1-14 本物の私はどう違う?
────女王陛下をテレビでは見たことがあるけど、本物はなんかこう…3Dみたいな!?オーラがぶわってくる感じ!?
アシュレイは興奮して口を開けたまま右往左往している。
彼らに気づき、女王がゆったりとした足取りで近付いてきた。
「初めまして」
女王が皇族らしくドレスの裾を少しつまみ上げながらお辞儀をされた。
エレンとアシュレイは初めましてと言い深く頭を下げた。
─────女王様、近くに来るといい香りがする…
アシュレイの、本物の皇族に会えた喜びを感じとったのか、
「生で見る私は画面越しの私とどう違う?」
と女王は彼と目線を合わせ、艶やかな唇に
アシュレイは恥ずかしさのあまり、ボンッと顔を真っ赤にした。
その様子を見ていた女王はうふふと微笑んだ。そしてエレンにも話しかけた。
「あなたがエレンちゃんね。ある人に聞いていて会えるのをずっと楽しみにしていたのよ」
女王陛下のその言葉を聞いてエレンは小首を傾げ、”ある人?”と聞いたが陛下はハッとした表情をした後どこか悲しそうに目を伏せ静かに別の部屋へ案内した。
丁寧に彫刻されたドアを開け、出てきた部屋の左右にまたドアがあった。
右のドアノブがガチャと下がり、中からショートカットの髪型にフリルがリボンの形にあしらわれたドレスを着た女の人が顔を覗かせた。
女の人はエレンの姿を確認して瞬く間に目を輝かせ、
「エレン様!こちらへどうぞ!」と言い彼女を招いた。
「い、行っていいのこれ……?」
とエレンが戸惑っていると、
「エレン様!早く!」
と女の人が催促しながらエレンを引っ張ってドアを指さし、アシュレイが引き止める前にエレンはドアの向こうへ連れてかれた。
連れてかれるエレンを見てほほえんでいた女王様にアシュレイが尋ねた。
「あの扉の奥は何があるんですか」
女王陛下はアシュレイの碧眼を見つめてわくわくした様子で言った。
「ただ
…アシュレイ君も早く着替えてエレンちゃんと同時に対面したら良いんじゃないかしら」
女王陛下がパンパンと手を二回鳴らすと、エレンのいる部屋の反対側にあるドアから白生地の皇族のような身なりをした男の人が「お任せ下さい」と礼をして出てきた。
「お願いね」と女王様が控えめに手を振り、有無を言わさずアシュレイも部屋の奥へ連れていかれた。
着てきた上下の服を抵抗する隙も与えず、スポーンと脱がされ、
「えええ自分で着れますって」とアシュレイが動揺して言うと、
「喋っていると舌を噛みますよ」と背の高い男の人は切れ長の目を女の子のような物腰のアシュレイに向けて冷たく言い放った。
男の人はマネキンに着せていた四聖星の黒い服を丁寧に
襟元の外側が青色のシャツに、黒い生地のコックコートの様な上着を着、両肩には王族の男性によく見る金色の肩章という、庶民の生活用品に例えるとモップのような見た目の輝く飾りをつけられた。
黒色コックコートの正面に垂れ幕の様にデザインされた青色に外側が白色に縁どられたものにはボタンが左右二つずつ付いている。
”✧”に似てる形の青いピンが彼から見て右胸元の位置にあり、シャツに整えられて結われた紫色のネクタイと二本の金色の細いチェーンで繋がっている。
紺色のズボンにも同じチェーンがぶら下がり、それに更に菱形の
コートの袖口の白いシャツカフスから見える手に白い手袋をはめ込まれ、足には中のオレンジ色の生地がみえるように上を折って、金色の紐をリボン結びした白色のロングブーツを履かされた。
これぞ四聖星というような黒と青色に所々金色が輝く豪勢な式典服を身にまとったアシュレイはとても落ち着かない様子でいた。
長年憧れてきた四聖星しか着れない服だが、いざ着てみると普段着と質が違いすぎて本当に自分の実力がこれを着るのに見合っているのか不安になってくる。
そわそわしていると部屋のドアを快く三回ノックする音が聞こえた。
「エレン様もお着替えが終わったようなので対面しますか」
と男の人がドアを開けた。
コツッとブーツのヒールの音を立て、女王の待っている部屋へ同時に出た。
「……!!」
正面から出てきたエレンの姿にアシュレイは目を見開きごくりと唾を飲んだ。
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