第13話 明日乃の水浴びと素材集め(竹と粘土)
ガツ、ガツ、ガツ。
俺は竹林の前で、さっき、切り倒したばかりの竹を綺麗に切断できないか試行錯誤する。
さすがに昨夜、普通に石を磨いて作った自称、なたのような石斧では竹を綺麗に切断することはできなかったが。切り込みくらいは入れられるようで、竹を回しながら切れ込みを1周、2周としていき、3周目にやっと竹を輪切りにすることができた。
ささくれみたいなものはできたが、ふしで止まるので、ふしを意識して切断すれば何とかなりそうだ。
二つのふしで挟まれた筒状の竹をいくつかつくる。両端に節を残さないとこの石斧では竹が割れてしまうようでコップのような形に切るのは無理なようだ。
そして、そんなふしに挟まれた筒状の竹、イメージ的には缶ジュースみたいな形をした竹が5つできたところで、2本用意したなたの刃がどちらもダメになってしまった。これは結構手間のかかる作業になりそうだな。竹細工は。
竹を加工しては石のなたを研ぎ、加工しては研ぎの繰り返しになりそうだ。
とりあえず、きりだせた本の竹筒は片方のふしを抜いて水筒にしよう。
そして、石斧でもう1本切り倒し、キャンプに持ち替えることにする。2本くらいなら
それと、粘土か。俺は、ステータスウインドウを開きマップも開く。
粘土がありそうな位置にマークがされている。神様がしてくれたのか秘書子さんがしてくれたのか分からないが助かる。
泉から東に伸びる川を少し歩いたところにあるようだ。
川沿いに歩いて行くと、川の流れが緩くカーブしだしたあたりに少し開けた場所があり、崖のようなものが見える。
マップを確認するとマークは崖のあたりにある。
崖に近づいてみるときれいに縞模様ができており、地層が確認できる。
「これも神様が作ったのか? なんかよくできているな」
俺は地層をペタペタと触りながらそう独り言を言いながら地層を調べる。
そしてちょうど目の前のあたりにある地層が青みのかかった灰色の粘土層になっていて、いかにも土器を作るのに良さそうな粘土が取れそうだった。
おれは、石斧をシャベル代わりにして粘土を掘り出す。
そして、近くに落ちていた大き目の葉っぱを何枚か使って包み抱えてさっきの泉の方に戻る。
竹も持ち帰らないといけないから、持ち帰れる粘土もたかが知れているな。サッカーボールくらいの大きさの粘土の塊を抱えて泉まで戻る。
「りゅう君、粘土もあったの?」
気さくに声をかける
「ああ、川を少し下ったところに地層が見える崖があって粘土がたくさんあったぞ」
俺は声のする方に振り向いてそう答える。
「もう、りゅう君のエッチ」
そう言って照れた顔で言う
泉の岸につかまり泳ぎするように水に浸かって前は見えないがお尻は丸見えの
思わず、丸く可愛いお尻をガン見してしまい、急いで目を逸らす。
「ふふっ、りゅう君も一緒に入ろうよ? 冷たくて気持ちいいよ?」
俺は恐る恐る、
そして、
「い、いいのか?」
俺も期待してしまう。
「りゅう君も3日間お風呂入ってないでしょ、私が背中流してあげる。ね、洗いっこしようよ」
俺は、その誘いに贖うこともできず、そのまま、粘土や石斧を地面に置くと、そのまま、
「もう、りゅう君、お風呂入るときは服は脱ぐでしょ?」
「ね、洗いっこしよ?」
そう言って
俺は、その双丘を拝みたくなって振り向くが
その代わり、俺の目の前には、
「ねえ、キスしよ?」
俺の口の中に
☆☆☆☆☆☆
「やっぱり、体を洗うと気持ちがいいね」
「そうだな。頭を洗うのがこんなに気持ちいいって事、当たり前すぎて忘れていたよ」
俺は泉の浅いところの石に腰掛けながら休憩しつつそう答える。
「だね。髪の毛や頭のベタベタが無くなってがさっぱりするとほんと、気持ちいいよね」
「竹の方は何とかなりそう?」
「ああ、昨日、石で作ったなたで何とかなったけど、やっぱり竹は固いな。なたの刃がすぐ丸くなってしまったよ。なたを何度も砥がないと竹の加工は無理かな?」
俺はそう答える。
「そっか。使い捨ての調理道具って訳にはいかないかな? 竹でお湯を沸かせたらと思ったんだけど」
「使い捨てにするにはちょっともったいないかな? でも、何本か水筒みたいに切り分けられたから、ふしを抜けば水を持ち帰れそうだぞ」
