第26話  サントス大神殿

 アウグステ達は、オアシスを出てアルテアの郊外にあるサントスの神殿に行くことになった。

 マーシカに、言われたからだ。

 キサナドがついて来た。


 西域最大のこの神殿には、賢者と呼ばれる大賢者の男性と、世界に一人だけの聖女と認められた女性がいた。


 二人ともアウグステの祖父、祖母であった。


 祖父は魔法使い出身の初めての大神官への登用である。

 先の大賢者、オルランド・ベーカル大神官が亡くなる間際に、彼に西域のすべてを託していったのだ。


 祖母のイサベルはエル・ロイル家の者で、アウグステの母のロクサーヌはイサベルと大賢者のサラン・フィクスとの間の娘である。


「アウグステ~!! 久しぶりね~~」


「おばあ様、お久しぶりです」


 サントスの街に入るなり、銀髪の女性がピンポイントで、アウグステ一行を見つけて傍にやって来た。

 周囲の人は固まっている。


 滅多に外に出て来ないという、聖女様が街に出て来られるとは……。

 しかも、おばあ様と呼ばれてる……。


「おばあ様……目立ってるぞ」


「お前ほどではないと思うが。おまけが四人か……サントスは受け入れるかな?」


「おばあ様?」


 その時に、アストリッドが叫んだ。


「あたくし、神殿の中には行かない!! 街で待ってるわ!!」


「どうしたんだ!? アストリッド?」


「別に巡礼に来たのじゃないのですもの!!別に行かなくてもいいでしょう!? アル!! 付き合ってくれるわよね?」


 アストリッドは、ディナーレから口数が減っていたが、ここへ来てアウグステよりもアルフォンソと一緒にいることの方が多くなってきた。


 アウグステには、その方が都合が良かったが、この態度はよろしくない。

 聖女と呼ばれる祖母が、出迎えに来ているのだ。


「アストリッド、おばあ様がいらっしゃってるんだぞ。それに、神殿の魔法陣でお前らは銀の森へ戻るんだ。一緒に来てもらう」


「嫌よ!! キサナド様~~!! 助けて!!」


 アストリッドは、アウグステの手を振り払って、キサナドの背後に行ってしまった。


「えっと……こんなに嫌がってるんだから、街で遊ばせてたらいいよ。

 君は、聖女様と大賢者様にあっておいで。彼女は預かっておくよ」


「手を出すなよ!! アストリッドは純粋なんだから!!」


 アウグステの言葉に、アストリッドは赤くなっていた。




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