第12話 川を探しに行こう(with明日乃)
【異世界生活 3日目 8;00】
ステータスウインドウの時計についているアラーム機能で目を覚ます俺。この世界に落とされて、もう3日目か。
「異世界、しかも無人島で目覚まし時計に起こされるっていうのもなんだかな」
俺は愚痴を言いつつ枝と葉っぱでつくったシェルターから外に出る。
「いっそのこと、この、ステータスウインドウって奴を使用禁止にした方がサバイバル生活を楽しめるかもね」
昨晩、最後の見張り役&たき火の番をしていた
まあ、ステータスウインドウがないならないで色々困るんだが。
俺は賛成とも反対とも取れそうに鼻で笑うとたき火のそばに座る。
「おはよう。何か変わったことはなかったか?」
俺は
「変わったこと? 変わったことと言えば、昨日の夜、見張りを交代する時に、
俺は豪快にせき込む。
「い、いや、こっち来てからというか、元々好き同士だったというか、何ていったらいいか、なあ」
俺は必死に弁明するが、言った張本人の
俺も薄々気づいていたが、けもみみが生えた時に、鼻も少し良くなってる気がしていたが、
「ああ、石の鍋を作っていてくれたのか」
俺は誤魔化すようにそう言う。
「ああ、
よかった。なんか、誤魔化せたようだ。
「で、
「あ、ああ、付き合っているみたいだな。お互い好きだったと気付いたのは昨日みたいだが」
俺はそう答える。
今日、俺は
「そうか。
意外な反応に、俺が反応に困る。
「おはよー、りゅう君、
「いや、なんでもない。おはよう。
俺もそれに
「とりあえず、俺は、昨日地面に埋めた肉を掘り起こしてくるから、
俺はそう言って、肉の埋めてあるところに向かおうとする。
「一夜干しを作る網?」
「こんな感じの四角形で3段くらいの棚があって、風がよく通る感じの鳥かごみたいなものを作って欲しいんだよ。これをヤシの木にでも吊るしておけば風で乾いて干し肉ができる。って感じか。鳥に
俺はそう言って、地面に直方体の絵を描き中に2段の棚を描いて見せる。
「ああ、これなら、テレビか何かで見た気がする。ナイロン製の網か何かでできていたけどそれを木で作ればいいんだね」
「荒縄の目の部分に枝を差し込んですだれみたいな物を作って、外側6面分と、中の棚2枚作って組み合わせればいい感じかな?」
とりあえず、荒縄も枝も足りないらしいので、
俺は2人に一夜干しのかごづくりを任せて、キャンプのすぐそばに埋めた肉を取りに行く。
目印に置いた石をどかし、木の棒で掘っていく。
効率が悪いな。石斧みたいに平らな石と木を組み合わせてシャベルみたいなものを作りたいが、柄と石の部分をどうつなげたらいいか思いつかず、石斧で掘ればいいか。ということになった。今度、地面掘る為の石斧、平らで広い石を使う感じ? を作るといいかもしれないな。なんか、昨日から、石斧ばっかり作っている気がするが。
結局、木の枝では効率が悪すぎて、平らで広い石を見つけてきて、それをシャベル代わりに手で直接持って掘った。
結構、深めに埋めた肉をすべて掘り起こし、キャンプに戻る。
「とりあえず、脂身の多い肉をもう一度焼き直して朝食にするぞ」
俺はそう言って準備をすると、
「おい、
俺は仕方なく、ヤシの実の殻を2つ持って海に行き海水を組む。効率の悪さに、やっぱり粘土で作った土器みたいなのが欲しいなと思った。
キャンプに戻り、昨夜、
それを見ながら同時に肉を石包丁で食べやすい大きさに切り、枝に刺して串焼きのようにしてたき火の周りに刺していく。だいぶ手馴れてきたものだ。
まあ、親父や
そんな感じで、昔のキャンプを思い出しながら肉を焼きつつ、塩づくりもする。
「良い匂いだねえ~」
匂いにつられて
「このあたりはもう食べられるんじゃないか?」
俺はそう言って、よく焼いたイノシシ肉を
「りゅう君も食べよ?」
よく焼いてあるし、腐ってはいなそうだし、大丈夫そうだな。
「おい、
ごめん、忘れてた。
「やっぱり、塩はたくさん欲しいな」
俺は塩を使い切ってしまい味気の無い串焼きを食べる。
「
「ああ、任せてくれ」
こいつ、
今日は動けるように腹八分目に押さえ、多めに焼いた肉を葉っぱに包み、お昼ご飯用の弁当を作る。
「飲み水用にヤシの実も取っておかないとな」
確かに、昨日取ったヤシの実が今の朝食で尽きてしまった。
「一夜干しのかごができたら取りにいくか」
俺はそう言うと、
「もうできてるよ」
そう言って自慢げに直方体の鳥かごのような箱を見せてくる
「おお、いい感じじゃないか」
俺は感嘆の声を漏らす。
すだれのような網を6面並べたような、想像していた通りの一夜干し籠ができていて俺は
「私も手伝ったぞ」
「なんだ?