俺はさっき作った竹の筒を思い出し、
「
俺もステータスウインドウの時計を見るともう14時近くなっていた。
「そうだな。あんまり長居すると
俺はそう言って、泉から出ると脱ぎ捨てた葉っぱの服を腰に巻く。
湧き水が綺麗で直飲みできるのはありがたいな。まあ、川の水はちょっと怖くてそのまま飲む気は起きないけど。
肉を片手に、美味しい水を飲みつつ、遅めの昼食をとる。
そして、帰りは1時間以上かかけて、キャンプに帰る。竹2本と水筒5本、粘土と野草とキノコ、結構な荷物になったので
「遅かったな」
真剣に塩づくりをしてくれたみたいでヤシの木の器に塩が結構できていた。そして干し肉もしっかり干されているようで、ヤシの木にかごが吊るされて風に揺れていた。
「真面目に仕事していたみたいだな」
俺は干し肉のかごを見て満足そうにそう言う。
「ああ、干し肉は今欲し始めたばかりだけどな」
「
そう言って水を入れた水筒を渡す。
「多分、湧き水だし、時間もそう経ってないし、竹とか笹って殺菌作用があるって聞いたことがあるから大丈夫だと思うが、一応鑑定して、飲めるか確認してから飲めよ」
俺は
「大丈夫そうだな」
竹を切ってふしの片方を抜き、よく洗った葉っぱで栓をするだけのシンプルな水筒だがこぼれずにしっかり水を運べたようだ。
「美味いな。久しぶりっていうのもあるんだろうけど、やっぱり喉が渇いた時は、普通に水が一番美味いな」
そう言って満足そうに水を飲む
「食べられる野草とかキノコもあったし、タケノコも見つけたんだよ」
タケノコは
もう少しゆっくり探せば見つかるかもしれないが、秘書子さん曰く、頭がすっかり出てしまったタケノコは固く美味しくないらしいので地面に埋まっているタケノコを探す必要があるそうだ。コツがいるらしいのでまあ、時間があるときに挑戦しよう。
「で、この後どうするんだ?」
「
俺はそう言い、なたや石斧、粘土、そして護身用に持っていった木の槍などを地面に置き、
「
俺は
「うーん、子供のころに読んだ本に土器の作り方が書いてあった気がするからいけると思うよ」
子供の頃に読んだ本とかって、よく覚えているな。俺は純粋に感心する。
「ちなみに、乾燥させるのに日陰で干して2~3週間かかるからね」
「マジか? 一晩くらい干せば焼けるのかと思っていたよ」
俺はがっかりする。
「あ、それと、川砂が必要って書いてあった気がする。焼くときに割れにくくするために砂を粘土と同じ量くらい入れるみたいな」
「そうなのか? 早く言ってくれれば、粘土のあった地層の下が砂の地層っぽかったからそれ使えばよかったな」
俺はがっかりする。
そして、日が落ちるまでもう少しありそうだったので、俺ひとりで急いで取りに行って急いで帰ってくる感じで砂と粘土も追加で取ってくる。
時間はもう6時近い。日も沈み始め、あたりは暗くなってきた。
「りゅう君、おかえり。ご飯食べたら、土器作ってみる?」
「そうだな。乾かすのに2週間もかかるなら早い方がいいしな」
俺はそう言い、夕食後3人で土器づくりをすることになった。
俺が砂を取りに行っている間、
ご飯の代わりは焼きバナナと。
深さの無いフライパンモドキなので、水分が少なく、スープというより野菜炒め?
まあ、野菜炒めだろうと、スープだろうと、久しぶりの野菜っぽい食事なので美味かった。
「なんか、久しぶりに野菜を食べている気がして、美味しかったよ」
俺は
「美味しかったね。これも、
そう言う
「美味しかったけど、焼きバナナが主食じゃなくてご飯を主食に食べたかったな」
俺はそう言ってご飯の味を思い出す。まあ、バナナと言ってもジャガイモみたいな味なので主食としても問題なないんだけどな。
「そうだねえ、真っ白いご飯食べたいね」
まずい、日本の事思い出させちゃったかな? 帰れる見込みはほぼないみたいだし、日本の事を思い出すような発言は避けた方がいいかもな。俺は反省する。
「ちょっと休憩したら土器を作ってみようよ」
変な空気を跳ね飛ばすように
「そうだな。作ってみるか」
俺も気を取り直してそう返事する。
それじゃあ、気合入れて土器をつくりますか。
次話に続く
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