第37話  ディハルド神の正体

「アストリッド……お前の望みは何だ?」


 アウグステは、声を低くしてアストリッドに聞いた。


「何を言ってるの!?アウグステ」


「ごめん……ここに来てから分かったんだ。君には、アヴィンと同じ力の匂いがしたよ。ロイルの魔法使いとは違うんだ。銀の森にいた時には、気が付かなかったけど……旅に出てから、私はどんどん力が発揮出来るようになっててね。アヴィンのことも、お前のことも……分かってしまったんだ……」


 アストリッドは震えながら、アウグステを見た。


「魂と身体を分離させて、人間の転生の輪に潜り込んだのか?」


「……」


「人間の生涯は長くて、百年だ。神族とは違う。何がしたいのか、私には分かりかねる」


 アウグステが冷たく言い放つと、アストリッドは泣き出した。


「分からないわよ。美しくて何でも出来て、皆に愛されてるイリアス。

 姿が恐ろしいと、誰にも見向きもされなくなった私の気持ちなど!!

 僅かな時間で良いから、地上で可愛い女の子として暮らしてみたかっただけだわ。

 両親との時間も僅かだったわ。お母様の胎内に宿る時に、地上に下ったと時の夢を見られていたなんて……この子には、才能があるはずなんて、学び舎に送り込んでしまうし……でも、アウグステやアルに出会えたわ。幸せだった……」


 アストリッドは、泣きながら話した。

 そこに、う~んとアルフォンソが気付き、アウグステが一方的にアストリッドを責めて泣かせてるように見えた。


「いい加減にしろ!! アストリッドは悪くない!! 君はいつもアストリッドに冷たすぎるんだ!!」


 と、珍しくアルフォンソは、アウグステに平手をしてきた。


 唖然とする、アウグステとアストリッド。

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