俺は
「いや、いい」
とりあえず、一夜干し籠もできていたので、俺がイノシシの赤身肉を石包丁で切り分けて干す役。
俺は、ヤシの実の殻の皿をあるだけ使って海水を汲み、残ったイノシシ肉の脂身を取り除きながら赤身を熱さ1センチ以下の薄切りにしていく。
そして薄切りにした肉はヤシの実の殻に入った海水につける。
とりあえず、半日くらい海水につけて塩分をしみこませたら干す。そんな感じだ。
結構な量の肉があるので薄切りにするのも一苦労だ。しかも切れ味の悪い石包丁。時間がかかる。
そうこうしているうちに、
そのあと、3人で肉の処理をして、とりあえず、赤身のすべてを海水につける作業までは終わった。
「
俺はそう言う。
「ああ、分った。
「そうだな。そろそろ出かけないと夕方になりそうだし、
俺はそう言って出かける支度をする。
本当にオートマッピング機能はありがたい。こういうサバイバル生活で怖いのは探索時の遭難だもんな。
昨日作ったなたっぽい石斧、
「それじゃあ、行ってくる」
俺は
時間は11時。準備と干し肉の下ごしらえで結構時間がかかってしまったな。
ちなみに川はキャンプから森の中を北に進むとあるらしい。
まあ、森と言ってもジャングルのように行く手を阻むほどの木や草が生い茂る密林というより、日本の裏山っぽい雑木林の感じなので、陽も入って明るいし、地面も見えて歩きやすいのは助かる。
「あ、りゅう君、鑑定使うと、食べられる野草とかキノコとかわかるみたいだよ?」
たまに立ち止まってキノコや野草のようなものを石包丁で採取している。
俺も興味本位で鑑定を使うと確かに野草の名前や食べられる場合は食べられるコメントがついている。便利だな。このステータスウインドウは。
「背負いかごみたいなのが欲しいね」
「そうだな。竹が一杯取れたらせおいかごみたいな物を作るのもいいかもしれないな。作りやすさからしたら長い葉っぱとかを編んだ方がいいか」
俺も同意する。
俺も匂い消しになりそうな野草やネギっぽい野草をいくつか集め、とある植物に目が行く。
「
俺が
「え? 本当?」
「秘書子さん曰く、根っこや茎を煮込むと液体せっけんができるらしいな。ただし、使うときは目に入らないように気を付けることだって。皮膚の弱い粘膜に触れると毒なんだそうだ」
俺は秘書子さんにシャボンソウの使い方を聞いて
「すごいね。とりあえず、今日は葉っぱと花だけもらっていこ? お鍋みたいな土器がつくれるようになったら液体せっけん作りたいね」
そんな感じで山菜やキノコをとりながら森を進むと川を発見する。いや、川というより泉だな。綺麗な水が湧きだす小さな泉だ。そしてそこから細い川が東に向かって流れている。
「すごい、綺麗な水だよ。湧いているところの水、飲めるみたいだよ?」
鑑定してみると湧き水も泉の淀んだところ以外は飲んでも大丈夫らしい。
俺は、湧き水で手を洗い少し手で汲んで口に入れてみる。
しびれや変な味はしない。というよりめちゃくちゃ美味い。
少し様子を見て、体調も悪くならないようなので、
「毒ではなさそうだから飲んでみるか?」
もうひと口だけ飲んで、
「うわぁ、すごく美味しい。しかも、本当のお水を飲むの久しぶりだから体に染み渡るよ」
俺は竹林に近寄り、石斧を葉っぱの風呂敷から出すと根元を叩いて叩き折る。時間はかかるし、折れた部分はボロボロで使い道なさそうだが石斧で叩き折ることはできそうだ。
「
俺はそう言って、倒した竹をなんとか綺麗に切断できないか色々試す。
「え、本当? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな? りゅう君、見ちゃダメだよ?」
俺は、
次話に続く。
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