第21話  オアシスの噂

 アウグステ達三人が、遅い朝食をとっていた時に騎士が数名、食堂へ入ってきた。


 ディナーレから、南下すれば広大な砂漠がある。

 大陸で唯一のナムラ砂漠である。

 元は広大な砂漠も、ドーリアの領土だったが、今は幾つかあるオアシスが独立して小国群となっていた。


「で、カットラー・オアシスの王が殺されていたのが、17年目だって!?」


 騎士達の言葉に耳がダンボになってしまった、アウグステである。


(十七年前!?)


 ラルカが言った、ディハルドが地上に下りた時期と一致する。 


「はい、隊長。先のヴィスティン王が晩年にオアシスの女と結婚して子孫を残していました。サウル王の孫にあたる者が首謀者のようです」


「砂漠は広い!!魔法使いを投入せよ。そいつを捕らえない限り、我らの休みはないと思え!!」


「はい!!」


「全く、十七年も欺かれていたとは……」


 騎士隊長は立腹していた。


 風の奥方に謝罪して、許してもらったアウグステは、奥方に騎士達の話を自分たちのテーブルに良く聞こえるようにしてもらっていた。


「ナムラ砂漠かぁ……暑そうだな。」


 アルフォンソである。


「あら、ロマンチックだわ」


 アストリッドだ。


「お前ら、旅の目的を忘れてるだろ」


 アウグステが、顔をしかめた。


「でも、目標は決まったな。カットラー・オアシスの今の王だ」


「でも、何処かに隠れてるんだろ!?守護の森の騎士でも見つけられないんだぞ」


 アルフォンソの言葉に、アウグステは不敵に微笑んだ。


「こちらには、高位の精霊がいる。彼女はこういうことが大の得意だ」      

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