第32話 誕生日と不良グループ再び②
次に話しておかないといけないのは女性陣についてきた2人の不良男性陣だ。
「あなたたち男性陣の目的は何なんです? 女性陣の目的は蓮野内君の彼女になれたらいいなぁってことだと、今きいてみて僕は思ったんですけど……」
僕は困った顔をして男性2人に聞いてみる。
「お、お前がムカツク奴だって聞いたから根性叩き直してやろうかと思ってな」
女性陣の目的を聞いてちょっとがっかりしてる様子も見えた。だから僕は不良の2人の男性に提案する。
「男性の方たちはちょっとこっちで、男だけで腹を割って話しませんか? 隠しごとはなしです。どうですか? あなたたちにとって全然メリットがない話じゃぁないです」
「なにか罠を仕込んでるんじゃねぇのか?」
どうやら僕にはこの男性2人からの信用がないようだ。
「話をきいて判断してもらって構いませんよ? あなたたちも話を聞くだけならいいんじゃないですか? 今は女性陣はあちらで話し合っている状態です。それならその間、僕たちはお互い暇でしょう?」
「話を聞くだけでいいならな。聞いてやろうじゃねぇか」
僕は悟られないようにほくそ笑む。話に乗ってきてくれた。まだチャンスはある。
「まずお互いどんな罠があるか分かりません。あなたたちは僕が信用できませんよね? だから僕たち男3人で、ここだけのお話をお互いスマホに録画しながら話をしましょう」
「なんでそんなことをする必要があるんだ?」
不良の男性2人は不審がる。それはそうでしょうと僕も思う。
「僕を信用できないでしょうから、あなたたちが証拠を得るためです。メリットが感じられないと思ったらスマホの録画を止めて削除する。その時点でお話は終わりです。あちらで相談してる女性陣の話し合いの結果を待ちましょう。どうです?」
不良男性2人は
「いかがです? スマホの録画の件。了承するなら続きを話しましょう」と僕は再度問いかける。
「証拠を得るためだ。お前が信用できないからな」との返事を聞いて、僕も不良の2人の男性もスマホの録画を開始する。
「まずは確認です。『あの3人の女性グループがあたなたちに協力を頼んできた』ということでいいですか?」
「ああ、そうだよ」
僕の質問にぶっきらぼうに答える不良の男性2人は若干ふてくされ気味だ。だからこそ、その不満を確認する。
「ここだけの話です。
ここは本当に重要だ。話が180度おかしくなってしまう可能性すらある。けれども、男性2人にだってプライドがある。だからそこを刺激しないように、2人の不良男性の気持ちを探る必要があった。
「誰が気になるかまでは詮索しません。でも、仮にそうであるならばうまくいく可能性がある。そういうお話をこれからしましょう、ということです」
僕は一気に2人の男性に話を切り込んだ。2人の男性陣は顔を見合わせる。心配そうな顔をして東海林さんはこちらを見ている。東海林さんに大丈夫と頷いてみせる。
さぁここからが僕と東海林さんが、絶対に乗り越えなくてはいけない話し合いの始まりだ。
東海林さんだけをみて蓮野内君はこの1年ずっと過ごしてきたのだ。東海林さんにすげなくされようとも、つれない態度をとられようともだ。
だから僕から見た蓮野内君は『
イケメンで高身長で勉強ができて運動もできてお金持ちで、おまけに『一途』まで加わったこの最強人間、
「僕の考える作戦は3人の女性陣に蓮野内君に会ってもらいます。仲良くなって付き合うということになるのであれば、それはそれでいいと思っています」
「お前、それのどこに俺たちのうまみがあるって言うんだよ?」
「まったくだ」と2人の男たちは不満をもらす。
「日本の男女の付き合い方を考えてください。男性1人と女性1人が付き合う。これが普通というか常識ですよね? 現実世界の日本では男性はどう頑張ったって1人の女性としか結婚できないんですよ。ハーレムはファンタジーだけの特権です。異論は認めます。でも一夫一婦制、これが日本のルールです」
「だからどうだっていうんだよ?」
2人の男性は意味が分かっていないようだ。だから結論をズバリで言う。
「蓮野内君と正式に付き合えるのは1人だけです。あの3人の女性陣のうち1人としか付き合えない、というか結婚できないんです。だから蓮野内君が1人を決めれば、自然とそれ以降は2人の女性陣はフリーになるんですよ?」
という極めて単純な事実を僕は2人の男性陣に話をしたのだった。
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