第19話  再会  

「アウグステ!!」


 アウグステは我に返った。

 いつの間にか霧は晴れている。


 ラルカや、アルフォンソ、アストリッドがこちらに向かって走って来るのが見えた。


(夢? 幻だったのか……?)


 アウグステは自問自答した。


「宿屋に着いたら居ないから、驚きだよ。どうしたんだい?」


 心配そうにアルフォンソが、声をかけてきた。


「いや、ここはどの辺だ?」


 アウグステは疑問をぶつけてみた。


「元老院の建物、通称ランドル楼の前だよ」


「もっと、前は!?」


「王立の図書館だったはずだ」


 アウグステは、手荷物の中から地図を取り出した。


「それ、なぁに?」


 アストリッドの言葉に、アウグステが答えた。


「古代のアスタナシヤの市街地の地図だ。王城の位置は今はロイルの神殿だ。……とすると、この花のマークは何だろうな?」


《多分、ゼナの花。ディハルド神のシンボルだよ。ここがかつてのディハルドの神殿跡地みたいだね。》


『さっきまで、崩れ落ちた廃墟だった』


《アウグステ、ディハルド神に会ったね?》


『どうして、分かる?』


《顔が強張ってるよ、恐ろしいものを見たんだと思ったよ》


『恐ろしいのは姿だけだ。彼はとても優しい神だった』


《でも、後の彼の所業は変わらないよ。北の人を苦しめてしまうんだ》


『私の言葉で、天上界に帰ってくれればと、思ったけど……』


 後ろで、アルフォンソが笑っていた。


「何!?」


「そんなに簡単な神なら、神獣なんて来ないと思うぜ」


「確かに簡単ではないな……」


 アウグステが言うと、アストリッドが突進して来た。


「心配したのよ~ アウグステがが居なくなってるんだもの~~」


「ごめん、ごめん。アストリッド。迷子になっただけだよ」


「とにかく、宿屋に行こう」


 アルフォンソが言ってきた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る