマ。
力がとても強く、足も速い。
固い毛皮に覆われ防御力は高く並みの武器では刃も通らない。
意外と手先が器用で木を登ることもできる。
あんまり参考にならないし、嫌なコメントばかり書かれている鑑定結果を見て顔をしかめる俺。言われると確かに小柄なクマだが、レベル20は明らかにヤバそうな数値だ。レベル6の俺と強さにどれくらい差があるのか想像もできない。
とにかく時間を稼いで、
「秘書子さん、全能神様に連絡して、強そうな仲間とか呼べない?」
俺は藁にもすがる気持ちで秘書子さんに相談する。
「いま、全能神様に呼びかけています。起きたところで新しい仲間が呼べるかわかりませんが」
秘書子さんが焦る様子もなく、無感情でそう答える。
一応困った時の神頼み。一生懸命祈っておく。強い仲間を降臨させてください。と。
「りゅう君! 大丈夫? 今、急いで戻ってるから。逃げて。とにかく自分の命を優先して、お願い」
予想通り、
「そしたら、
俺は
俺は、左手に木の槍(といっても先をとがらせただけの木の棒だが)、右手には石を持ってクマを冷静に観察する。石の投擲で先制攻撃してもいいのだが、なるべくなら戦いたくはない。そして戦うにしても、木の槍より石斧の方がまだ、ダメージあたえられるか?
そんなことを考えながら、時間はゆっくり進んでいく。
次話に続く。
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