見えない景色
瑞希 涼
第1話、療養初日
昨日は初メンクリ受診日
何の前触れもなく涙が出てきて声が嗚咽に変わるので
私はその事を十分に気を付けて来院に望んだが
結局は医者にこうなった変化の経緯と要因を説明しながら
いつの間にか私の声が意思とは真逆となり
途中で嗚咽に変わり泣きながらの説明となってしまった
予想通り、適応障害からの鬱病と診断されて
二ヶ月間の休職期間に入ることになった
昼に初めて食後に抗うつ薬を飲んだが
服薬後、嘔吐しそうになり苦しかった
薬のおかげで身体は動くようになったが
あいかわらず頭はぼんやりする
思考はまとまらず話しをしても言葉が詰まる
自分でも何を話しているのか分からなくなる
判断能力がなくなり展望記憶もなくなり恐怖感が押し寄せてくる
自分の視界に映る周りの景色がギクシャクとした動きとなる
対向者を避けるのも一苦労で車のエンジン音や人の声に
そして後ろからくる自転車の気配にも恐怖している自分
私の心臓はバクバクと鼓動を打つ
妻と会話する時も声が出にくく小さい
喜怒哀楽で悲しみだけは出るがその他の感情は麻痺してる感覚
今まで普通に生きていた世の中の動きに恐怖して
私の身体は固くなり歩いている途中で何度も脚が止まる
職場での適応障害だから会社に報告する電話も出来ない状態
まるで親に頼る小さな子供みたいな自分に自己嫌悪して更に落ち込む
妻に電話してもらい全てのやり取りとりと休職に入る為の調整を全部してもらった
今の私は何も判断出来ず先の事も考えられず電話も出来ず
一人で外に行く事も出来ない
今まで出来ていた事が出来なくなった喪失感が辛い
嗚呼、人はこういう喪失感から認知症になるのだという実感
人間誰しも今持っている能力は必ず失う
私だけではなく全ての人が平等に喪失する経験
それが諸行無常であるこの世の理
私はバーンアウトから病気になった
これから私の目にはどんな世界が見えてくるのだろうか
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