第13話  おまけの二人

「キャー!! 高いわ~~!! 早いわ~~!! 怖い~~!!」


「頼むから、アストリッド。しがみ付かないでくれ。呪文を言ってないと、風の精霊が呼べないんだ。自分で飛んでくれ」


「私が自分で飛べないことを知ってるくせに、アルの意地悪!!」


 アウグステとの距離は、どんどん開いていく。

 学び舎を出た時は、ほんのわずかの差だった。

 だが、今は彼女の精霊の残した痕跡を辿りながら進んでいた。


 ディナーレに行くのは間違えないだろう。

 だが、その前にこちらは、お荷物付きで墜落だ。


「こら、アストリッド……外套を引っ張るんじゃない!!」


 ここで初めて、アルフォンソは先を行くアウグステに、助けを乞うた。


「え? アル?」


 アルフォンソは、アウグステとの圧倒的な魔法の力の差を痛感させられていた。

 常に呪文を唱えていなければ、飛べることは出来るが、小柄なアストリッドの一人を抱えて飛ぶのは限界がある。

 アウグステは自分では言わないが、強大な風の精霊と契約していた。

 他にも契約精霊を持っていた。

 本来なら、精霊使いになれるはずである。


 それなのに、学び舎に入って、わざわざ自分たちと同じ呪文を習っているのは、アルフォンソにとっては、只の姫君の遊びにしか見えなかった。

 アウグステの家庭の事情を知る知るまで……。


「何故、アルがここにいるんだ!?」


 アウグステがアルフォンソの所へやって来た。


「良かった……早く……を……」


「これ!?」


「これ!?」


 アストリッドと、アウグステが一緒に声を出すと、アルフォンソは力尽きてしまった。


「何故、お前たちがついて来るんだ?」


「あら、あたくし達はいつでも一緒でしょう」


 ニッコリ笑って、アストリッドは言った。


「アル!!」


 アウグステは、アストリッドの言葉を無視してアルフォンソに近寄っていった。

 彼女は、魔法の使い過ぎで力尽きてしまったのだった。

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